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吸血鬼になりたくない #VAMP SHOW

※ネタバレ


普通に見える人が結構変な人
陽気な人が実は結構気にしいな人
冷静沈着な人が本当はおっちょこちょいな人

そんなのって日常に溢れているし、
腐るほど物語のテーマにされている。
24年も生きていればなんとなくギャップの想像もつくようになるけど、
予想の範疇を飛び越えてくるぶっ飛んだ人(?)たちのお話だった。
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夜遅く、駅員一人の小さい山奥の駅で、
大学時代の仲間5人と一人の女性が出会う。
最初は和気あいあいと仲良くしていたが、
女性が5人の秘密を知ってしまい状況は一転。
5人は吸血鬼だった。
秘密を知られてしまったからには”病気”を移して仲間にするか
殺すか。
仲間にすることに決めたが、一番後輩の島はなんとか香を吸血鬼にしないように庇う。しかし状況はどんどん悪化していく…
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率直な感想としては、
ワンシーンで2幕分ぶっ通しで中弛みないのすごっ。
ずっと面白かった~
パンフレットを読んだら、
吸血鬼の5人はそれぞれで個性を出すために苦戦していたようだけど、
5人みんな魅力的で個性的なキャラクターだった。

何と言っても戸塚くんの丹下、、
”怖い”とすら感じるハイなテンション。
なんかでも、良いヤツなんだろうな~
劇場中彼の虜だったと思う。

ほぼアドリブなんじゃないか?と思うほどの暴れっぷりだけど、
丹下がいないとただのサイコホラーになってしまう物語の中で、
ずーっとあのテンションを保つ体力と演技力に感謝を伝えたい。
丹下、たくさん笑わせてくれてありがとう。

私の推しである平埜生成演じる坂東は、
5人のリーダーらしいがダメなリーダーだなって感じ。
リーダーシップを発揮する場面ってそんなにないけど、
坂東も良いヤツだからみんな付き合ってるんだろうな。
(普通に考えたら吸血鬼にしてきたヤツと仲良くなんてなれないけど)
中盤で死ぬことを受け入れる場面は、ぐっと引き寄せられた。
今楽しいけどこれから先どうするのか?
ずっと生きていて何になるのか?
ここが坂東がリーダーシップを一番発揮した場面なんじゃないかなー

佐竹は可愛らしかったな~
一幕目は正直インパクトはあまりなくて印象にも残りにくいけど、
(塩野くんかっこいいなっていう印象はめちゃくちゃ残る)
二幕目から多分そこまでセリフが増えたわけじゃない気がするけど、
じわじわ存在感が増してきて不思議な感じだった。
スマート?キザ?なキャラクターが、
振りになって余計人情味が強く感じたのかなーとは思う。

野田は不器用まっすぐマン。

島が一番怖い。吸血鬼より怖い。香より怖い。
吸血鬼じゃないのに仲間といるために5年間吸血鬼を演じていた島。
狂気すぎる。
「これっておかしいよな」っていう感情を
5年間で麻痺させてきた彼に対して怖いっていう感情を持つけど、
見方を変えればきっとみんな島で。
やりたいこととは違う仕事だけど、まあ大きい会社だし、
入っておけば何とかなるだろ、勉強しておいて損はないだろ、
普通の生活ができてたまにちょっと贅沢もできていいだろ、
で過ごしてきた約2年半。何がしたいのかわからなくなってる私も島で。

でも島が人間の生活をするには、
唯一の友達(先輩)との関係が今までとは違うものになってくる。
そうまでして人間の生活って大切なんだっけ。
何かを得るには何かを捨てなきゃいけないっていうよくあるメッセージを
あまりない方法で伝えてくれるキャラクターだった。

初演の1993年からもちろん台本も変わってるだろうけど、
約30年後で生きている私も笑えて考えさせられる台本ってすごいな~
っていうのと同時に、人ってあまり変わってないのかなとも思う。

冷静に見たら普通にバッドエンドだけど、
たくさん笑って感情も動かされて楽しい舞台だった!

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