その日。その朝。〔都ちゃんに打診する一作。お客様納品の一作♥〕

出勤前の朝マック。
二階の角の席からは、スクランブル交差点がけっこう広く見渡せる。
猫舌なのにホットコーヒーの好きなあたしは、それがほどほど冷めるまでの時間、路上ウォッチを楽しむ。

朝っぱらからケンカしてる若いカップル。
眠そうなオッサン会社員。
あ、あの子メイク上手。
ファンデどこの使ってるんだろ、

あ。


思いが途絶したのは、あの人が現れたから。
長身にぴたりマッチしたスーツ。
ちょっとキザなメガネ。
いつも何か読んでる。
読書好き?
知的情報に飢えてる?
ああ。
あなた何者????

信号が変わって通りゃんせが鳴り出すと、あの人は対岸に渡る・・・

前から来る人を、さりげなくよけたり、よけきれなかったりしながら行くかれを見送って、程よく冷めたコーヒーを啜ってあたし、立ち上がる。
社屋まで、上り坂七分。



その日、なんと雪の翌日、社長のお使い頼まれて、坂下のN社まで、命がけのお使いした帰り、坂上から滑ってきてしまったドジな人とあわや激突!!
かろうじて進行方向を変えてくれたその人は、路端の自動販売機とハグする羽目に!

だ!
大丈夫ですか!?

態勢立て直そうとしつつ、あたしに声かけたその人は、なななんと、あの人だったのだ!
顔から火が出そうな気分で、あたしは悪路ものともせず、七分の坂を駆け上がってしまったのだった。



翌朝。
なんかもう、朝マックする元気もなく、スクランブル交差点から目を上げると、やだ。
あたしの席、この場所から丸見えじゃん!
衝撃の事実に私は愕然としたけれど。
もっと愕然としたのは、今真後ろに、あの人が立ってることだった。

きのうのあなたですよね!?
あの席のあなたですよね!?
僕はK設計でインターンしてる浜井亮(まこと)っていいます。
あのっ!

ここまで一気に言ってから、なにやらもごもご口ごもってる。
近くでみると倍美形。
少女マンガによくいるような・・・

次の言葉は何だろう。


僕と


嘘だこれ。
あたしの妄想だ。
消えろ妄想!
消え去れ!

彼の唇が動いた。
あたしの思った通りに。
あたしはぼーっとなってしまい、そのあと、わっと泣き出したのだった。


対です↓


それでも地球は回っている