枯れたツツジ
5月の頭のゆったりした日々が終わり、
近所にたくさん咲いていたツツジが全部枯れた。
あんなに力強いピンク色で咲き誇っていたのに、枯れたら萎れて茶色くてなんか汚い。
桜の木もそうだ。
満開で綺麗なタイミングはほんの数日で、すぐ緑が混じる。先月まであんなに輝いていたのに、もう5月になれば静かに佇む爽やかな緑の葉の木でしかない。
花が咲けばみんな外に出て、綺麗なものを一目見るためにワアっと集まる。みんな必死に写真を撮って、思い出にお酒を飲んだりして楽しむ。
なんてかわいらしくてあたたかい文化なんだ。
枯れてしまえば、もう誰も目に留めないのに。
すべてのものには終わりがくる。
どんな花も、いつかは枯れる。
"完璧に"美しい瞬間なんてほんの一瞬で。
みんな花が咲くまでの蕾の期間を静かに過ごしているし、枯れ始めてからも必死に最後まで生き続けている。
花が綺麗に咲いている瞬間は一瞬しかない。
けど、蕾や枯れた花だって、美しいんじゃないか?
なんか最近、"完璧"を求めすぎている気がする。
全部が整っていないと嫌だし、ちょっとでもミスがあると気になるし、綺麗な状態じゃないとダメな気がしてきてしまう。
丁寧に、完璧に生きることが「正」とされている感覚がある。
生きづらい。
だって、私が"完璧"でいられる瞬間は一瞬だもの。綺麗な花でいられる時間は限られているもの。蕾だとしても、ちょっと枯れてしまっていたとしても、私は私だし、どんな私だって美しい。
そうやって、堂々と言い切れるような余裕が、まだまだ足りないなあ、とじんわり思う。
もっと自分を緩めてあげないと、愛してあげないといけないなあ、と胸がキュウっとなる。
枯れたツツジ。
茶色とピンクが混ざって、シワシワになったツツジ。
雨が降り、アスファルトに落ちた花びらは、未だ、ピンク色を放ち続けていた。
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