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3.差異 4.類似性(一巻16,17,18章)〈アリストテレス『トポス論』岩波新版 第一巻 頁60-65読書録8〉

3.差異(一巻16章)

「種差のことは、当の類そのもののうちで相互に比較して考察しなければならない」

ex.
徳(アレテー)の類に属する、思慮(プロネーシス)、勇気(アンドレイア)、節制(ソープロシュネー)、正義(ディカイオシュネー)において、何によって思慮は節制と、正義は勇気と異なっているのか。

「あまりかけ離れていない類の間でその一方の他方に対する違いを考察しなければならない」

ex.
何によって感覚と知識は異なるのか。

4.類似性(一巻17,18章)

類似性の考察は、
帰納的議論、仮定にもとづく議論、定義式の提示、大きくかけ離れたものの定義式の提示のために有用。

帰納的議論とは、互いに類似したものについて、その個々のものにもとづく帰納によって、普遍を導き出す、というもの。

仮定にもとづく議論とは、例えば、AとBが類似しているなら、Bに当てはまることはAにも当てはまるという仮定(前もっての同意)のもと、XがBに当てはまるなら、XはAにも当てはまるということが証明できる、というもの。

定義式を提示するのに、それぞれのものにおいて何が同じであるかがわかれば、問題のものを定義する際に、どの類に入れるべきかで悩まない。なぜなら、類とは、共通のもののうちで、「何であるか」という意味において述語づけられるものだから。

大きくかけ離れたもの同士における類似とは、例えば、同じもの(静穏)が海においては凪で、空気においては無風であるといったもの、また同じもの(出発点)が線においては点で、数においては1であるといったもののこと。この両者に共通のもの(静穏や出発点)が、類として与えられる。

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