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今日ときめいた言葉172ー「おかしいと声を上げた人の声は決して消えない」

またしてもNHKの朝ドラ「虎に翼」からの言葉である。

このドラマの言葉が刺さるのは、おそらく今、自分がいる状況に大いに不満を感じ失望しているからだと思う。政治を見ても経済を見てもどれも暗い状況でこの国のいく末に明るい兆しが見えず、社会全体が閉塞感で覆われていると感じているからだと思う(明るいニュースと言えば大谷選手の話題ばかりで、大谷選手のニュースがやけに多いいと感じるのは私だけではないだろう)

だからドラマの主人公の前向きでポジティブな言動に励まされる。まだ戦後5年も経っていない昭和25年という時代、今の女性が置かれている状況よりずっと不利な中で彼女が声を上げている。

ドラマの中での言葉とはいえ、実在した人物をモデルにした話であり、ドラマで描かれる女性たちが経験した事柄は、現代の私たちにとっていまだ過去のものにはなっておらず現実のことであることに、自分の状況を投影させ、つい感情移入してしまうからなのだろう。そして、自分は声を上げることもなく愚痴っているだけだと自嘲しながら省みている。

タイトルの言葉は、新しい憲法第14条で「法の下の平等」を定めているのに尊属殺人の重罰規定(尊属殺人は死刑または無期懲役と他の殺人とは刑罰の重さが異なる)を違憲としたのが最高裁判事15名のうち2名だけだったということに対して甥っ子が言った、

「それっぽっちじゃ何も変わらないよ」

に対して言った主人公の言葉である。

「ううん、そうとも言い切れない。判例は残る。たとえ2人でも判決が覆らなくても、おかしいと声を上げた人の声は決して消えない。その声がいつか誰かの力になる日がきっと来る。私の声だって、みんなの声だって、決して消えることはないわ。何度落ち込んで腹がたっても私も声を上げる役目を果たし続けなきゃね」

そんな勇ましい彼女でも、こんな弱音を吐いている。それもまた心に刺さる。

「民法だけはない。新しく理想的なことを行うためには相当の工夫や努力と日時を要するもの。学生時代から心底分かっている、、、はずなのに。うまくいかないと腹が立つ」

それを聞いた相手の返答もなかなかいい。

「悩む意味あります?言ってたでしょ。その時の自分にしかできない役目があるかもしれないって。だからうまくいかなくて腹が立っても意味はあります、必ず」

尊属殺人の規定が削除されたのは1995年である。つい最近のことのように思う。

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