ママ

ママは一度逃げた
だから私はママを許さない
朝起こしてくれてもご飯やお弁当用意してくれても、雨の日に傘もって迎えにきてくれても、私はママを許す気はなかった
その雨の日もわざと傘を忘れて行った
迎えにきてママ
あなたは迎えにこざるを得ないのよ!
ところがママは珍しく言ったのだ
調子悪いの
コンビニで傘買って、自分で帰ってきてくれる?

あたまきた
大嫌い
塾さぼって友達のとこ行って、八時過ぎても帰らない
携帯GPSももちろん切った
八時半にさすがに友達のとこのお母さんが、ちあちゃんもう帰ったらと言ったので、私は渋々そこを出た

ちょうど友達のお父さんが帰宅して、送るよって車に乗せてくれた
きてますかの電話もなかった
それだけの人だったんだ
そう思って拳を握ってるうちに家が見えてきた
人だかり
救急車
救急隊員
担架
まってママ
私まだ
あなたにありがといってない!
立ち尽くしてる私にパパが気づいた
どこ行ってたんだママ倒れたんだぞ!
私はその場にへたり込む
ありがとう言わせてありがとう
お願いだから神様!

救急隊員がこちらをみた
首は横に振られた

それでも地球は回っている