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最愛の人



かのんです。


『安心感』


それはお母さんが旅立って
私の中に芽生えた思いでした。


もう最愛の人を
誰も失わなくて済む。


そんな安心感。


もう泣かなくて済む。
誰かを想って涙を流さなくて済む。
こんな辛い悲しい想いをしなくて済む。


物心ついた時から
両親を守る。
と肩肘張って生きてきた私には
自覚はそうはなくとも
両親の命を預かっている。
という感覚が常にありました。


お父さんが事故の後遺症で
てんかんの発作を患うようになり
同時にお母さんはうつ病で
心療内科に通うようになり
右に行くも、左に行くも
すべての決定権は私。


病院選びにせよ
健康管理にせよ
お財布の紐も
私たち一家が生きていく上での責任が
すべて私の中にありました。


お父さんが
発作を起こしてしまいそうな時は
何となくいつもと様子が違っていたので
お父さんの様子には常に目を光らせ


お母さんは
『死にたい』って思いが
時に顔を覗かせる時があったので
やはり言動には目を光らせ
私の生活の中心は
両親になっていました。


時にお父さんが発作を起こせば
左手に子機を持ち
119に電話をしながら
右手に携帯を持って
かかりつけの病院に連絡を入れ
受け入れ体制を整えてもらう。
そんなこともありました。


手を震わせながら
バクバクする胸をごまかして。
冷静に、冷静に。
と自分に暗示を掛けながら。
パニックで
うろたえてしまっているお母さんを
落ち着かせつつ。


そんな手が震えて
息が止まりそうな思いを
もうしなくて済む。


大切な両親に万が一、、、
って両手を合わせて祈りながら
待合室で待つこともしなくて済むんです。


不安で胸が引き裂かれそうな思いを
もう味わいたくはない。



テレビや新聞で色んなニュースを見て
様々な感情に翻弄されることはあれど
両親ほどであるはずがない。


それが私の安心。
束の間の安心。


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