0(ラブ)ゲーム2

前段↓

ハナが飛んで2年。
メイシスターはなくなったけど、私、榊(さかき)マナは芸能界の片隅で生き残っていた。
突撃レポートやったり、熱湯風呂も。
リアクがヘンらしく、バラエティにもたまに呼ばれる。
今はハナの言ってたことがよくわかる。
身を粉にしないと生き残れないよ。
技術は全てみせないと。
指先までピッとなってようがなってまいが、客なんて気にしない。
あの頃はそう思っていた。
でもハナの追悼DVDが出せなくなったとき、私は自分が何をしてたのか、本当に悟ったのだ。
私はそのとき初めて自分のダンスを見た。
形はそう、ハナと同じ。
でもキレがない、イキイキしてない、魅せない!!
ハナのヴィヴィッドなダンスがかわいそうだった。
私は素材を全部渡してもらい、仕事のあいまにコツコツと、ハナひとりだけのダンスDVDを完成した。
知りあいのディレクターに見せたらものすごく乗って下さって~くれて、じゃない、下さってだ。私はもう、そういうのわかってる~
ハナ'Sライフってタイトルで発売され、中ヒットになった。
マスコミには聞かれた。
どうしてハナさんだけの?
私は答えた。
私はまだ生きていますから。
そうだよハナ。
死ぬことはなかった。
生きてさえいればあの日、山が、私にキスしてたんじゃなく、私の目に入ったまつげを取ってくれてたんだよって言えたのに。
山がかわいがってたのは、本当にあんただったんだよ。
バカなあんたを想いながら、私は今日も私を生きる。
あんたと同じ顔を見ながら、一生を終えるんだ。

それでも地球は回っている