突然あだ名をつけないでください



昔からあだ名というものをつけられたことがなかった。あだ名をつけられず、一生を終えるのか、地味な人生や、、とぼんやり思っていたら、社会人になってからぽつぽつとつけられるようになった。

20歳の時に働いてたバイト先では「ジョー」

20代後半で働いてたカフェでは、「タミー」

いずれも外人かぶれした名前だ。


結婚、出産後はもうそんなあだ名を誰にもつけられることはないだろうと思っていた。
ところが先日、保育所に息子を迎えに行った際、年中さんの男の子がわたしめがけて走ってきて、ファイティングポーズをとった。
「お?やんのか」と、その子を見つめていたら、

その子はわたしを指さし、「チェリーちゃんっ!!」と、大声で吐き捨ててどこかに走っていった。

チェリーちゃん、、
息子は一瞬こっちをちらっと見ただけで、ノーリアクションだった。


その数日後、息子が急にわたしのことを「はなこさん」と呼ぶようになった。
はなこさんの出所はまったくわからない。

「ねえねえ、はなこさん、ちょっとそれ取ってくれる?」
「はなこさん、恐竜ごっこしよう!」
といった具合に。

チェリーちゃんに、はなこさん。

もう、わけがわからない。


あだ名をつけられてこなかったので、すこし嬉しい気もするが、戸惑いのほうが大きい。


2016.11.16『もそっと笑う女』より

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