チャーリー・ゴードンにもチーズを。


こんな迷路は簡単だ。
もらえるチーズはおいしい。
ほかのネズミはものすごく時間がかかるらしい。
頭の傷がいたい。
はやくなおるといいんだが。


チーズをもらえない怒りで、エズラに攻撃された日、僕はチャーリイに会った。
僕みて、にこにこして、

かわいいなあ

と言った。
僕と迷路競争だって?
何で人間と?
もちろん僕が勝った。


人間どうしが話してる。
チャーリイに、手術を?
手術?


またチャーリイがきた。
頭に包帯を巻いてる。
けがしたのか?
具合悪そうだったけど、やっぱり僕見て、

かわいいなあ

と言った。
また迷路を競わされた。
また僕が勝った。


包帯が取れたころから、チャーリイは僕に勝つようになった。

かわいいなあ

ってもう言わない。
チャーリイが勝ってもチーズはもらえないらしい。
かわいそうだ。


あれからチャーリイには一回も勝ってない。

かわいいなあ

って言わなくなったチャーリイは、メガネかけて、白衣着て、他の人間と見分けつかなくなった。


雌の人間が、チャーリイにやさしくする。
発情の匂いする。
臭い。


何だろう。
イライラする。
こないだの助手がまた、ケージ間違えて、僕のにエズラを入れた。
下品な臭いネズミ。
噛んできたので噛み返した。
強く噛み返した。
首がちぎれた。


イライラする。
チャーリイにも噛みついてしまった。
迷路が抜けれなくなった。
なおったはずのきずがいたイ。
なんかおカシイ。
おれ
だーなル?


ちゃあり。
おれみたひ
なるな

ちゃあ。り。

おな



ダニエル・キイス
「アルジャーノンに花束を」への、
オマージュ作として書きました
初稿20190831


それでも地球は回っている