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序論〈アリストテレス『トポス論』岩波新版 第一巻 22-28頁 読書録1〉

1.トポス論の目標

→エンドクサ(一般的な考え)をもとに推論するためのメトドス(探求の道筋)を発見すること

まず、推論とは何かということとその種類について語り、問答法的な推論を理解しないといけない。

2.推論と論証

いくつかのことが措定されることで、それら措定されたものとは別の何かが、それらを通じて必然的に帰結するような議論を「推論」と呼ぶ。

「真にして第一の事柄」をもとにそこから成り立っている推論を「論証」と呼ぶ。
「真にして第一の事柄」とは、それ自体を通じて信憑性を持っている事柄、つまり他の何かによって理由や根拠を与えられておらず、一般に自明と言われるような事柄。

3.問答法的推論

エンドクサ(一般的な考え)をもとにそこから成り立っている推論を「問答法的推論」と呼ぶ。
エンドクサ(一般的な考え)とは、全ての人、大多数の人、知者たちにそう思われていること。

4.争論的推論

タイプは2つで、

i.みせかけのエンドクサをもとにした推論
→争論的推論でもあり推論でもある

ii.もとにするのが真正のエンドクサにせよ、みせかけのエンドクサにせよ、ただのみせかけの推論
→争論的推論ではあるが推論ではない

5.「真にして第一の事柄」と「エンドクサ(一般的な考え)」の両方をもとにしない推論

ex.
しかるべき仕方で半円や線分を作図しない人

6.トポス論の有益さ

i.訓練に有益

ii.討論に有益

iii.哲学的な諸学問に有益

iv.「各学問に関わる事柄のうちの第一のもの」に有益
→探求の出発点(アルケー)を各学問固有の原理で論じることはできない。探求の出発点はエンドクサ(一般的な考え)を通じて語られる。

7.問答の技術

弁論術は説得を、医術は健康を目指し、それぞれ色々な手段をもつが、これら手段の選択という点に、弁論術や医術が技術たる所以がある。
手段自体に対する理解と手段の時宜を得た実践、メトドス(探求の道筋)の確保。

8.問答における「命題(前提)」と「問題」

問答法的議論を構成する要素を「命題」 と呼び、
推論が対象とするものを「問題」と呼ぶ。

また、いかなる命題も問題も、

i.定義(本質を示す固有性)
ii.固有性(本質を示さない狭義の固有性)
iii.類
iv.付帯性

のいずれかを示す。

また、命題はyes or noという形式での答えを要求し、問題は論証という形式での答えを要求する。
ex.

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