キックバック顛末


某局の人気番組に関わっていた頃
局プロに

仕事どんどん回すから
キックバックしてよね
七三

と言われた
私が三だそうだ

えー
なんの冗談ですかー

と答え
話は立ち消えた


なぜ断ったか


そいつが嫌いだったからだ
そいつの前のプロデューサーが好きで、そいつのことは軽蔑してた
向こうもそれを薄々気づいてたから言ってきたのだと思った

こっちが三なのもむかついたしww


でもこの後何十年も考えた


なりたくてなりたくてなった仕事だ
バンバンやってもよかったのでは?
キックバックしてでも仕事貰うべきだったのでは?
キックバック自体はよくないことだが、
その気概は見せるべきだったのではないのか?


ン十年経た今


そいつの正体がスポンサー子息だったと知った
コネ入社だったわけだ
愛人に書かせたり、健全なこども番組の登場キャラクターを裸にしたり、トイレがどーとかいった、下卑たネタを好んだりな奴だった


私が潰れてゆく間に、ある男性ライターが伸びていった
私はそいつが好きだった
恋にとらわれて全く書けなくなったのだった


とここまで書いてきて
今ふと頭に浮かんだ考えがある
(今日まで一度も浮かばなかったのだ)


あいつは


申し出を


受けたのだろうか?


私だけに言ったわけじゃあるまい
ほかの連中はそんなのしなくても既にそこそこ売れてた
人参をぶら下げられたのはたぶん、あいつと私
私は言うことを聞かないから
懐柔しようとしたのだろう
そしてあいつは
買われたのかもしれない

あいつはもうこの世の人ではないし、局プロは既に会社を去っている
真実はもうわからない


いろんな人に聞いてみた


キックバックしてでも売れたほうがよかったのかと

みんな一様に言う、
しなくて正解だったと

本当に?
本当に?
本当には
どうすればよかったのだろう?


それでも地球は回っている