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CLAMPのすごさ 視線誘導の技術

漫画の視線誘導ってご存知ですか?
1番有名なのは(漫画じゃないけど)
葛飾北斎の『東海道五拾三次 神奈川沖浪裏』ですかね。


富嶽三十六景 神奈川沖浪裏  文化遺産オンラインより


大きな波で目を引き、
その流れで視線を富士山に誘導し、
そして波の出発点である小舟に注目させる。
作品の主要な要素全てに目がいくように
設計されていることで有名です。

この技術、実は漫画制作にとって非常に大切です。
映画と違って読者が一点に注目しているわけではなく、紙の上で物語を伝えるからにはどの順番でどう読ませるか、が非常に重要な演出プランとなります。


順番の誤読は感情の誤読
そして出来事の誤読に繋がります。

この辺り私はとても大切だと思うのですけど、
今は誤読させるような漫画も増えているんですよね…
編集さんが足りないんだろうなぁ

CLAMP作品、特に2000年代以降のものは、
その誤読が本当に全く起きません。


視線誘導の線を入れる前と入れたものを
並べますので、一度読んでみて
ぜひ比べてみてください。

すき、だからすき。より

CLAMP展 筆者撮影

この左のページは人物の頭部に目が行くように
画面づくりをされています。

CLAMP展 筆者撮影

告白シーンということもあり、
自然に表情や人物同士の距離が縮まっていることを表しています。


カードキャプターさくらより

CLAMP展 筆者撮影
CLAMP展 筆者撮影

これもキャラクターの顔で視線誘導を
行っていますが、
吹き出しの大きさや位置を工夫して
より読む順番がわかりやすいようになっています。


CLAMP展 筆者撮影+加筆

連載雑誌がなかよしということもあり、
低年齢層でも読みやすいようにとの
配慮もあるのかもしれません。

最後はxxxHolicから。

CLAMP展 筆者撮影


一枚目の原稿、背景の線が
弧を描いているのにお気づきでしょうか。
これは雲形定規というアナログ漫画家御用達ツールで描くのですが、
直線以上にめちゃくちゃ引くのが大変な線です。

絶対にクリスタじゃないと描きたくない
ていうか描けない

二枚目の原稿に漂う雲も、
かなりの作画スキルを必要とする線です。
描けっていわれて澱みなく一発で描ける人
多分絵で仕事もらえます

CLAMP展 筆者撮影+加筆

CCさくらよりも密度が高く、
一ページの中に視線が何度も右左折しているのが
お分かりでしょうか。

これは掲載誌が青年誌であることが原因でしょう。
ある程度以上漫画を読み慣れた10代以上が読み、
一話に満足するボリュームにするためだと思われます。


背景の線で
手指の所作で
キャラクターの視点で
読者の視線の方向を操っているのです。

まじで漫画家としてお金を稼いでいきたい方は
メガヒット漫画家の模写をするのをお勧めします。

絵の魅力はもちろんのこと
物語を楽しませるテクニックが詰まっています。

特に近年では、週刊少年ジャンプのアプリ、ジャンプ+の連載陣のネームが素晴らしい。
新人も多くデビューしていることを考えると、
編集部内で読みやすさを構築するためのノウハウが共有されているのでしょう。

私は漫画家ではないですし、
商業漫画で食べていくつもりもありませんが、
構図の勉強として、一度はやってみたいと思います。

その時はまたnoteにあげると思いますので、
よかったら見てくださいね。

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