冨岡義勇に関する誤解
めちゃくちゃ久しぶりの更新が漫画の話ですみません。
タイトルの通り、「鬼滅の刃」の登場人物である冨岡義勇について、私の認識と世間の認識がズレていることに気づいたので、そのことについて書きたくなりました。
興味ない人はご容赦ください。
あと、まあまあのネタバレを含むので、興味あるけどまだ読んでない(アニメを見ていない)という人はスルーしてください。
というわけで本題です。
1. 冨岡義勇の師匠
話というのは、冨岡義勇の師匠についてです。
皆さん、冨岡義勇の師匠って誰だと思いますか?
「そんなもん、鱗滝左近次に決まってるやん。」と思いますか?
私は「鱗滝左近次なわけがない。」と思っています。
今日この記事を書いたのは、この話がしたかったからです。
上記の通り、私は冨岡義勇の師匠が鱗滝左近次のはずがないと思っているのですが、どうやら世間一般的には「冨岡義勇は鱗滝左近次の弟子」ということで通っているようです。ネット上の解説記事なんかもそういう認識で書いてありますね。
だって、原作にもそう書いてるやん。
という意見が聞こえてきそうですが、言わせてください。
そんなこと、原作漫画にひとことも書かれていません。
この件に関しては、すでに全23巻を5周ぐらい読み返している私は自信があります。嘘だと思う人は読み返してみてください。書いてませんから。
でも、世間の人が「冨岡義勇は鱗滝左近次の弟子」と思う理由はわかるんです。
まず、炭治郎を鬼殺隊の剣士に育てる師匠として鱗滝左近次を紹介したのは冨岡義勇であることは確かです。また、鱗滝左近次も冨岡義勇も、同じ水の呼吸の剣士ですよね。そして前者は元・水柱であり、冨岡義勇は現・水柱です。両者が顔見知りであり、それなりに親交があることも確かです。
これだけ見ると、原作で明言されていないとはいえ、冨岡義勇が鱗滝左近次の弟子だと考える方が自然かもしれません。
しかし、私が「冨岡義勇の師匠が鱗滝左近次なわけがない」と確信するのは、「原作でそんなこと書いてないから」という以外に、いくつか根拠があります。
2. 錆兎と義勇の関係性
まず第一の根拠は、鬼殺隊の剣士の育成システムについてです。
作中で描かれる鬼滅の剣士への修行過程はほぼマンツーマン指導で行われるのが基本です。
作中で明確に師弟関係が描かれているのは下記の組合せです。
弟子:竃門炭治郎 ⇔ 師匠:鱗滝左近次(元・水柱)
弟子:錆兎 ⇔ 師匠:鱗滝左近次(元・水柱)
弟子:真菰 ⇔ 師匠:鱗滝左近次(元・水柱)
弟子:我妻善逸 ⇔ 師匠:桑島慈悟郎(元・鳴柱)
弟子:獪岳 ⇔ 師匠:桑島慈悟郎(元・鳴柱)
弟子:栗花落カナヲ ⇔ 師匠:胡蝶しのぶ(現・蟲柱)
弟子:煉󠄁獄杏寿郎 ⇔ 師匠:煉󠄁獄槇寿郎(当時・炎柱)
桑島慈悟郎は一時的に同時に2人の弟子を育てていた時期がありますが、修行をつけ始めた時期はズレており、兄弟子の獪岳は善逸よりも先に最終選抜をクリアしています。
錆兎と真菰も、炭治郎とは全く別の時期に修行を受けているので被っていません。また、この2人の修行時期がお互いに被っていたかどうかは作中で描かれないので不明です。
冨岡義勇が鱗滝左近次の弟子だと思っている人は、錆兎と冨岡義勇が一緒に修行を受けていたと解釈していると思いますが、作中でそんなことは書いていませんし、上記の通り、まず2人同時に修行を受けるということがかなり確率の低い話です。
参考のために、以下に義勇の台詞を引用します。
「錆兎という獅子色の髪の少年と一緒に選別を受けた」
「十三歳だった 同じ年で天涯孤独 すぐに仲良くなった」
「錆兎は正義感が強く心の優しい少年だった」
はい、「共に修行をした」とかどこにも書いていません。
台詞にもある通り、一緒に選別受けただけの関係性ですね。
炭治郎と善逸の関係性みたいなもんです。
そして、同い年で境遇も似ていたので2人はすぐに仲良くなりました。(これは明確に書いてあります)
それに、仮に一緒に修行したのだとすれば、仲良くなったエピソードを話すのに最終選別のときの年齢(13歳)を言うのも不自然ですよね。「出会ったのは11歳のころ 共に修行をして 13歳のときに選別を受けた」みたいな言い方をすると思うんです。(参考に、炭治郎の修業期間は2年です)
あと、錆兎と義勇を同門と考える人の根拠としては「2人が共に水の呼吸の使い手であること」があると思いますが、これは全く根拠にはなりえません。
単行本の幕間に記載してある作者コメントによると、水の呼吸の育手はたくさんいて、一番使い手が多い呼吸ということです。
ついでに言うと、村田も錆兎と義勇と同じ年の選別を受けていて、2人と同じく水の呼吸の使い手です。
同じ水の呼吸だから同じ師匠なんて話にはなりませんね。
3. 最終選別時の義勇の実力
そして第二の根拠、これが一番重要な根拠なんですが、最終選別に参加したときの冨岡義勇が弱すぎるという事実です。
義勇は「最初に襲ってきた鬼に怪我を負わされて朦朧として」そのまま選抜は終了しました。
いや、弱すぎるやろ…。
作中で明言されていますが、最終選抜の藤襲山には基本的に「人を2~3人喰った鬼」しかいません。
異能(血鬼術)を持たないどころか、異形ですらない雑魚鬼ばかりです。
錆兎を殺した異形の鬼がいましたが、通常はありえない例外です。
狭霧山で鱗滝左近次のスパルタ修行をクリアして最終選抜に参加した剣士が、そんな雑魚鬼に負けますかね?
実際問題として、錆兎は山の中の雑魚鬼を1人でほとんど倒してしまうぐらいの実力でした。(なお、この時点の攻撃力だけなら炭治郎の方が上)
一方の義勇はなんで1匹の雑魚鬼に負けてるん?
同じ師匠の元で修行したとしたら、ありえなくない?
作中で、柱や元柱に修行をつけてもらった剣士は、新人のときから他とは一線を画する実力を持っていますよね。
しかも、冨岡義勇は後に水柱にまで昇りつめるほどの才能の持ち主です。
そんな彼が、元柱である鱗滝の厳しい修行をクリアして、さすがに雑魚鬼に負けるわけがない。
そんなことはありえません。
というわけで、錆兎と義勇が一緒に修行して、一緒に最終選抜を受けに来たという仮定だと、2人の実力差がありすぎという大きな矛盾が生じます。
義勇は鱗滝ではない他の育手の元でヌルい修行をしてきただけと考えるのが自然でしょう。村田がそうであるように。
ちなみに余談ですが、カナヲは当初から全集中常中が使えたりして、炭治郎や善逸と比べてもさらに格上の実力を持っていましたが、これにも理由があります。
これも単行本の幕間の作者のコメントですが、師匠である胡蝶しのぶが、カナヲが最終選抜を受けるのを許可しなかったという話が出てきます。つまり、とっくに最終選抜を突破できる実力になっていたのに、さらに追加で修行をしていたから強いのです。幼少時から修行をしていて修業期間も長く、本来であれば炭治郎の先輩になっているはずだったことがわかります。
4. まとめ
以上をまとめますと、作中で明記されている事実は下記の通りです。
1) 冨岡義勇と鱗滝左近次はある程度の親交がある。
現・水柱と元・水柱ですから、親交があるのは当然ですよね。しかも、義勇は鱗滝の弟子である錆兎と親友でしたから、その点からのつながりもあるでしょう。
2) 冨岡義勇は鱗滝左近次に炭治郎の修行を依頼した。
鱗滝は義勇が「本来は彼が水柱になるべきだった」と考える錆兎の師匠です。雑魚鬼に負けるようなレベルにしか育ててくれなかった自分の師匠よりも、鱗滝の方を信頼して託すのは当然ですよね。
3) 冨岡義勇と錆兎は同じ年の最終選抜を受けた。
炭治郎と善逸の関係と同じです。そして、境遇が似ていることから2人はすぐに仲良くなりました。
4) 水の呼吸の使い手は多い。
作中で水の呼吸であることが明言されているのは鱗滝左近次、錆兎、冨岡義勇、炭治郎、村田の5人です。当然ながら一番多い。
ちなみに、真菰の呼吸は不明です。実は錆兎は水の呼吸を使っているシーンが描かれていますが、真菰については作中では明確に描かれていません。おそらくは水の呼吸だと思いますが、しのぶ(蟲の呼吸)→カナヲ(花の呼吸)の例からもわかるとおり、師匠と同じ呼吸になるとは限らないからです。もし弟子が師匠と同じ呼吸の使い手になるのであれば、全員が日の呼吸の使い手になるはずですよね。派生の呼吸が出てくる道理がありません。
書きたかったことは以上です。
ご理解いただけましたでしょうか?
5. オチ
最後にオチです。
鬼滅の刃15巻 第131話の1コマ
義勇の回想シーンです。
・・・ん!?
厄除の面やんけ!
そしてこれ…
よう見たら狭霧山やんけ。
ちゃんちゃん。
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