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友あり遠方より(?)来たる、また楽しからずや!

アーノルド・ローベル作品集、がまくんとかえるくんシリーズ, 「クッキー」(『ふたりはいっしょ』から)転載

なんちゃって。ぜんぜん遠〜くない遠くない。電車で1時間かそこらのところに住んでいるので、お互いの中間地点で逢瀬を重ねて来たが、私の方が若干不利な条件だと言うことで、私の地元で会うことになっただけのことだ。

この彼女、マレーシア滞在中に出会ったから、かれこれ30年以上の付き合いになる。長女のインターナショナルスクールのクラスメイトだったことで、家族ぐるみの付き合いが始まった。

ほぼ月一に会って、昼食を食べお茶をする。4時間以上はしゃべっている。「何をそんなに話すことがあるんだ」とイーオットにも娘たちにも呆れられる。でも数少ない私の友人だと分かっているので、「ゆっくりしておいで」と言ってくれる。

この人「わきまえない女」である。言わんでいいことを言う。やらんでいいことをやる。理不尽なことには敢然と抗議する。でもやりすぎてちょっと顰蹙(ヒンシュク)をかったりする。「えっ?、あんたには言われたくないって」ごもっともでございます。かく言う私めも同類の人種でございます。

私たち、この時ばかりは隠し持った毒を思う存分吐き出すのであります。「差別表現だと分かってるんだけどさ」と断りを入れて、日頃感じている不平不満、文句を言い合う。時々「ハッ!」と、どちらかが正気になって「それ、ちょっと言い過ぎじゃない」などと牽制する。すると、内面は本当は臆病で軟弱な私たちのこと、「そうかな?やっぱり」などと言って、ちょっと神妙になって反省する。

「反省だけなら猿でもできる」手前勝手な現金問屋は立ち直りも早い。「話変わるけどさ」などと言って、シラーっと別な話題へと誘導する。そしてそれはそれでまた盛り上がる。話題は尽きなく、あっという間に4時間が経ってしまう。

今回地元の喫茶店に入ったら、あらかじめ2時間の札を渡された。「えっ?おしゃべりおばさんと見抜かれたか?」辺りを見渡すと、他の客も渡されているようだ。「ちぇっ、チャッカリ、いや、キッチリしてやんの。あと2時間ほかを探さなくちゃなんない💢」

2件目は、「飲み物だけでもいいですよ」と言ってくれたレストラン。しかもドリンクバーで飲み物飲み放題。それだけで、現金おばさんは得をした気分になり幸せ一杯。

ここで第2ラウンド開始。「チーン」とゴングは鳴らないが戦闘開始。昭和の女だから、今から思うと滑稽に思えたり不可思議な当時の習慣や服装や文化を辛辣に笑い飛ばす。「私たち、なぜあんなに大真面目に従っていたんだろうね」なんて言って。この手の自虐ネタではいつも盛り上がる。お腹を抱えて笑える。

でも私たち、バブルを知らない。海外にいて帰った時は、ちょうど弾けた時だった。2人ともそれをとっても残念に思っている。一度、そんなゴージャスな体験してみたかったね。ちょっぴりしんみりしてお開きである。「今年はこれが最後ね。また来年会おうね」と言って別れたのである。身も心もスッキリ、毒を吐いたあとだけに😱


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