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愛の不時着から始めたnote

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愛の不時着についての俵万智さんの記事「はにかみと思いやりのずらし話法」に触発されて、私もあのような素敵な文が書きたいと投稿を始めました。今は、韓国ドラマの他、自分の体験談や日頃思…
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#民主主義

今日ときめいた言葉140ー「規範意識が内面化されなければ、古い価値観は居座り続ける」

(2024年4月26日付朝日新聞「古い価値観対話でほぐせ」 政治学者 岡田憲治氏の言葉) (要約) 「不適切発言を繰り返す放言居士、例えば麻生太郎さん、森喜朗さん、トランプ前大統領のような人たちは、おそらくもう変わらない。だからと言って不寛容な価値観に対して寛容でいる必要はない。差別発言や侮蔑発言にはきちんと責任を取らせるべきである」 「問題はこういう放言居士に心の中で快哉を叫ぶ人たち、ポリティカル・コレクトネスやコンプライアンスの意味も考えずに表面的に従っている人たち

今日ときめいた言葉137ー「英語のアカウンタビリティーの訳は、『説明する責任』という意味で使うのは誤りです」

(タイトル写真は政治ドットコムから転載) (2024年4月6日付 朝日新聞「政治家が果たすべき責任」政治学者 豊永郁子氏の言葉) 「アカウンタビリティーは情報を開示し、説明する義務があるだけでなく、責任を追及され、解任などの罰を与えられる立場にあることを意味します(「答責性」とも訳されます) 説明するだけでは許されず、結果責任も問われ、制裁もある厳しいものです。民主主義は、政権の国民に対するアカウンタビリティーを、選挙で国民が政権を解任できるようにすることによって実現し

ドキュメンタリー映画「国葬の日」(大島新監督)ー浮き彫りになった「日本人の無関心」

この映画は、安倍晋三元首相の国葬が行われた2022年9月27日一日を日本の10ヶ所の場所で人々がどのように過ごしていたか、国葬についてどう思っているかを撮影者側の主張を入れずにカメラを回し、ありのままを編集したものである。葬儀の3日前に思い立って、各地で撮影したもので結果をあらかじめ想定して作られたものではない。 ロケ地の選定は大島監督によると「すぐ決まったのは、東京、下関(安倍元首相の地元)、奈良の銃撃現場、沖縄(辺野古)、福島の5か所。これはその土地が持っている意味や、

今日ときめいた言葉121ー「政治家よ、言葉で人を動かせ」

(2024年3月1日付 朝日新聞 「私の視点」  開志専門職大学教授 増田達夫氏の言葉から) 増田教授は「若者と国の未来のために、言葉で人を動かす」政治家たらんことが求められていると語る。 人の力こそが国力の源泉である。天然資源の乏しい我が国にあってはなおさらである。しかるに、日本の国力は落ち続けている。だから政治家にはこの現状を食い止めようとする覚悟が必要だ。 そして「民主主義の原点に立ち、言葉の力で人を動かすことに徹しなければならない」という。しかし、今の日本の政治

今日ときめいた言葉31ー「政治家よりもまともな国家や共同体を作るのが小説家の仕事だ」

(2023年3月8日付 朝日新聞 「有事の前例『明後日の日本』」から小説家・法政大学教授 島田雅彦氏の記事から) 「政治や経済はシステムや権力を最適化したり、効率よく運用したりするジャンルだが、文学は個々の心情や感情、知性の自由な働きにのっとっている。 心折れる現実、マフィア化したこの国家、出口の見えないこの戦争から逃れ、自らの生存に最適な異世界をどのように立ち上げるか、といったところに知性が発揮される。 現実の主権国家も『想像の共同体』に過ぎないのだから、独裁制ではな

今日ときめいた言葉28ー「為政者と対峙するジャーナリズムは憲法が求める役割 鋭い追求こそが政治記者へのリスペクトをもたらす」

この言葉、ニューヨーク・タイムズの政治エディター、デイビッド・ハルブフィンガー氏の言葉だそうだ(2023年1月25日付 朝日新聞 論座の一推しから) 記事は続けて言う。氏がジャーナリズムの世界に入ったのは、 「『番犬(Watchdog)としての監視』が重要と考えたから。記者が取材源と親しくなり過ぎてへつらうリスクを指摘し、為政者に執拗に問いを重ねる『根性』がないなら『この仕事はやらないほうがいい』」と。 アメリカの民主主義への脅威が高まっているからこそ、番犬の役割もより

「民主主義を信じる」(宇野重規 著)を読むー「日本社会は批判に開かれ、常に自らを修正していく能力を持っているか」

本書は、下記に掲載した書籍「民主主義とは何か」と同じ著者によるものである。2016〜2020年まで東京新聞に連載した「時代を読む」の文章をまとめたものである。 この「民主主義を信じる」を最後まで読み「あとがき」を読んだ時、この著者が日本学術会議により推薦された会員の中で、任命を拒否された6名の一人だと分かった。不覚にもその名を知らずに読んでいた。 この2冊を読み終わった時、そこから伝わってくる著者の民主主義に対する強い思い、確固たる信念に大いに勇気づけられた。だから「民主

「民主主義とは何か」( 宇野重規 著)を読むー日本は民主主義国家なのか?

<はじめに> 「日本は民主主義国家なのか」と問われて、首を傾げてしまう自分がいる。選挙という制度があり、選挙で選ばれた政権ではあるが、戦後70有余年ずっと同じ政党が政権を担っている。 例外的に数回政権交代があったものの、政党が代わる代わる交代して政権を担うということは近年はない。誤解を恐れずに言えば、一種の「一党独裁国家」である。 強権や武力は使わないが、ソフトパワーでそのような体制が作られているように思えて仕方がない。小選挙区制は完全に現政権に有利だ。「地盤看板カバン

今日ときめいた言葉4ー「亡くなる前だからこそ一緒にいてあげたい」(絶望の香港を撮り続けた監督の言葉)

「権力による歴史の書き換えだけではありません。人は、記憶しておきたいことは覚えているが、そうでなければ忘れてしまったり自ら書き換えてしまったりするものです。集団にせよ個人にせよ、記憶は事実とは距離があります」   (2022年7月16日朝日新聞 チャン・ジーウン「絶望の香港を撮る」から) これは香港の映画監督、チャン・ジーウン氏の言葉である。チャン氏は、香港が一国二制度を踏みにじられ、自由を失い、市民が沈黙を強いられるなかで、5年がかりで映画「Blue Island 憂鬱之