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意外な先生が、私のウォーキングを変えてくれました

モデルを職業にしたいと思ったとき、まずはじめにショーモデルをイメージしました。当時の私が真っ先に思い浮かべたのは、パリコレ。モデルについての知識が一切なかった私は、ただ漠然と、出演する為には格好いいウォーキングを身につけるべき!と考えました。

今思うと、その他に必要な条件をすっ飛ばした、かなり単純な考え方なのですが、、そのわかりやすい目標が、「ウォーキングの技術を身につけるためレッスンを受ける」という次のステップへと私を押し進めてくれました。

◆スタジオ探し

現在所属している事務所サトルジャパンには、ウォーキングをはじめとする様々なレッスンが用意されています。所属前後でこれらのレッスンを受ける機会があるのですが、それは決して当たり前のことではありません。

過去に私が入っていた事務所では、そういったものは一切用意されていませんでした。ポージングは雑誌を見て独学。ウォーキングに関しては、自力でスタジオを探さなければいけませんでした。もちろん、費用は自腹です。
(事務所に入っても、こういったレッスンの費用はほとんどが自腹で、先行投資と思って支払うことになります)

ネット上で検索し、何件か出てきたところから、気になるところをピックアップ。
主に重要視したのは、どんなウォーキングを最終目標として教えているかという点でした。私が見たところ、大きくは3種類に分類されているようでした。

1.国内・海外ファッションショー(プロを目指す人。洋服を見せる)
2.国内コンテスト(自分を良く見せる)
3.日常で美しく歩く

当時の私は一番に「パリコレに出たい」という想いがあったため、プロを目指す人向けのスタジオにコンタクトし、善は急げと、早速通うことにしました。

◆いきなり中級クラスへ飛び込む

最初に通ったウォーキングスタジオは、先生が元海外コレクションモデル。私よりも身長が高く、鋭い眼差しに個性的な髪型が印象的。世界ではこういうモデルさんが歩いているんだ、、、と圧倒されたのを覚えています。
この自分には無い迫力と、実際に自分が目指す舞台を経験した人から教えてもらえるという点が、スタジオに通う決め手となりました。

レッスンに通っているモデルさんの中には、それまでダンスに打ち込んでいた私にとって、”異次元”と思うほどのスタイルを持った人も。そんな中での練習は、オーディションではこんな人たちと競う必要があるのか…と、私を弱気にさせるには十分な環境でした。

加えてレッスン内容は難しく、今までウォーキングを習ったことのない私にとっては、基礎も初級も飛び越えて、中級クラスから受けてしまった感覚。
ヒールで綺麗に歩くこともままならないのに、それ以上のターンやポージング、誰かと組んで一緒に歩くことや、歩きながら服を見せる練習をしても、全く上手くいかない。

もちろん、誰しもが最初から完璧にできるわけではないので、そこで続けても良かったのですが、それ以上に、自分自身にはまず"美しく歩く"という基礎が必要だと実感しました。

◆先生との相性

また、今思うと先生は愛情を持って教えてくれていたとわかるのですが、当時は、そのモデル然とした佇まいに萎縮してしまい、正直レッスン中は、上手くなることよりも、先生に怒られないようにすることに神経を使っていました。。

実は最近も、似たような気持ちを感じた出来事が。。。

現在、週2日のペースでバレエのレッスンに通っているのですが、その週はいつもの先生が休講だったため、同じレベルの、別の先生のクラスを受けた時のことです。

その先生を受けるのが初めてだったのは、私ともう一人。90分あるレッスン中、その日は最初から最後まで、常にその2人の名前が呼ばれることになりました。
音楽が止まり、シーンとした中で名前が呼ばれる度、他17、8人の視線が一斉に集中する。
先生がこちらにきて実際に脚や姿勢を直していると、皆も近くまできて凝視する。
「(脚の)〇〇の筋肉はどこからどこまでかわかる?」「…わかりません…」
問い詰められるような質問のされ方や、ピンと糸を張り詰めたようなその場の空気感に、胃がキリキリとし、一刻も早くこの時間が終わってほしいと思いました。

言っていることはある程度理解できるし、きちんとした体の使い方で踊ってほしいという気持ちや、そのクラスでいつも言っている教えを全て伝えようとしてくれたのはわかったのですが…
それ以上に襲ってくる物凄い緊張感に耐えられず、今後もこのクラスを続けていくことは難しいなと思いました。

ダンスを含め10年以上様々なレッスンを受けてきましたが、私の場合は、楽しくなければ続かないし、上手くもならないようです。
もちろん、楽しい中にも厳しさや辛さはあります。それでも、辞めたいと思わない、上手くなりたいと思う気持ちが継続してある、自分でも成長を感じる瞬間がある、先生が褒めてくれる(←大事!)等、ポジティブな要素が多いほど、自分自身のやる気に繋がってきました。

当時も今も、自分が萎縮してしまうような迫力のある先生や、怒鳴られること(ダンスもウォーキングも経験しました。。)、過度な緊張を伴うレッスンは苦手で、私には合わないようです。けれど逆に、こういったタイプのレッスンで成長する人がたくさんいることもわかります。
誰がいいとか悪いとかではなくて、相性の問題。みんながいいと言う先生と合わなくても、落ち込む必要は全くないです。

◆体験レッスンの数をこなす

数ヶ月のレッスンを受け、基礎が足りない+レッスンの雰囲気が合わないことに気づいた私は、別のスタジオを探すことにしました。
一旦、プロのモデルウォーキングを目指すことは置いておいて、普段の歩き方を見直すことに。

1つ目のスタジオをすぐに決めてしまった経験から、次は色々なスタジオを見てみたい気持ちが強く、片っ端から体験申し込みをしました。代官山、新宿、六本木辺りで受けることが多かったのですが、体験レッスンの平均価格はどこも3,000円くらい。

スタジオの仕様も様々で、壁一面だけ鏡張りのところから、鏡が一切ないところ、人が数メートル歩けるだけの小さな部屋から、ちょっとしたショーの距離が歩けるくらいの縦に広いスタジオなど、ウォーキングレッスンがあらゆるところで開かれていることも知りました。

ヒールで美しく歩くことを目指す”一般向け”と呼ばれるクラスを受けたり、元ミスコンファイナリストの方のレッスンを受けたり、とにかく一度は勇気を出して行ってみて、どこなら続けられそうか、自分にはどういったスタジオが合うのかを考え続けました。
結果、様々な分野の先生に見てもらうことができ、自分の歩き方の癖や、体の歪みなども徐々に知れるいい機会となりました。

◆一人の先生との出会い

その中でも1つ、次もここで習いたい!と思うスタジオとの出会いがありました。
先生はモデルでしたが、特に私が目指している海外コレクションの経験を持つわけでもなく、モデルのタイプも異なり、内からポジティブな雰囲気を放つ健康的な美しさのある方でした。

一見すると、目指すものに直結しているようには思えなかったのですが、体験レッスンを受ける中で、その先生のボキャブラリーの豊富さ、個々人をよく見た教え方に、ここで続けて教えてもらいたいという気持ちが自然と湧いてきました。

ちなみにそれまでの体験レッスンでは、「どうかな?ここで続けてみてもいいのかもしれないけど…どうだろう?」といまいち判断できていなかったのが、ここにきて即決できたので、途中で無理矢理決めなくて本当に良かったと思っています。

ウォーキングレッスンでは、歩いている時に「もっと〇〇して」とアドバイスを飛ばされることがあります。
その場で言われたことをすぐに直せたらいいのですが、自分の体のどこをどう動かしたら正解なのか、わからないこともしばしば。

そんな時にその先生は、生徒が言葉にピンときていないと瞬時に感じ取り、同じアドバイスを別の言い回しに変えて、再度投げかけてくれるのです。

例えば、私は反り腰になってしまうことが多いのですが、単に、

「反り腰になってるよ」「背中反らないで」「骨盤を後傾しないで」

と言われても、どうしたらいいのかわかりませんでした。けれど、

「お尻で骨盤を包み込むようにしてみて」

という言葉を聞いたとき、すんなりと理解し直すことができたのです。イメージの話なので、実際にそんなことできないよって感じる人もいるかと思いますが、私のウォーキングはこういったイメージの言葉に大いに助けらました。

先生は、言い回しを何通りも持っていて、それを生徒によって使い分けているようでした。
ある人にはこの言葉で通じるけど、別の人にはこっちの言葉で言ったら伝わるかな?と常に生徒の様子を見ながら、一人一人のレベルに合わせて根気強く向き合ってくれる方でした。

先生の元に通うことになって、私のウォーキングは劇的に良くなりました。
もちろん、みんなの前で一人ずつ歩くなどの緊張する場面もありましたが、それは以前の自分を萎縮させるものとは違い、時々訪れる心地よい緊張(ショーの出番直前のような!)でした。

その後、現在の事務所サトルジャパンに所属したことから、事務所内のレッスンが始まり、先生の元を訪れることは徐々になくなりましたが(一時期は同時に2つ通っていました)、そのレッスンがなければ事務所にも所属できていなかったのではないかと思うくらい、丁寧に教えてくださった先生に、今でも感謝しています。

◆選択肢はたくさんある

何かを習う時、世の中に"先生"はたくさんいます。その中で、どの先生に教えてもらうのか、自分は何を求めているのか、どんな教え方や雰囲気だと成長できるのか…目の前に先生が一人しかいない状態だと、どんなに合わなくとも”この人しかいないんだ”と思って耐えてしまいがちですが、そんなことはありません。

自分はどんな先生と相性がいいのか、はじめはわからなくとも、人に会っているうちに見えてきます。意外にも、自分の目標と少し離れている方がいい時もあります。

また、習っていたところを離れたけど、他を受けてみたらやっぱりその先生のところが良かったと気づいた、なんてことも。
そういう時は、戻ればいい。戻れます。たとえ多少の戻りづらさを感じても、常にその物事を良くしようという姿勢で臨んでいるならば、それは相手にも伝わり、再び迎え入れてくれるはずです。むしろ、色々なところに行った結果戻ってきてくれるなんて、そんなに嬉しいことはありません。

もちろん、ここまでに書いたことは、実際に仕事をする前のお話。オーディションに受かり始めたら、今度は本番で学ぶことがたくさんあります。それはいくつになってもあるのかも。先生に習うことが終わったら、次は自分自身で学んでいくことが始まります!

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