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#29 時代は変わる、名前も変わる。

世界水泳が終わった。

福岡での自国開催というのも相まって
毎日楽しみにテレビ中継を観ていた。

私は小1から中1まで水泳を習っていて、
「水泳をやったら体力がつくから持久走もできるようになる」と聞いていたのだが
持久走の順位は小学校低学年の頃、学年の真ん中あたりだったのが年々悪化していって、
小6の結果はビリから4番目くらいという、散々な有り様だった。

一応、100メートル個人メドレーなんかもやっていたけれど、まあタイムが出なかった。
得意なのはクイックターンと、水の中でのでんぐり返し。前転も後転もできた。
その当時は水中でぐるんぐるん回り続けていたけれど、もう何年もやっていないから、今できるかはわからない。できてほしいけど。


そんなわけで、自分が唯一ちゃんとできるスポーツということもあり競泳はめちゃ楽しいのだが、
私はもうひとつ、
飛び込みを観るのがとても好きなので、ゴールデンタイムに放送されていたのが競泳ばかりだったことはちょっと残念だった。

飛び込みはほんとうに、小さい頃に出会っていたかったなあと思う。
超やりたいのだ。だってめちゃくちゃかっこいい。

10mの高さの台の、先端ギリギリにつま先だけ引っ掛けて立つだけですげぇのだが、
技によってはその先端に両手をついて、逆立ちまでしちゃう。
そこから飛んで空中で何回も体を捻って、水の中に吸い込まれていく。かっこよすぎる。
飛沫をほとんどあげないで入水するノースプラッシュなんかもう、ほんとうに凄い。


あと、今回はじめてハイダイビングの試合を観られたのも嬉しかった。

男子は27メートル、女子は20メートルのとんでもない高さから飛び込む競技。
通常の飛び込みは腕を伸ばして両手を組んで、手のひら→腕→頭→体→足という順番で入水するが、ハイダイビングは頭からだと危なすぎるために足からいく。

ビル9階ほどの高さからくるくる回って飛び込むというのに、ノースプラッシュを決めてくる選手なんかもいるのだ。

日本人唯一のハイダイビング選手である荒田恭兵選手はとてもかっこよかったし、
トップ選手たちの演技もそりゃあもう凄かった。



そういえば、オープンウォータースイミングという海を長距離泳ぐ競技も観た。
中継映像ではどの選手がどこにいるのやら全くわからなくて面白いのだが、私と同い年の梶本一花選手が女子5キロで14位に入っていた。


最近は伯桜鵬関といい、ノルディック複合の葛西姉妹といい、同学年の活躍が目覚ましい。
競泳日本代表には小方颯選手や谷川亜華葉選手がいたし、直近ではサッカー女子W杯のコスタリカ戦でW杯での日本人史上最年少ゴールを決めた藤野あおば選手も同い年だ。
卓球の張本智和選手やフィギュアスケートの鍵山優真選手、他にもたくさん。

同い年となれば応援する気持ちも俄然強くなるので、これからのスポーツ観戦はますます楽しくなっちゃうかもしれない。

最高じゃん。わくわくだ。





……えーと、ちょっと長々書きすぎたかもしれない。

本編は全然ここからなのだが、
もう1,000文字を超えてしまっている。

まあいいや、世界水泳がそれだけ面白かったのだ。前半自分の話だったけど。



ということで、名前の話に入っていこうと思う。

最近の記事では、
熟字訓を用いた名前とか漢字1文字ネームとか、世間に溢れるさまざまな名前をいろんな角度から切り取って紹介するみたいなことが多かった。

今回は少し趣向を変えて、
比較検証のようなものをしていきたい。


まず私は、子どもの名前を

✏️2019年度生まれ……約5万7000件
✏️2003年度生まれ……約2万5000件

上記の数、独自に収集している。


生まれ年を絞って収集を始めたのが
2020年2月頃なので、2019年度生まれはその当時の最新の名前であり、
プラスして私と同い年である、今年20歳になる学年の名前たちを集めたということだ。

2003年度生まれは途中で収集作業をストップしてしまったこともあって2019年度生まれの半分以下にとどまっているのだが、
これだけのデータがあるのに放置しておくのはもったいない。

50音順に並べてメモアプリにまとめてあるのでときどき眺めているが、せっかくならもう少しいい感じに活用したいのだ。

そんなふうに考えているときに、ふと、面白い名前を見つけた。

ぱっとこの名前を見て、なんと読むだろうか。

きっと多くの人が、同じ読み方をすると思う。



彩りが華やか
と書いて、あやか

女の子の名前であることもわかりやすいし、
読み間違いもほとんどないだろう。

ちなみにこの「あやか」という響きは、
今の30代前半〜20歳前後あたりの世代において
それはもう絶大な人気を誇った名前である。

2003年度生まれの2万5000件の中でも、
彩華(あやか)14名確認できている。

だが、今の子どもや赤ちゃんの世代で見ると
「あやか」はそれほど人気ではなくなっているようで、2019年度生まれの5万7000件の中に
彩華(あやか)はたった2名しかいない。

✏️彩華
あやか……2003【14名】/2019【2名】


しかし。
同じ表記で、別の読み方をする名前がある。



いろは」だ。

これはまあ読みやすいとは言い難いし、
彩=いろ」「華=は」という読み方に馴染みがあるというか、当たり前に受け入れられる世代もまだちょっと限られているような気がする。

これらの読み方は、
今の子どもたちの親世代が用いる
名付け本や名付けのサイトなどにはごく普通に載っている"名乗り読み"(音訓読みとは別の、名前にのみ使用される読み方)であり、
今どきの名前で見れば全く珍しいものではない。

その傾向は、私が集めたデータにも表れている。


2019年度生まれの「彩華」という漢字表記、
あやか」は2名しかいないが、
いろは」は9名の存在を確認しているのだ。

つまり私のデータ上、2019年度生まれにおいて
「彩華」と書いてあったら
いろはと読む方がポピュラーなのであり、
あやかは少数派だということだ。


2003年度と2019年度を比べると、こうなる。

✏️彩華
あやか……2003【14名】/2019【2名】
いろは……2003【1名】/2019【9名】


2003年度生まれにも「いろは」は存在したが
たった1名にすぎず、
彩華」の90%以上が「あやか」だった。

しかし2019年度生まれになると「あやか」が
ぐんと減って「いろは」が勢力を伸ばし、
彩華」の80%以上が「いろは」という結果に。


これはなかなか面白い。

まあ、そもそも名前の響き自体、
今は「あやか」より「いろは」の方が圧倒的に人気だという現状がある。

2019年度生まれの「いろは」は表記の人気順に

彩葉 【71名】
いろは【35名】
彩羽 【34名】
彩晴 【17名】 etc.

となっており、表記は全部で43種類もあることからも、その人気が窺える。


逆に「あやか」は

彩花【14名】
彩楓/彩夏/彩佳/彩香【4名】 etc.

と明らかに「いろは」より人数が少なく、
表記のパターンも26種類にすぎない。


せっかくなので2003年度生まれの方でも
表記の人気上位とパターン数を見てみると、

✏️いろは(表記パターン7種類

彩葉【7名】
彩羽【2名】 etc.

✏️あやか(表記パターン31種類

彩花【26名】
彩香【15名】
彩華【14名】 etc.

こんな感じだった。

やはりこの16年間で、人気の傾向が
大きく変わっていることがわかる。




ちょっとこれはかなり面白い。比較楽しい。

もっとやりたい。

と、いうことで男子名にも同じような名前がないかと探してみたのだが、"そういうやつ"を目掛けて探すとなかなか見つからない。

そんな中で、「彩華」ほどのインパクトはないけれど似たような傾向を持つ名前があった。

それがこちら。ぱっと見でなんと読むか。

「彩華=あやか」ほど絶対性はない気がするが
一般的に思い浮かぶのは、この読み方だろう。



悠久の人
と書いて、ゆうと

「ゆう」という響きは男女ともに長らく人気が高いし、秋篠宮家 悠仁さまの影響もあるのか、「悠」もかなりよく使われている漢字だ。

それに加えて「ゆうと」という響きも人気で
2003年度生まれの2万5000件の中に
悠人(ゆうと)25名も確認されている。

ここからが「彩華」とは少し違う点で
今の子どもたちの名前にも「ゆうと」や「悠」などの人気は変わらず続いているようで、
2019年度生まれの5万7000件の中にも
悠人(ゆうと)29名いる。

✏️悠人
ゆうと……2003【25名】/2019【29名】


そしてこちらも、もうひとつの読み方がある。

「人」は同じく「と」と読んで、
「悠」の方を変えてくるのだ。



「はると」だ。

悠=はる」というのは「彩=いろ」などのように本やサイトに載っているものではなく、
悠(はるか)という読みのぶった切りである。

「はる」という響きは「ゆう」を上回るくらいの異常なほどの人気を誇っており、中でも「はると」は特に多い名前だ。
そして「悠=はる」は現在、ぶった切りではあるがほんとうに多くの名前で使われている。

しかし、2003年度の時点では
そこまで「悠=はる」の知名度というか人気があったわけではないようで、
2003年度と2019年度の「ゆうと」と「はると」の数を比較すると、このようになる。

✏️悠人
ゆうと……2003【25名】/2019【29名】
はると……2003【7名】/2019【23名】


「ゆうと」の人気は衰えていないが、
「はると」が非常に増加していることがわかる。

2003年度生まれにおいて
ゆうと」が78%で「はると」は22%だが、
2019年度生まれになると
ゆうと56%、「はると44%とだいたい半分くらいまで追い上げている。

ちなみに、悠仁さまと同じ「悠=ひさ」(こちらは名乗り読みである)を用いた悠人(ひさと)という名前についても調べてみたところ、
2003年度にはひとりもいなかったが、
2019年度の方では3人の存在を確認できた。

やはり「悠=ひさ」という読み方が知れ渡ったのは、悠仁さまの影響があるのだろう。



さて。

「彩華」の方で表記の人気上位とパターン数というのをやってしまったので、
バランスを合わせるためにこちらでも書いておこう。

まずは2003年度生まれから。

✏️ゆうと(表記パターン73種類

優斗【45名】
悠斗【43名】
悠人【25名】 etc.

✏️はると(表記パターン68種類

遥斗/陽斗/遥人【14名】
陽翔/晴斗【8名】     etc.


続いて、2019年度生まれ。

✏️ゆうと(表記パターン91種類

悠斗【43名】
悠人【29名】
優斗【26名】
悠翔【20名】 etc.

✏️はると(表記パターン138種類

陽翔【79名】
陽斗【43名】
晴翔【38名】
遥斗【32名】 etc.


「ゆうと」に関しては今回取り上げた漢字表記が出てきたが、「はると」の方は他に人気のものがありすぎて上位には入ってこなかった。

それでもそれぞれの人数や表記パターンから、
「ゆうと」の人気の継続や、「はると」の現在のブームっぷりがよくわかるのではないだろうか。





今回、2003年度と2019年度を調べてみて、
他にもいくつか比較してみたい名前が出てきたので、それは次回また続きをやろうと思う。

最後に、「あやか/いろは」「ゆうと/はると」が他の漢字表記でも同じ傾向となっているのかを調べたので、それを書いて締めることにする。


✏️彩花
あやか……2003【26名】/2019【14名】
いろは……2003【1名】/2019【6名】

花=は」は「はなのぶった切りであるが、
こちらも「あやか」がやや衰退して
「いろは」が増えている傾向は同じのようだ。

そして「あやか」という響きにおいては、
今も昔も「彩華より彩花の人気が高いようだ。どちらかといえば「花」の方が、やわらかい感じがするからだろうか。


✏️悠斗
ゆうと……2003【43名】/2019【43名】
はると……2003【7名】/2019【25名】

✏️悠翔
ゆうと……2003【10名】/2019【20名】
はると……2003【5名】/2019【23名】

翔=と」なんてもうごまんといるので
今さら説明するようなものではないかもしれないが、これは翔ぶ(とぶ)のぶった切りである。

母数が違うことに留意しなければいけないが、
悠斗(ゆうと)は両年度の人数が同じだった。そのぶん、悠斗(はると)の増加がわかりやすい。

「悠翔」に関しては、おそらく「翔=と」という読ませ方の浸透具合によるものだと思うが、どちらの読みも増えている。
でもやはり「はると」の勢力が明らかに伸びているし、なんなら2019年度では悠翔(ゆうと)より悠翔(はると)の方が多いようだ。



このように、違う漢字表記ではあっても似たような傾向が見られた。

時代が変われば流行り廃りも変わる。
漢字や名前の"当たり前"だってどんどん移ろう。
そのことがよくわかる比較検証になった。


それでは、今日はここまで。

また次回。





※上記の名前は、誰でも閲覧可能なネット上に載っていた名前です。

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