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【掌握小説】もっこちゃんの愛おしい毎日#4

「いてててて。はぁー、なんでこんな時に・・・」

腰をさすりながら、目線は天気予報に向いている。

傘マークと水色が並んでいる。
こりゃまた雨だ。

「じゃあ行ってくるよ。もっこちゃん今日は何もしなくていいからね。というか何もするな。これ以上痛めたら大変だよ」
のっぽさんがそう心配そうに言って、半分うしろ髪を引かれる思いで会社へ行った。
いってらっしゃい、というもっこちゃんの声はのっぽさんには届かなかった。

それは昨日のことだった。
立ち仕事が多い今の職場で働くようになってから早3年。
もっこちゃんはいつも通りの流れで慣れた作業をこなしていた。
さぁそろそろおしまい…というまさにその時。
「グギッ!!」
(痛っ!!)
腰に鈍い違和感が広がっていく。
やってしまった…。
もうそこから気合で仕事を終わらせたものの痛くてたまらない。
こらえながらペダルを漕いだ帰り道にドラッグストアで湿布を買い、家で貼ってしのいでみたが痛みはどんどん増すばかり。
「あーん、明日仕事どうしよーー」
まさにピンチ。絶対絶命。
どうするもっこちゃん。

仕事を休んだことによる職場への迷惑と今の状態で仕事に行ったらどうなるのか、という二つの件について天秤に掛けてみた結果、後者の方が後を引いてしまうだろうと判断。よくぞ決断した!もっこちゃん。と自分で自分を褒めてやりたい。

冷静に考えれば至極当たり前の考えなのだが、何もかもが「普通」とか「当たり前」というフレーズを言われてしまうと正直しんどい。「普通とは言い難い」環境で産まれ育ってきたもっこちゃんにしてみれば、その「普通」は常に心の中をえぐってくる。あー、血が流れるぜ。

時刻は夜の12時。もっこちゃんは何をするでもなく、何もできないまま1日が終わってしまった。
(あーあ。腰が痛くなかったらアレモコレモ出来たのに…うぅー)

まだ痛む腰とおしりをさすりながら一人ベッドで悶々とするもっこちゃんだった。

(この作品は作者の実体験に基づいたフィクションです。おかげさまで作者の腰は良くなりました。でも油断は禁物!!皆もお気をつけくださいね。)



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