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浅はかなゲーミフィケーションから卒業しよう

今回は、ゲーミフィケーション的な感じでなんか考えてよ!と漠然とオーダーを受けた「企画担当者」に向けてお届けします。

先日、自分が最近通い出した美容室の名前が思い出せずに探していた時の話。とある美容室の紹介サイトにたどり着き、そのサイトには、「ガチャ」というボタンが実装されていました。

私は過去、ハンゲームというオンラインゲームサイトで事業責任者をしていたこともあり、現在では、様々な分野でIT化のコンサルティングを任せて頂くことが多く、ご一緒させていただく現場でかなりの確率で「ゲーミフィケーション的な感じで」と投げかけられることが多いためか、この「美容室の紹介」という期待に対し、結構な目立つ場所に「ガチャ」という名前のボタンがあることに、なんとも言えない違和感を覚えましたので、今回の題材として利用させて頂きたいと思います。

そもそもゲーミフィケーションとは?

Wikipediaでは、

「ゲーミフィケーション(英: gamification)は、ゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事に応用することを言う。」

とされています。

また、ゲーミフィケーションについての考え方などは、こちらの動画でも解説されてますので、合わせてご覧ください。

モバイルゲーム産業が大いに盛り上がり、ガラケー/スマホ由来のソーシャルゲームに置けるユーザー体験をビジネスに活かそう!と、きっとそんな気づきから定義された言葉なんだと思います。

ただ、注意したいのですが、特に企画する人間は、ビジネスオーナーや発注者が語る「ゲーミフィケーション」という言葉に対して、Wikipediaで定義されている2つの期待に対する「正確なニュアンス」を理解する必要があると考えてます。

ゲーミフィケーションに対する「2つの期待」

私自身、現在も「ゲーミフィケーション的な企画」を求められることが多いのですが、その上で、Wikipediaで定義されている言葉をもう少し「生々しく」すると、だいたいの場合下記のようになります。

①「様々なスマホゲームで実装されているコンテンツを移植する」系
実話:「ログインボーナス(通称:ログボ)を実装し毎日ユーザーが来訪する仕組みにしてよ」

②「ゲームアプリのような使いごごちで、つまらないタスクを面白くしたい」系
実話:「アンケートを多くの人に回答してもらうために、敵を倒す仕組みがいいと思うんですよ」

このように、実際は、ルールや体感についてかなり「漠然とした解釈」がとっかかりになっている場合がほとんどで、企画者はまず、この漠然とした解釈の定義をする作業から始めることが重要です。

ゲーミフィケーションの落とし穴

ゲーミフィケーションのアイデアは、slideshareを覗けばいくらでタダで手に入りますし、なんなら、実装後の効果についても、1次データが入手しやすいため、説得力をつけやすく、会社の中での決済が通りやすいという側面を持っています。

一方で「効果的な実装」という意味では疑問の残る体験を提供しているサービスが少なくありません。
特に任された企画者のスマホに入っているゲームアプリを立ち上げ、そこで目に触れる「わかりやすく、キャッチーな機能」をそのまま実装してしまっているプロジェクトは、すべての関係者を不幸にします。

ゲーミフィケーションというのは、「自社のサービスをより良い体験にアップデートする事」に他ならず、注意しないと、「KPI」という「観測が容易な部分的な目標」ばかりに注力してしまい、本来、創造しなくてはならない、売上が上がるまでの「メインシナリオ」から脱線してしまいます。

特に今回の題材であるような、仲介プラットフォーマーが、部分的なKPIの向上ばかりに目を取られると、最悪なユーザー体験を招くケースもあります。

300万円分の無断キャンセル事件発生! ホテル・旅館の予約やキャンセルで留意したいこと
https://news.yahoo.co.jp/byline/takizawanobuaki/20200128-00160474/

より良いユーザー体験を作る上で最も大事な考え方

まず、ゲーミフィケーション的な設計や、機能実装をする前に、必ず「実装しようとしているサービスのバリューチェーンを正しく可視化」してみましょう。

美容室のバリューチェーン

今回、私が拝見した美容室紹介サイトのアプローチがあっているのか、間違っているのかはわかりませんが、実際の体験として、

・私の行きたい美容室の情報が結局なかった
・何度もガチャが回せるというキャッチコピーに「そんなに何度も行かねーよ」って感想を抱いた
・実際、対象店舗を見てみると、渋谷のトップの美容室ですら、最新のレビューが3月に1件だけだった。(もっと探せば出てくるのかな)

と、いったような感想を抱いたため、うまくいっていないという個人的な仮説のもと、題材として取り扱ってみました。

ゲーミフィケーションに限りませんが、実装アイデアにばかりとらわれて、根本の「解決しなくてはいけない事業課題」を踏み外すと、手痛い目にあいます。

企画を担当される方は、まずディテールに入る前に、「現在解決したい(向上させたい数字)」がなんなのか。この本質的なゴールをビジネスオーナーと定義するところから取り組んでみてはいかがでしょうか。

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スキをしてくださった方に1/10の確率でコーヒー無料券が出るように設定してます。表示された方は、キャプって頂き、渋谷までお越し頂ければコーヒー1杯奢ります☕️(アイデアブレストしましょう)

1日1冊の糧にします!経済を豊かにする歯車として、本たくさん読んで、実装できる考えに置き換えて、noteでばら撒きます🙂