その日。その朝。リバース。〔都ちゃんへの追加提示作です。お客様納品されました。ありがとうございます!〕

何かと顔のことばかり言われる。
言われないときは身長の話。
たまたま猫の生態の話をしたら、物知りだってはやされた。
竹島のほうが詳しいよ。
実際猫飼ってるし、かわいがってるし。
こういうこと、よくあって、安易に物事進む。
コーヒーを入れてほしい訳じゃない。
話しかけられたい訳じゃない。
ここでのインターン。
やめよう・・・

と思った時。
マックの二階に彼女がいた。
特別きれいでも何でもない。
でも仕草が。
目線が。
様々の人を楽しげにみていて、僕のことも。
僕のことも普通に・・・・・


見られてる。
ギクシャクする。
スクランブル交差点すぎてから気づいた。
読んでた本、逆さまだった。
吹き出したら前から来る人にぶつかりそうになって危うく回避。
見られてたろか。
ちらと確認すると、もう席にはいなかった。


雪の日。
竹島が転び、僕は助け起こしたけど、女子社員たちは笑ってた。
こんなとこ、いやだもう。
小さいとこだけど、就職はK設計にしよう。
話を通しに行った帰り。
僕は転びかけた。
竹島より無様に、ずっとずっと無様に転ぶだろう僕を、世間全部が見る!
と思ったとき。


いたんだ!
坂を上がってくる。
このままだと、転がってぶつかる、けがさせるかもしれない!
逸れろ!
逸れろおっ!


自販機に激突した。



大丈夫ですか!?


と女性、言ってくれたけど、顔が上げられない。
恥ずかしい。

あ。

って息が呑まれ、



目を上げたら彼女はいなかった。

幻滅されたよな。
雪で滑ってずっこけた。
ああでも。
変に持ち上げられてるより、気が楽・・・・



当たって砕けろだ。



朝。
スクランブル交差点の手前で、席を見上げてる彼女を見た。
いつも遠い彼女が、いま目の前にいる。

あの!

彼女がゆっくり振り向く。
現れる眼差しは、戸惑いか、嫌悪か、好奇心か。
嫌悪でさえなければいい。
大丈夫だ。

きのうのあなたですよね!?
あの席のあなたですよね!?

畳みかけるように話しかけたことは覚えてる。
必死で。
後はぜんぜん覚えてない。
気づいたら、彼女泣いてて。
ただもうどぎまぎしてる自分がそこにいた。
これが始まりだった。


対です↓


それでも地球は回っている