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【作文・論文・面接対策②】地方公共団体の役割


地方が抱える課題から考える

前回の公務員試験対策ブログで記述したように、大半の地方公共団体は「人口減少」という大きな課題を抱えている。今回は、課題を抱える地方公共団体の「役割」について2つ挙げたいと思う。

①安心安全な生活の保障

まず、地方公共団体に住民が求めることは、「安心安全な生活の保障」ではないだろうか。

  • 上下水道が使える。

  • 道や橋の通行ができる。

  • 住民票などの書類が滞りなく発行される。

  • 公教育を受けることができる。

  • 税金が間違いなく徴収される。

  • ゴミが回収される

など、「人々が安心して暮らすことができる」ということが基本的に求められている。

公共の福祉のために、通常のルーティン業務を滞りなく行っていくことがまずは重要である。

②地域の維持存続「地域振興」

①を保障したうえで、特に今後の地方公共団体に求められていくのは、「地域振興」ではないだろうか。「人口減少」が進むと地域が衰退し、その地域単独での維持存続が難しくなっていく。したがって、地方公共団体は、「地域振興」のために様々な取り組みを行っていく必要がある。以下に主な取り組みを挙げる。

1.企業誘致による雇用の創出と税収確保

 人口を確保するためには、定住してもらう必要があり、定住し生活してもらうためには、働き口があることが必須となる。そのため、高速道路のICに近い、港に近い、広大な土地を確保できる、法人税が安いなどの項目を企業にPRして企業誘致を行っていく。現代社会はインターネット環境があれば、地方に会社があっても成り立つ業態もあるので、生産業だけでなく、IT企業なども視野に入れていくことができる。仕事場があるということは、人が集まるということなので、小売店や娯楽施設、飲食店の売り上げ増加も波及効果を期待することができる。誘致した企業に対しての法人税は軽減していても、働く人に定住してもらうことが出来れば、住民税、所得税を徴収することができる以上に、不動産業、教育産業にもたらす影響もあり、その波及効果は計り知れない。進学先・就職先があることで都心部に流出していた人々も地元に残って生活することができる可能性が高まる。したがって、企業に対してその地域の魅力を伝え企業誘致を行っていくことは非常に重要である。

2.生産物のブランド化・PR(魅力発信)などによる特産品の収益化

 その地域で生産しているものがある場合、広くPR(魅力発信)をし、収益化していくことで、地域振興につなげることが可能である。生産品に関しては、ただ単に生産するだけではなく、付加価値を高めてブランド化することが大変重要である。人口減少をしている地域では働く人が少ないため、また、山間部では農耕地が十分に確保できないため、大量生産することは難しい。したがって、少量生産でも利益を出していくために、「有機栽培」など付加価値を高めて、利益率を上げる必要がある。地域の資源を活用して収益を上げていくことは、産業の活性化・雇用の創出の面からもその地域の存続維持につながる。すでに存在する資源であり、ふるさと納税にも直結するため、アイディアを出して利益に繋げていきたい。

3.観光(宿泊・レジャー及びオンライン観光)

 観光資源がある場合、有効に活用したい。その際に重要なのは、1つの地方公共団体単独でPRするのではなく、複数の地方公共団体が協力して「広域な地域」で観光して回れるようにするということである。例えば、熊本県の阿蘇のように、阿蘇市だけで観光する場所が多数ある場合を除いて、阿蘇山などのような大きな観光スポットが無い自治体の方が多い。その場合、1つの地方公共団体だけで観光整備をしても、宿泊して2日間楽しめるものを用意することは大変難しく、そのように観光ばかりに多額の予算を計上する余裕がない自治体の方が多い。したがって、小さな自治体であればあるほど、協力して、互いの観光スポットを連携してして案内し、そのエリアを楽しむために宿泊してもらえるようにしていく。地域の物産館でも、自分の自治体のものだけしか販売しないところが多い中、私の住んでいるところの隣町の物産館では近隣町村の特産品も惜しみなく販売しているが、そこに行けば色々なものが手に入ると、お客さんも多いようだ。近隣市町村との横の連携を積極的に推進していきたい。

 そうは言っても、現在コロナ禍では、観光客に来てもらうことが出来ない。そこで、オンライン観光にも着手していきたい。酒や焼酎をヨーロッパで販売するときに、ヨーロッパの人々はその品物だけではなく、その商品が生み出される地域の歴史・文化・自然にも興味を持っているそうだ。酒や焼酎が製造される過程のみならず、その地域の文化や歴史・自然を動画で流したり、オンラインでつないでリアルタイムに見て質問してもらい、興味を持ってもらう取り組みなども行われている。コロナが落ち着いて、旅行が自由にできるようになったら実際に足を運んでもらうなどの長期的な視点での観光も視野に入れていきたい。

4.定住者を増加させることによる人口増加(人口維持)

 1の企業誘致と重なるところが多いのだが、定住者を増加・維持していくための施策を行っていく。雇用創出については、1で記述しているため、ここでは、Iターン、Uターン者の移住促進について述べる。1~3までの取り組みを行っていきながら、移住者に対する地域の魅力発信も併せて行っていく。住みやすい魅力的な環境というのは、人によって違うため、地域の実情を鑑みて、ターゲットを絞ってPRしていく必要がある。例えば、子育てしやすい環境が整いやすいのであれば、幼稚園に延長保育施設を併設したり、小学校近くに学童保育施設を作る、地域でチャイルドシッターを養成して安心して預けることが出来る仕組みを作ったり、子どもの予防接種の助成制度を整えるなどし、引っ越してでも住みたいメリットを作っていく。ただし、人が生活するためには、雇用先が必要であり、家族がいるならば、教育環境、居住環境など複数の項目が関連してくるため、親身に相談に乗ってくれる移住コーディネーターの存在も必要となってくるかもしれない。

つまり、地域振興のポイントは、以下の3つであると考える。

地域振興のポイント

  • 人口増加のために「暮らしやすい環境の提供・雇用の確保」

  • 地域の魅力を高め発信し、収益化

  • 税収確保

どれか一つだけ取り組むのではなく、それぞれの結果が互いに影響しあうため、同時進行で徐々に効果を生み出すよう取り組んでいく必要がある難しい問題である。だからこそ、自分の自治体だけでなく、広域の地域で協力してその地域を盛り上げていく必要性がある。さらに、自治体だけでなく、多種多様な企業とタイアップして事業を推進していく必要がある。

2021.8.9

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