8/25ヴォイスミツシマ 野木亜紀子パート1 書き起こし


※この書き起こしは、個人の記録として残すものです。
※趣味でやっているため、出来る限り忠実に書いていますが、一部正確さを欠くところもあるかもしれません。了承の上お読みください。
(今回はラストマイルと脚本制作に関わる箇所のみ書き起こしをおこなっております。)

※ラストマイルに注目が集まっている今、聴覚障害の方やお仕事の関係など、ラジオが聞けなかった人にも需要が高いと考えたため公開します。
※「映画 ラストマイル」の制作スタッフとは一切の関わりをもちません。
※なんらかの理由で作品に迷惑がかかる、と判断した場合、予告なく公開を中止します。

・野木と満島ひかり、5回も会っていない
・最初は、「この役は私じゃないんじゃないか」と満島ひかりに言われた
・友達と縁日をやった話など、楽しく会話をして帰った。
・作品の話は最初10分15分
・残りは日常の話や最近やった役の話
・満島ひかり:野木さんの脚本は、難しい…というか、見ている範囲が広い。データの世界と上の役の人と、働いている人と。演じている最中は分からないままにやっていた。
・試写で見て、2回目自分で見て、「当て書きだ!」と思った。
・満島ひかり:やっと目が覚めたんじゃないですかね。野木さんの魔法にかけられて、その世界を理解しようとして、着地点がなくて、ずっと彷徨っちゃって。でもキャッチしようとしてもスルッと逃げられたような感じがあって。
・2回目落ち着いて、塚原監督と、カメラマンと照明部と美術部で、塚原さんの夢だったポップコーンとビールで、見たんですよ映画を。その時にリラックスして見たら、「うわすごいこの役わたしみたい!」ってw全部をゼロにして向き合ってるところが似てるなって思いました。親友が映画を見たんですけど、「あれもうひかりじゃん」って言われました 笑

野木:わたしも満島さんのことを知らないで書いてるというか、いろんな作品を見て、お芝居や舞台、うたとかもきいて、満島さんに演じてもらいたい人物を書きました。
満島ひかり:シェアードユニバースプレミアの時に、綾野剛くんに「満島、この役を満島に当てがくって、あの三人どうかしてるよ。満島みたいな奴にこんな役大変だよ!って思った!おれは本当に。こんなに色んなところに意識向いちゃう奴に、もっともっと広い意識の役を与えるか、と思って。すごい楽しみにしてたけど、全然いつもと違う顔が映ってて、すっごいかっこよかった。」って言われて。
満島ひかり:石原さとみさんにも、「すっごいかっこよかった!」って言ってもらえて、めっちゃうれしかったです。
野木:満島さんの中で,かっこいい役をやっているイメージがなかったってことだよね。
満島:かっこいい役っていうのは警視総監みたいなのというか
野木:どんなイメージ?それ
満島:わたしが多分かっこいいを履き違えてて。みんなが思うかっこいいって、迷って、決断できない日もあって、できる日もあって、下手くそながらに向き合って、オッケーわたしが旗振ってやる!っていうのがかっこいいってみんなも思ってたんだ!って思って。塚原さんも野木さんも、自分よりもちょっとでも年上の女性って自分より広い世界を見てるって思ったほうがいいなって改めて。もちろん人間って年齢じゃないと思うんですけど,それぞれ持って生まれたものとか経験とか環境でちがうとおもうんですけど、女性性っていうのは年齢に比例しているかもしれないっていうのは、今回すごい感じて。それを試写の2回目で感じて、この三人に負けた!って思いました。
野木:どういうことよw
満島:してやられた感が…。こんなふうに混乱することをわかられてて、やらされた感じがして。
野木:混乱、混乱か。でもわたしが書いたときは少なくとも、満島さんってやっぱり(演技が)上手いから、多分複雑なことを書いてもできると思ったんですよね。
満島:複雑さがすごかったんですよね。もう張り巡らされて、すさまじい複雑っていうか。
野木:それはそうですね
満島:でも面白かったですね…。プレミアムのときに、みんな俳優さんたちが野木さんの書いた世界への愛情がすごくて、役も愛しているし、作品自体も愛しているし、演じた後も後から気づくことがある作品っていうか。
野木:繰り返し見るように耐えられる作品っていうのを目指したいよね、っていうのはあって。見れば見るほど味が出るじゃないけど笑。アンナチュラルとMIUに関しては、連続ドラマってチームで作るもので、それぞれが成功体験になってくれているから、こうして今回も集まってくれたっていうのはありがたいなって思いますね。みんながんばった!よく頑張った!みたいな笑
満島:不思議な映画になってましたね。テレビでもないし映画でもないし。
野木:それはあると思います。テレビ的なところもありつつ、かと言ってテレビではないことをやってると思うので。
満島:映画的かっていうとそうでもなくて。ドキュメンタリーが一番近いんじゃないかなと。
野木:あー。割とその辺は塚原さんが生っぽく散ってるところが多々あると思いますね。撮り方のスタイルとしても、まーー速いでしょ!
満島:はやい!
野木:速いんですよ
満島:多分自分が理解しないくらいの速度で。
(交通情報が挟まる)
野木:それはあんまりないですね
満島:ないんだ!
野木:それはまあ、考えて書いてるので、ないです。
満島:でもわりと書いてる人によっては、ありません?
野木:わたしはどっちかっていうと、…よく『降りて来る』みたいな話あるじゃないですか。いや降りてこないだろwってわたしは思うんですけどwただ、その役のセリフを書くときは、自然に出て来るセリフってのはありますよ。でもその中で構成していった中で出るものなので。
満島:じゃあ書いてる時って声に出したりとかしてますか?
野木:めちゃくちゃしてます。
満島:えっするんだ!
野木:わたしは声に出しながら書くタイプなので
満島:えっ見たい見たい
野木:もうすっごい、泣くようなシーン自分で泣いてるみたいな。だから逆に外で書けない。
満島:あー
野木:マスクの時代って言い方おかしいけど、そうだったら多層誤魔化せるけど、すごい急いでる時、でも移動しなきゃいけなくて、そういうときはスマホで台本チェックとかしてるときあるんですよ。そういうとき、つい
満島:声に出しちゃう?
野木:声には出さないんですけど、つい表情とか変わってしまうので、電車とかで、はっ!まずいまずい、ここは電車だった、と笑
満島:すっごい出すタイプなんですね。歩き回ったりしますか?
野木:考えが思いつかない時歩いたりすることはあるけど、そんなには歩かないかな。でも歩いたほうが思い浮かぶことって結構あるんですよね。後お風呂で思いつくとか、寝起きに思いつくとか。
満島:そうすると1日中脚本のこと考えてるわけじゃないですか。
野木:あーでも連ドラなんかはそうですね。今回ラストマイルは半年くらい休んでる時に書いたんで、でもそれって休んでないなって後で気づいたんですけど笑
満島:笑
野木:連ドラの時は一日中考えて書いてますけど、そのくらい一日中書くくらいじゃないと逆にいいものも出ないっていうか、なんか集中しないなっていうか
満島:生活の中に馴染んでるくらいで自然に出て来るほうが
野木:それくらいじゃないと集中してないし、上がるものも散漫になるというか、できるだけそれを考えていたいっていうのはあるかな、
満島:曲に行きたくないくらいずっと聴いちゃう!ずっと話したい!

満島:面白いですね、脚本家さんの話って
野木:そうですか?
満島:前に一度坂本雄二さんがきてくださってんですが、坂本さんの話となんか全然違う感じがして。坂本さんは椅子にずーっと座って降りて来るのを待ってるって
野木:やっぱり天才は違うんですよ!降りて来るんですよ!わたし凡人だから降りてこないんですよ!わたし小沢亮太さんともお話ししたことあるんですが、やっぱり小沢さんとも違って。でも宮藤官九郎さんと話した時、すっごい近くて、盛り上がって。こういう時ついプロデューサーに長文メール送っちゃうよね。って
満島:そこも似てるんだ!
野木:わたしが勝手に似てると思ってるだけかもしれないので、後で冷静になってはたと思ったんですけど、星野源さんが、「宮藤さんが近かったって言ってた」って聴いて、良かった!って
満島:わたしは坂本雄二さんのをずっとやってたあとに、宮藤さんの脚本をやった時、3話くらいまでノックアウトしてて、どう読めばいいのか、全然方向がちはうから。もうラップかな?って思ったらすごいできるようになって。

野木:ごめんね青春の時だよね
満島:そうです。水を得た魚のようになってからはドライブできるようになって、いっててスカッとするようになりました。
野木:監獄のお姫さまね。あの看守好きでしたねわたし。
満島:それで宮藤官九郎さんが坂本さんの脚本に出演してる時に、ずーーっと真面目か!ってくらいセリフの練習してて,それくらい違うんですよね。
野木:坂本さんの脚本ってちょっと間違っちゃいけないってところありますよね。
満島:全然考えたことなかった。結構間違えているかもしれない。鈴木理央ちゃんが子役の時にウーマンっていう作品で、けっこう長台詞の時に、いつもセリフを途中飛ばしちゃったり、ちょっと足しちゃったりとかしたとき、放送後に理央ちゃんに指摘されてました。
野木:ふーん
満島:「ひかりさん、あそこはわざとなくしたんですか?」
野木:厳しい
満島:ひかりさん、あそこは考えて足したんですか?とか。りおちゃんもう聞かないで!ってw
野木:厳しい厳しい
満島:野木さんの脚本はキャラが濃いんですよ!
野木:あー
満島:ラストマイルも、初めて野木さんの本の実態を見たというか。わたし何にもわかんなかったんですよ、ほんとに。
野木:でも最初の本読みの時にすごいわかってるふうにやってませんでした?
満島:やってた
野木:その時すでに上手かったんですよ
満島: 脳みそに行かなかったんですよ。体に来る感じ。だから脳に行くほうが処理ができるから、コントロールできるんですけど、プレイヤーになってる感じ。終わりの日まで何にもわかんないまま突っ走っちゃって。だから主人公のエレナさんと同じ気持ちにだけしようと思って、その後の仕事全部白紙にして、とにかく挑んでた
野木:なんかすいませんでした
満島:そういう大胆なことするの大好きなので。
野木:取材でもなんかすごい自信無さげなコメントしてたよね。
満島:初めてこんなに自信ないかもとか
野木:すごい良かったですけどね
満島:すごい色んな、昔から知ってる人には、ひかりいつもと違うかもって言われました
野木:それは嬉しいですね 色んな顔があるはずだと思って見てみたい満島さんを書いたので
満島:武器を出せなかった
野木:それは塚原さんの手の上だったんじゃないですか
満島:でもわたし武器あったんだっけ?ってくらい見つからなくて
書かれてることがあまりにも、自分自身に来る話だったのかもしれなくて、わたしは芸能界にいますけど、システムとか歴史に組み込まれてしまって、変えられなくて、でも変わってきたことと、いいことばっかりじゃないこと、エレナさんの立場と,自分自身もちょっと近くて。リアリティがありましたね。試写会が終わったあと、みんな色々話したそうにしてて、中学校からの親友が三人見にきてて、ずーっと喋ってましたね。朝から頑張って疲れてただろうに
野木:え?それ昨日のはなし?
満島:そうです、疲れてたんですけど、22時くらいに親友たちがやってきて、お茶をしようって言って、あのシーンはさあ!って。えっここから!?って感じでw 23時くらいに、「ごめんごめん、もう眠らなきゃね!ひかり」って帰っていった
野木:それはでも嬉しいですね
満島:アンナチュラル見た時も、MIUも、誰かと話したくなりました。あそこはどう感じてる?って。今広報で色んな方が来てくださってるんですけど、インタビューする方たちが、映画を見て、それぞれの感想を持ってインタビューするのがすごく面白くて。働く社会の人がその人の視点で、色んな視点で話してくれるから。今撮影したら、本当にいいんじゃないかと思うんですが
野木:きっとそれは面白くないんですよ。それは塚原の手の内のところがあって。言ってたんですよ。役者さんって入り込みすぎちゃうところがあるから、そうなる前にいかに刈り取るか、って
満島:おおおかっこいいー!
野木:かっこいいよねー。
満島:かっこいい!
野木:すごいと思って。そうやって刈り取られたんですよ。
満島:半年間、時間をかけて今までよりゆったり脚本を書いた時、見終わってどうでした?
野木:もう終わって拍手。塚原あゆ子、よくやった!満島ひかりもよかった!みんな良かった!って
満島:自分が(脚本を)書いてた時にできたものを想像しますか?
野木:わたしすごいする。カット割まで想像する。
満島:そうなんだ!ちがいました?
野木:そりゃ違うよ。常に違うし、常にわたしの想像を上回ってくれる監督としか仕事したくないし。塚原監督は常にわたしの想像を上回って、「なるほど!」って思わせてくれる監督だから、わたしはきゃっきゃしながら見ているので。だから今回はすごく「そうなんだよ…さすがよくわかってくださる!こうきたか………」って一人でキャッキャしながら見てましたね
満島:野木さんは一人でテーマ決めてるわけじゃないんですよね。
野木: そもそも今回は塚原監督が物流に興味があるから,荷物が爆発する話がいいんじゃないかって言って,わかったそれで考える。って。
満島:塚原監督ってホラー好きじゃないですか、今回も荷物が爆発するとかホラー要素ありますよね。
野木:あれはホラーというより…ミステリー要素ではあるんじゃないかな
満島:結構爆発してる様子とか映るじゃないですか
野木:でもRはかかってないですよね
満島:そうなんだよな…
野木:でも景気よく爆発してるよね。
満島:こわいです。
野木:その辺は(塚原監督の)好きというか得意(な方向)だよね。試写会でもビールとポップコーンとか言ってるけど、食べれた!?って思っちゃった
満島:そうですよね!
野木:なんか塚原さん、ずっとそれ言ってたけど食べれないでしょ!
満島:スタッフもみんなポップコーン持ってたけど、わたしと塚原さんだけ食べて,みんな残ってた 笑
その使者見た時に、わたしの友達もすっごい余ったポップコーンもってきて、それつまみながら話しました。

曲かけ

満島:脚本書いている間も音楽とか聞くんですか?
野木:歌詞に引っ張られてるので聞かないですが、MIU404を書いてる時は、アンナチュラルの得田さんのサントラ曲を聴いてたりとか、ラストマイルを書く時は得田さんのサントラか、米津さんの曲をずっと聴いてたりとか。米津さんの曲は聴きすぎて歌詞に引っ張られないので。あと(アンナチュラルとMIU404とラストマイルは)三部作だからまあいいだろ,って感じで 笑

満島:仲間ですよね。新井さん野木さん塚原さん米津さん。
野木:まあでもそんな会ったことないんですけどねでも毎回ドラマの時に前2回ラジオに呼んでもらって話したのと、打ち上げで一回会ったくらいかな
満島:今回は全部描き終わって、編集も終わった時くらいに米津さんの「がらくた」って曲届いたじゃないですか。歌詞読んでみてどうでした?
野木:なるほどー、とおもって。最後にこうきたかー、と。でもなんか泣けちゃいますよね
満島:泣けちゃいますよね
野木:最初すごく、「ラストマイルの曲だ」と思ったんですけど、意外とこの三作品の全部の曲なんじゃないか。と思ったりして、それくらい広い
満島:全てのキャラクターに当てはまる楽曲でしたよね。個人的に歌ってるように思えて、多くの人がわたしのことかも,って思うような曲って、やだずる……って
野木:Lemonもアンナチュラルとピッタリってよく言われてるけど、よく知られてる話ですけど、米津さんのおじいちゃんが亡くなったことを歌った歌だっていう
満島:非常に個人的な…
野木:中堂の歌だって言われてるけど
満島:あ、そうなんだ 笑
野木:うんうん
満島:みんな解釈するじゃないですか、製作者が意図してなかったような解釈をファンの方がしたりして、そういうのって嬉しいですか?
野木:出しちゃったら自由じゃないですか。だから好きにみてくれ,って思いますね
満島:この前米津さんのYouTubeに出してもらって、ガラクタの話も、全然映画と関係なく書いたって言ってて
野木:やっぱりね。そうなんですよ
満島:でも映画で言葉にしてないところが浮き立ってきますよね
野木:そうですね
満島:プレミアム試写会すごかったですね
野木:派手でしたねー
満島:緊張するとも違くて、ずっと愛されてきた作品とファンの中で、主演なのにわたしがアウェイみたいな、謎の感じがずっとあって、でもみんなが映画のことをすごく応援してくれてる感じがあって、すごいいい人たちだった!
野木:いいひとたちだよ!
満島:みんな男の方達が黒い服で、どうにかディーンさんだけでもサテンかキラキラの服で着てくれ!と思って、したらめっちゃキラキラしたスーツで来てくれて、どこにあんのさそんなスーツ!と思って(喜)!岡田さんまでチェーンいっぱいついているようなスーツで、めっちゃはだけてて。阿部さんは金髪で。舞台中なんですけど、ふくすけだったかな?
野木:金髪でしたねぇ
満島:そしたらアンナチュラルチームが想像以上に歌舞いてて!
野木:いやよかったですよ。主役ですから
満島:個人的には最後、残ってるアンナチュラルチームがいたので、みんなで壇上で待ってたんですよ。宇野翔平さんと安藤珠代さんが、こんな派手な舞台でオレンジカーペット歩いてるのをみて、感極まってました。あんまりステータスみたいなのは好きではないんですが、でも力のある俳優さんたちが、好きな人は見てくれるけど、大きな作品でカーペット歩いてるのを見るとグッと来るというか。
野木:いいですよね
満島:スタイリストさんとかヘアメイクさんとかいっぱいいて、裏で直してたんですけど、宇野さんがひとりで座ってたんですよね。アシスタントさん呼んで、宇野さん一人だよ,って言ったら呼んできて隣に座って、その子が「油とっていいですか」って言って、思ったよりあぶら出てきて、「結構油あったね」って宇野さんが言って、綺麗にしましょって言って、緊張してたので、すごくみてて良かったです。
野木:裏の主役ですからね。宇野火野コンビで佐野親子。
満島:(撮影現場で)ずーっと火野さんが「宇野です」ってふざけてましたね。ちょっと長くなっちゃいそうなので、このあたりで。野木さんの脚本に転がされることができたら嬉しいです。
野木:ラストマイルありがとうございました。ほんとに美しかったです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?