関係者から聞いたどうでもいい話53〔有料&購入者様も他言無用で願います〕


信頼できる人から聞いてますが、証拠・証明はできませんし、ほんとだろうが嘘だろうが、たぶん誰も傷つかないだろう内容です。
たいていは。
今回は、言うに言われぬセンシブルさなので、自然伏せ事が多くなっています。


現場の狂気


たいていは一文字伏せとかで、だいたいわかるように書くのだけど(△ルトラマンとかw)、この作品については、一切関係者に気づかれたくないので、内容も、タイトルも出さないことにします。
ああでも、なにも言わない訳にはいかない・・・

仮に映画タイトルは“姫”とし、モデルとされた事件にだけ触れておきます。
東京・女子高生コンクリート詰め殺人事件です。


友人が“姫”のスタッフをすることになった


依頼ではない。
いや、一応依頼ではあったのだが、要するに知人依頼仕事で、仕事、より人間関係が先だった。
私は不安だった。
監督は長くドキュメンタリーをやってきた人だそうだが、とあるパーティーで会ったとき、独善な人だなと感じた。
パーティー自体、他の人の主催の新年会なのに、主催者すら監督を立てまくっていた。
参加者のほとんどが監督を持ち上げている。
初の一般映画に向けて、本人もシンパも勝手に盛り上がっていて、私も友人も、違和感が拭えずに、適当なところでパーティーを抜けたのだった。
友人は主催者と仲良かった。
断りきれなかった。
記録を引き受けてしまった。


シナリオ


タイムキーパー(TK)とごっちゃにされやすいが、本編(映画のこと)における記録とは、監督の第二の目耳だ。
小はアクセサリーや持ち道具の確認から、大はストーリーの破綻の調整、フィルムの内容配分等々、いわば外付けの監督専用コンピューターなのだ。
完成台本を整えるのも記録の仕事だ。
私たちライターは最初の決定稿までが仕事だが、セリフ、動き、音等ついた、ほんとの決定稿を形作るのが記録さんなのだ。
彼女は間に合うときは必ず、私にシナリオを見せてくれていた。
ちょっとばたばたしてて読み損ねているまに、彼女は現場に行ってしまった。
ホンは二冊あったのだろう。
返して、も言わずに彼女は出発したが、二冊あったことが彼女を救ったともいえる。


内容


それはほとんどそのままコンクリ事件だった。
そして監督は女子高生役に双子を当てていた。
拐われたのは女子高生Aであり、一度は帰してもらえたのに、女子高生Bが戻り、殺されてしまった話になっていたのだ。
あの事件はあまりにも衝撃的だったし、被害者の彼女が味わったものは、ロマンでも恋愛でもなく性愛ですらなかった。
ひたすらの暴力と、傷が腐るほどの不衛生と、果ての衰弱死。
餓死でもあった。
それをその監督は、闇のファンタジーとして形作っていたのだ。
原案、脚本、監督が自分。
周囲はシンパだけ。
これではどう邪(よこしま)か、気づきようがない。
とある映画祭で何かの賞を取ったらしいが、キャプションだけ読んでも、コンクリ事件を連想できないようになっていた。
でも私はシナリオの中にはっきり事件を感じた。
危惧するほどに。


現地からの電話


ロケ先から電話があるときは、彼女はよくありの苦情を言う。
曰く、お弁当がまずい、目の保養がない、息抜きをできる場所がない、等々々。
けれどこのときは違った。

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