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「同じ」の多義性〈アリストテレス『トポス論』岩波新版 第一巻 33-36頁 読書録3〉

「同じ」の多義性

i.数の上で同じ

→複数の名称をもちながら事物は一つであるもの
ex.
明けの明星と宵の明星
dogと犬(いぬ)とhundと狗

→最も異論の余地なく同じと言われる

i-1.最も本来的で第一義的な仕方で数の上で一つということを表すのは、名称または定義によって同じということが示される場合
ex.
明けの明星と宵の明星が同じ
人間と二足の陸棲動物が同じ
犬とdogが同じ

i-2.二次的な意味で数の上で一つということを表すのは、固有性にもとづいて同じということが示される場合
ex.
人間と笑えるもの(笑みの表情をもち笑うことができるもの)が同じ
火と自然本来的に上に移動するものが同じ

i-3.三番目に数の上で一つということを表すのは、付帯性をもとに同じということが表される場合
ex.
そこに座っているものとソクラテスが同じ(「そこに座っているものがソクラテスです」)
教養のあるものとアリストテレスが同じ

ii.種の上で同じ

ex.
医者と哲学者は人間という種の上で同じ

※同じ泉から取れた2カップの水
この一方のカップの水は、太平洋の海水と、水という種の上で同じだが、他方のカップの水との方が類似性の程度がより大きい。この場合、類似性の程度の問題であって、種の上での同じと類の上での同じのような違いはない。

iii.類の上で同じ

ex.
人間と馬は動物という類の上で同じ

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