〈メモ〉ド・モルガンの法則の諸論理への適用


(A)と(O)、(I)と(E)は、ド・モルガンの法則より、それぞれ互いに他の否定である。
つまり、(¬A)⇔(O)と(¬O)⇔(A)、(¬E)⇔(I)と(¬I)⇔(E)がそれぞれ成り立つ。

各々意味がちゃんと同じかどうか確認する作業も面白いのでオススメ。例えば、「SはPでなくてもかまわない(♢¬P(S))」は「Sは絶対にP、というわけぢゃない(¬□P(S))」と

述語論理
∀xP(x):全称肯定(A)
全ての本が好きだ

∀x¬P(x):全称否定(E)
全ての本が好きじゃない

∃xP(x):特称肯定(I)
好きな本が少なくとも一つある

∃x¬P(x):特称否定(O)
好きじゃない本が少なくとも一つある
¬∀xA(x):全称肯定の否定(¬A)
全ての本が好きというわけではない

¬∀x¬P(x):全称否定の否定(¬E)
全ての本が好きじゃないというわけではない

¬∃xP(x):特称肯定の否定(¬I)
好きな本が一つもない

¬∃x¬P(x):特称否定の否定(¬O)
好きじゃない本が一つもない  

命題論理(二つの独立な命題(判断)の関係、因みに「独立」というのは、例えば、数学が得意なことP(x)と英語が得意なことQ(x)には相関がないと仮定する、ということ。つまり、P(x)→Q(x)やQ(x)→P(x)(例えば、数学者は英語で論文読まないといけないから、その辺の人文科学者より英語が読める、等)を考えないこと。)
※調整中(統一的に日本語で表現するのが難しい、「または」「かつ」の用法を周到に決めておかないと混乱する)

p∧q:(A)
彼は数学と英語の両方得意である
¬p∧¬q:(E)
彼は数学と英語の両方得意でない
p∨q:(I)
彼は数学と英語の少なくとも一つは得意である
¬p∨¬q:(O)
彼は数学が得意でないか英語が得意でないかのいずれか、或いはその両方である
¬(p∧q):(¬A)
彼は数学と英語両方得意というわけではない
¬(¬p∧¬q):(¬E)
彼は数学と英語の両方得意でないというわけではない¬(p∨q):(¬I)
彼は数学と英語のどれ一つも得意でない
¬(¬p∨¬q):(¬O)  
彼は数学と英語どれ一つとして不得意でない

様相論理(主語Sと述語Pの関係)
※「;」以下はアリストテレス『命題論』における命名
※「ex.」以下は行政法における行政行為の類型

□P(S):必然肯定命題(A);必然(必要)
Sは必然的にPである
ex.下命

□¬P(S):必然否定命題(E);不可能
Sは必然的にPでない
ex.禁止

♢P(S):可能肯定命題(I);可能
SはPであることが可能である
ex.許可

♢¬P(S):可能否定命題(O);許容(不要)
SはPでないことが可能である
ex.免除

¬□P(S): 必然肯定命題の否定(¬A)
Sは必ずしもPであるというわけではない
ex.免除

¬□¬P(S):必然否定命題の否定(¬E)
Sは必ずしもPでないというわけではない
ex.許可

¬♢P(S):可能肯定命題の否定(¬I)
SはPであることが可能でない
ex.禁止

¬♢¬P(S):可能否定命題の否定(¬O)
SはPでないことが可能でない
ex.下命


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