私は誇り高き魔女〔蒸しエビさんに捧げる一作〕

私は誇り高き魔女。
心も冷たくとげとげしい。
こんな森なんか枯らしてやるわ!
魔法の杖を一振りすると、森はカチンコチンに凍ったが、逃げ遅れたツグミが凍ってしまって、空中からぽろっと落ちて地面を転がった。

ご、ごめん!

魔女はツグミをおうちに連れ帰り、大事にあっためて蘇生させた。
ツグミは元気に飛び去った。

き、気をとり直してもう一度。

私は誇り高き魔女。
冷酷で残酷な最強の魔女なの!
たとえばこんな川なんか、大雨で洪水にしてやるわ!
魔法の杖を一振りすると、にわかに空がかき曇り、激しい雨が降り出した。

あ!
虎の子が流される!

魔女は箒で飛んでゆき、虎のこどもを溺死から救った。

こ、今度こそ!

なかなかうまくいかない。
街に火を放とうとしたけど、寂しいこどもの心に灯し火を置いただけに終わったし、海を干そうとしたら、人魚姫のお気に入りの首飾りをみつけて、めっちゃ喜ばれて終わったし。

私は悪い魔女なのよ!!

叫んだら、カケスが笑った。


悔しかったけど、気づいたら、私も何だか笑ってた。
悪はあきらめた。


最後の魔法で雪を作り出した。
たまにたくさん降って、都会の生活を麻痺させる。
そのくらいいいよね。
私は大望を捨てたんだから。
雪は何にも語らない。
静かに降り積もるだけである・・・


受領者相槌入りメルヘンチックバージョン↓

めっちゃ愛らしくなります(^^)


それでも地球は回っている