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あみおノートVol.7「4月の振り返り:初めてのプチ家出」

きっかけはいつだって「いつものこと」

日頃溜め込んでいたものが、「子どもがおもちゃの片づけを全くしないし片付けた傍から散らかす」といった子持ち家庭では恐らくありふれているであろう日常茶飯事をきっかけに「も~~~!」が爆発。今思えば「いつものことじゃん」なのだが、その時はどうしても冷静に子どもたちと向き合うことができなかったのだ。それもゴールデンウィーク初日、4月末だ。もともと出かける予定はなかったけれど夫と相談した上で急遽、初めて「プチ家出」を決行することにした。それも2泊!夫から見ても、あの時の私はいったん冷静になった方が良いようだった。今思えば月のものの影響もあったと思う。子どもたちには「体調がよくないから」と伝えた。

不思議なもので、一方が余裕ない時は片方が何となく冷静でいられるというか、夫が余裕ない時は私が「まあまあ」となるし、逆の時は「いいから(離れてな)」とフォローする。私たち夫婦はタイプでいうと恐らく真逆なのだが、試行錯誤した末、気が付けばそうやってバランスを取るようになっていた。我が家にもまだまだ課題は山盛りだけど、最近ここだけは上手くできているような気がする。うまくいっていると思っているのは私サイドだけで、夫は「やれやれ」と思っているかもしれないが、そうだとしてもありがたい話だ。

さて話を戻そう。「家出する!」からにはパーッと気晴らしがしたい。都内のホテルを取るためにBooking.comを開いたが、さすがの大型連休。あまりの値段の高さに恐れおののき、最終的にたまたま旅行中で無人だった実家が今回の逃避行先となった。実家に向かっている途中、学生時代の仲の良い友人とやり取りをする中で「プチ家出」することになったことを伝えると、なんと夜ご飯を一緒に食べてくれるというではないか。家出させてくれる夫に私が爆発するたびに話を聞いてくれる友人。恵まれた環境を噛み締める。

ママ不在でも子どもたちは「普通」

家出をすると言ってもやっぱり気になるのは子どもたちの様子。夫とメッセージをやり取りする限りでは子どもたちの様子は極めて「普通」だったそうだ。友人と夕食を取りながら20時頃にベビーモニターを確認すると、なんともうすでにみんな就寝していた。お休みの日なんて22時を過ぎることがほとんどなのに。夫が日中公園で散々遊んであげたんだろう。散らかったままのリビングをみて夫に申し訳ないと思いながら、真っ暗な部屋とスヤスヤ眠る子どもたちの姿にホッとした。

平日など普段子どものことや家のことは基本的に育休中の私が中心となってやっているので、夫にしてみれば急に自分ひとりで子どもたち3人と家のことを何とかしなくちゃいけなくなって、とても大変だったと思う。子どもたちも、ママとパパのやり方では違うところも多いから多少の戸惑いはあるだろうが、まずは家出初日は問題なく過ごすことが出来たようだった。家出しておいてなんだけど、離れてみて初めて気づかされる子どもたちの成長ぶりだ。いつもはちょっと甘えちゃう着替えなんかも自分で何とかやっているようだし、ひとまずはほっと一安心。4歳の長男と3歳の次男は手はかかるが頼もしい面も多く見るようになった。そう思えたのも、家出して頭を冷やす時間を確保できたからだ。

因果応報?家出先で締め出される

変わった様子のない子どもたち、おいしいご飯も食べて、友人といっぱいおしゃべりをして、実家についた頃にはすでに23時を回っていた。あとはお風呂に入ってドラマでも見ようか…と思った矢先、なんと実家マンション玄関の自動ドアがエラーで開かなくなってしまっていたのだ。まさかここまで来て実家に入れないなんて!
ピーーーという機械音が鳴り響く玄関口で、「なんて間が悪いんだ…これも家出なんてした私のせい…因果応報か…」と呆然とする。もう終電はなくなっているし、まさかの一人カラオケオール…?いやいやこれは何が何でも実家でゆっくりしたい!
人生で初めて鍵の救急隊に電話をした。スタッフが来るまでは20分ほどらしい。待っている間「検索ページの一番上のところに電話したけど、実は詐欺の番号だったらどうしよう…来るのはスタッフじゃなくて身ぐるみはがしに来る悪い人だったらどうやって立ち向かおう…」なんて急に怖くなり、近くの茂みに隠れながら人が来るのを待った。怪しげな人が来たらそのまま隠れてやり過ごす作戦だ。

5分10分…まだかな、まだかな…と待っていると偶然、同じマンションに住むご婦人が帰宅。私と同じようにマンションの敷地内に入れないようだったので、申し訳ないがこれラッキー!と茂みからそろそろ這い出して「実は私も締め出されちゃってるんです…」と鍵の救急隊員を呼んだ旨を伝え一緒に待ってもらうことになった。
ご婦人が表れてから10分ほどしてようやく鍵の救急隊員らしき若者がやってきた。状況を改めて説明すると、なんと「玄関の自動ドアは自分ではどうにもならないんです」と言うのだ。鍵の救急隊は自宅ドアであれば何とかしてくれるそうなのだが、今回はマンションそのものの自動ドアのシステムエラーが原因のようなので、一同途方に暮れてしまった。

けれどもさすが鍵の救急隊、ちょっと考えて「もしかしたら」と持っていた書類を自動ドアの隙間に滑り込ませ始めた。外からでは鍵がエラーで開かないけれど、内側からだったらセンサーが反応して扉が開くことがあるんだそうだ。それならば、と私も実家ポストに入っていたいらないチラシをシャッ!シャッ!と自動ドアの下の隙間に滑り込ませていった。マンション敷地内に溜まっていくチラシたち…10枚ほど滑り込ませたところでようやくセンサーが反応し自動ドアが開いた。

「良かった~」と胸をなでおろしていると鍵の救急隊員は「僕何もしていないんでキャンセル扱いにしておきますね」と申し出てくれた。いやいや私たちがマンションの敷地内に入れたのはあなたのおかげ…!それでも「開いてよかったです」と爽やかに青年は去って行った。ご婦人とも別れ、無事実家に入ることができて、私はすっかり気分をよくしていた。チラシを滑り込ませてセンサーを作動させたときにアドレナリンが出たこともあって、もうその時すでに深夜を回っていたが、興奮さめやらぬ状態だった。

家出初日、本当に色々なことがあった。いっぱい怒って、泣いて、反省して、焦って、でも最後は人のやさしさに触れることができて、「終わりよければすべてよし」と充実感でいっぱいだった。とても長い1日だった。

日常は待ってくれない

家出中は久しぶりに美容院に行って、ご飯はお惣菜を買って、子どもたちが怖がるからって理由で見れていなかったサスペンスドラマに浸った。思う存分、自分を甘やかした。鋭気を養ってまた日常に戻ろうと思った矢先、長男が発熱。大慌てで帰宅。その後次々に子どもたち3人も夫も溶連菌に感染。どうやら連休前に保育園でもらってきてしまったらしい。子どもを休日救急外来に連れて行ったり看病に追われたりと、あっという間に日常、いやそれ以上にバタバタの日々を過ごすことになった。でもまあこういうもんだよね、きっと。こうして慌ただしく私の家出は幕を閉じた。
夫には、次の週末自分の時間を取ってもらった。

そうだ、最後にひとつ。家出中の出来事で胸が痛んだことが一つあった。夫は私の不在中、子どもたちの大好きなオムライスを作ってあげていた。子どもの分としてはとても大きくてどことなく男料理!って感じがするオムライスを子どもたちは2/3以上残していた。夫はそのことについて何も言わなかったが、半分以上残されたオムライスが、私には悲しくて辛くて、チクチク胸が痛んだ。また頑張ろうって思った。

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