夫の旅立ち、ふたたび
年末に風邪をこじらせ、絶不調の中、デイパックに服をパンパンに詰め込み、アマゾンで千円で買ったパソコン用リュックを背負い、今年も夫がメキシコに旅たった。
関空までラピート乗りたさに家族で見送りにいき、機内持ち込みの手荷物チェックで引き止められ、眉間にしわをよせている夫。
ざわざわしながらその様子をみているわたしたち。
しばらくすると、係員がこちらにやってきて、「◯◯さまのご家族様でしょうか?こちら機内持ち込みできないため、お引き取りください」と手渡されたのはモンキーレンチ。
サイズがオーバーしていたため、持ち込めないのだという。
しかし夫がなぜモンキーレンチを持っていたのかというと、太鼓のチューニング用にいつでも所持していたためと思われる。
以前同じパーカッション仲間に、
「どんな場所でもいつでもチューニングできるように、モンキーレンチを携帯するのは常識や」と電話で話していたのを思い出した。
夫の方を見ると、不服そうな顔で腕組みをしている。
ある意味プロフェッショナルな用意だが、5センチオーバーしていたため、あえなく没収となった。
モンキーレンチ没収ネタを残して、夫は日本を旅立った。
翌日、時差ぼけと体調不良で泥のような声で、無事にメキシコに着いたと電話してきた。
数日後、フェイスブックのタイムラインに、メキシコ人やキューバ人に混じって、もうすでに現地人であるが如く自然に馴染んでいる夫の動画が挙げられていた。
骨の髄までたくさん吸収して元気に帰ってきてほしい。
日本は今日も平和です。
2018.1.15『もそっと笑う女』より
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