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第14章 「色の不思議」

「学問こそが最高の娯楽である」シリーズの第14章。このシリーズは毎週土曜日18時前後にアップします。

前回ちょっとお休みさせてもらいましたが、事情というのは、前記事の通り放射線取扱主任者試験の試験勉強の時間を取りたかったからです。

普段やらない分野の勉強というのもたまには良いですね。

こういう資格試験みたいなのはどうでもいい暗記とか本質的でない部分をがんばらないといけないので、二度とやりたくありませんが(笑)

さて、今回は「色」のお話です。

1. 虹の順番

皆さん、虹の絵を描いたことってありますか?

あまり気にしない人もいるかも知れませんが、虹の色は順番が決まっています。

一番上のイラストにある通り、必ず一番外側(上)が赤、一番内側(下)が紫になっています。

そして、上のイラストはちょっとだけ不正確です。

虹って何色だと思います?

7色って習いますよね?

でも、それって別に世界の共通認識ではありません。

例えばアメリカ人は6色だと思っているそうです。

まあ、結局虹の色はくっきり境界線があるわけじゃなくてグラデーションになっているので、見る人によって色は無限にあります。

確実なのは、が端っこにあるということだけですね。

で、なんで赤が一番外側(上)で、紫が一番内側(下)なのかには理由があります。

知っている人も多いと思いますが、虹というのは太陽の光の色が空気中の小さな水滴によって分離されて見える現象です。

だから雨上がりや霧雨が降っているときなんかに虹が見えるのです。

そして、なぜ分離されるのか。

太陽の光が空気中の小さな水滴にぶつかると散乱(反射)されます。

そのとき、光は色によって微妙な屈折率の違いがあるため、曲がり方が違うのです。

そして、屈折のしかたは色によって決まっています。

下の図のように、屈折がするどい紫色は低い位置の水滴から、屈折がにぶい赤色は高い位置の水滴から目に入ってくるため、毎回必ず赤が一番上、紫が一番下側に見えるようになっています。

ちなみに・・・

虹が二重に見えるときがありますが、このときは話が別です。

詳しい理由については割愛しますが、外側にある暗い方の虹は、色が反転しています。

つまり、外側の虹は一番下が赤、一番上が紫になっているんですね。

もし、漫画かなにかで虹のイラストを描く機会があったら、間違えないように注意しましょうね。

2. 見え方の謎

さて、もう一つ。

光の三原色という言葉を聞いたことがあると思います。

赤、緑、青ですね。

英語の頭文字をとって「RGB」なんて言われたりします。

色はこの3つの組み合わせで作ることができるんですよね。

三色の光が合わされば白い光になります。

実は人間の目も、この三つの色の光の強さを脳が認識して色を判断しています。

なので、テレビやパソコンやスマホのモニターは基本的にはこの三原色を基本として作られています。

一方で、プリンタのインクは別の三色ですよね。

シアン(水色)、マゼンダ(ピンク)、イエローの三色で「CMY」と呼ばれます。

なんでRGBじゃないのかというと、昔、写真のカラー画像を作るときに使った化学染料の名残だそうです。

この三色はRGBのちょうど間ぐらいにある色なので、役割としては同じです。

基本的には「RGB」と同じで組み合わせて色を作るんですが、大きな違いは三色を混ぜると黒になることです。

なんで白になる場合と黒になる場合があるのか。

光に注目するとわかります。

光の三原色の場合、「赤い光」と「緑の光」と「青い光」を足し算していくので、明るくなる方に変わります。

それにたいして、インクは逆です。

インクのシアンという色は、「青と緑の間の色」なんですが、原理としては白い光から赤色の成分を吸収(引き算)する効果がある色素なのです。

同じくマゼンダは緑を、イエローは青を引き算します。

白から引き算して残った色ということなので、三色のインクをあわせると光の三原色すべてを引き算してしまいますので、黒になるというカラクリです。

逆にいうと、インクのCMYと同じ色の光を組み合わせると、足し算になるのでちゃんと白になります。

カラーの絵を描くときは、光の三原色と色素の三原色の違いを覚えておくと役立ちます。

3. 紫外線と赤外線

さて、すべての色は光の三原色で作られるという話をしましたが、ちょっと虹の話に戻りましょう。

虹は「赤(R)→黄(Y)→緑(G)→シアン(C)→青(B)→紫(M)」の順番になっています。

この正体は実は光のエネルギーが関係していまして、最もエネルギーが強い紫の光から順に、赤に向かってエネルギーの弱い光になっていきます。

紫よりもエネルギーの強い光は紫外線と言って、人間の目には見えません。

日サロなんかにいくと紫色のランプがありますが、あれは紫外線が見えているわけではなく、紫外線と一緒にエネルギーの近い紫色の光も出ているというだけです。

紫外線はエネルギーが強い光なので、肌にダメージを与えます。

体はこれを防御しようとして皮膚にメラニン色素を発現させて、紫外線をブロックしようとします。

これが「日焼け」ですね。

紫外線を浴びすぎると体が赤くなりますが、これは日焼けじゃなくてただ皮膚が火傷しているだけです。

一方で、赤よりもエネルギーの弱い光は赤外線と言って、これも人間の目には見えません。

赤外線は物理的理由で水分子を温める効果があるので、この光を浴びると暖かいんですが、実はエネルギーの弱い光です。

赤外線で日焼けしたりはしないです。

体の中の水の温度を上げる効果があるので、強烈に浴びすぎると火傷をしますが、基本的には紫外線ほどの害はありません。

パソコンモニターのブルーライトが目に悪いと言われるのも、目に見える色の光の中で、青はそこそこエネルギーが強いからです。

4. 「なんで紫なん?」問題

さて、光の三原色を組み合わせると色が作れるという話をしましたね。

エネルギーの弱い赤色(R)の光と、その中ぐらいに弱い緑色(G)の光を合わせると、人間の目はこの二つの間ぐらいのエネルギーの黄色(Y)の光だと認識します。

これはなんとなく理解できますよね。

次に、中ぐらいにエネルギーが弱い緑色(G)の光とまあまあ強いエネルギーの青色(B)の光を合わせると、これまたちょうど間ぐらいのエネルギーのシアン(C)だと認識します。

おかしくはないですね。

問題は次です。

エネルギーの一番弱い赤色(R)の光と、まあまあ強いエネルギーの青色(B)の光を合わせると、人は何色だと認識するのか?

答えは最強のエネルギーを持った紫(M)です。

なんでやねんと。

赤色の光と青色の光のちょうど真ん中ぐらいのエネルギーを持つ光は緑(G)です。

それなのに人間の目はなぜか紫だと判断するんですよね。

ちなみに、「赤い光と青い光を合わせた光」と、「紫の光」は物理的には全く別モノです。

全く別の性質を持った光を、人間の目は「同じ色」として認識するんですよね。

要するに錯覚です。

人間の目と視神経のメカニズムは面白いですね。

今回は以上です。

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