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スペイン語圏の文学・音楽などの文化全般やその歴史に惚れこんで10数年。おもにスペイン語…

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スペイン語圏の文学・音楽などの文化全般やその歴史に惚れこんで10数年。おもにスペイン語で読んで心に残った本を紹介していきます。スペイン語の文芸翻訳者を目指して修行中。

最近の記事

舞台はスペイン内戦。家族を救う少年の冒険を描くYA小説

前回更新したnoteの日付を見たら、去年の8月でした。 ひええ~。10カ月もたってる!(笑) 育児やら翻訳の課題やらコロナやらPTAやら時々お仕事やらで日々が転がるうちに、こんなに経ってしまいました。おそろしや。 でもその間に読めたスペイン語の本も何冊かあって、書きたいものがたまっています。何食わぬ顔して再開したいと思います。 最近読み終えてとても心に残っているのが、スペイン発のYA小説、 “Una Bala Para El Recuerdo” (思い出のための弾丸/未訳

    • 声をなくした少年と、喋るバッタの不思議な冒険。スペイン児童文学の名短編。

      スペイン語で読んだ本を紹介するnoteです。 メキシコ発の作品が続いたので、今回はスペインより。 戦後のスペイン児童文学を代表する作家のひとり、Ana Maía Matute(アナ・マリア・マトゥテ)の短編、『El saltamontes verde』(エル・サルタモンテス・ベルデ)です。 題名を直訳すると「緑色のバッタ」。 スペイン語の文芸翻訳を教わっている先生から、 「ため息が出るほど美しいスペイン語」とすすめられて 読んだのが最初です。 主人公は、田舎の農場に住む

      • 「目玉をおくれ」と言われたら。メキシコの国民的詩人が描く狂気の怪奇譚

        スペイン語で読んだ本を紹介するnoteです。 今回取り上げるのは、前回と同じくメキシコ出身の詩人、オクタビオ・パスの短編『El ramo azul』(エル・ラモ・アスール)です。 『青い花束』の題名で、かの野谷文昭氏により邦訳もされているようです。 ある蒸し暑い夜、旅先らしき宿に滞在している男。 宿屋の主人が止めるのをよそに、涼を求めて夜の散歩に出る。 夜道でまんまと強盗にあうのだが、 求められたのは金品ではなく、男の「青い目」。 「恋人の気まぐれで、青い目の花束をせが

        • メキシコ伝統料理の香りに包まれた愛憎の物語

          スペイン語で読んだ本を紹介していくnoteです。 初回に取り上げるのは、メキシコの女性作家Laura Esquivel(ラウラ・エスキヴェル)の小説『Como agua para chocolate』(コモ・アグア・パラ・チョコラテ)です。 1990年のデビュー作で、メキシコでは当時ベストセラーになり、映画化もされました。映画は『赤い薔薇ソースの伝説』の邦題で日本でも公開され、同名の訳書も出ています。 これは、私が初めて最後まで読み通せた、 個人的に思い出深い一冊でもあり

        舞台はスペイン内戦。家族を救う少年の冒険を描くYA小説

        • 声をなくした少年と、喋るバッタの不思議な冒険。スペイン児童文学の名短編。

        • 「目玉をおくれ」と言われたら。メキシコの国民的詩人が描く狂気の怪奇譚

        • メキシコ伝統料理の香りに包まれた愛憎の物語

          スペイン語と、本のこと

          はじめまして。 東京在住でスペイン語を学ぶmariです。 スペイン語という言語と、それを取り巻く文化に惹かれ、 30歳の時に中南米に飛んで独学をはじめました。 スペイン語好き+本好きの性分がドッキングして、 今ではスペイン語圏の文芸翻訳者を目指して修行にはげむ日々です。 そんな中で出合い、読み、心に残ったスペイン語の本について、 読書記録も兼ねて綴っていけたらと思っています。 日本ではいまいち馴染みが薄いスペイン語ですが、 英語・中国語に並ぶ「世界三大言語」のひとつと呼

          スペイン語と、本のこと