見出し画像

痩せたその先、万全の状態をつくる

以前の記事で、チャンスは突然やってくるから、常にそれに対応できるような状態でいることが大切!と書きました。

実はその際、記事を読んでくださったモデルの方から、”私も常にチャンスがつかめるような状態で居られるよう頑張ります!”とお声をいただきました。とても嬉しい言葉ではあったのですが、それと同時に、”もしかしたらこの言葉、難しく聞こえていないだろうか…?”という焦りのような気持ちも出てきたのです。ということで、今回はその辺りについて詳しく書いていきたいと思います。

”常に万全の状態”って、聞いただけだと結構息が詰まりそうな、いつも気を張っていないといけないようなイメージがあるかもしれませんが、私がここで言っているのは逆の意味で、自分自身が心地よくいられる状態のことです。

◯体型の調整

◯気持ちの安定

演技やウォーキングなどの技術面ももちろん大切ですが、モデルにとっては主にこの二つが大きな軸となっているように感じます。また、重要であるからこそ、この二つがうまくいっていないときは、多大なストレスを受けることもあります。私は主に、体型の面で悩んだ時期がありました。

◆痩せることの限界

①痩せることが一番だった

新人時代、身長の高さから、撮影よりもショーに出る機会が多くありました。ショーモデルといえば、洋服をライブで綺麗に見せられる体型が必須です。ブランドや年齢によって多少の差はあれど、主に求められるのは、痩せ型ですらっとした手足の長い体型。

(現在は様々な体型のモデルが活動していますが、日本はもちろん、海外コレクションのオーディションなんかに行くと、基本的には求められる体型が瘦せ型であることに変わりはないように感じます。)

私も痩せ型なので、体型には不自由していないように見られがちですが…モデルの世界に入ると、自分よりも高身長でスタイルのいいモデルなんてごまんといます。私なんて比じゃないくらいに痩せているモデルを何百人と目にしてきました。そんな集団の真っ只中にいると、しだいに自分も、もっと痩せなくては…と常に痩せることを考えるようになります。

海外コレクションに挑戦し始めた頃は特にそうで、痩せて”ガリガリ”にならなければ世界のモデルとの競争に勝てないと思っていたし、痩せたらオーディションに受かる、そう信じていました。周りには細い人しかいないし、周囲からももっと(部分的に)痩せた方がいいとも言われ、それが正解だと思っていたのです。

そしてついに、何回目かのNY・ミラノコレクションに出る際、食事制限をして一ヶ月で普段より3キロ近く減量し、自分至上一番痩せることに成功。脚も細くなっていたし、顔もシュッとしていた。この身長で23inchのパンツが履けたときには自分でも驚いたほどでした。

けれど結果は、以前と特に変わらず。。。オーディションに受かった本数は、決して多いとは言えませんでした。その時になってようやく、自分は痩せるだけでは駄目なんだと気がついたのです。

②体型を整えながら次のステージへ

私には痩せることで得られる仕事はもう少ないのかもしれないと考え直し、体型は無理せず”ある程度”をキープすることにしました。

同時に、髪型含めファッションを楽しみ始め、眉もブリーチしちゃったりなんかして、オーディションもブランドの雰囲気に合わせるということは一切しなくなりました。
そうした途端、今までの倍は受かるように…!
↓眉ブリーチしてマッシュルームカット、すっぴんで歩くようになっていた時(NY)

画像1

痩せることに頑張りすぎていた時は、オーディションに行くときに体型がよく見える服や自分の欠点と思われる部分を隠す服、買い物をする時も”これはオーディションで使えそう”とか思って買っていました(←モデルだったら一度は思うことがあるかなと思います笑)。楽しむことなんて考えていなくて、勿体なかったな。

今なら、体型は関係ないとわかります。いや、実際関係はあるんだけど…!ある程度の基準をクリアしたなら、そこから先は痩せることではなく、プラスαの勝負になってくるのだと思います。

一番に求められるのは、痩せているかではなく、いかに服を良く見せられるか、この人に着てほしいと思ってもらえるかだったのです。そんな基本的なことに気づくのに、何年も費やしてしまいました。

◆骨格を知って、自分にできることを知る

体型を整えるにあたっては、まず自分の骨格を知ることが大切です。
私の場合、

上半身が極端に痩せている
肩幅は標準だけれど、なで肩
骨盤が張っているのでお尻が大きく見えがち
太ももがしっかりしている
首が長い
左右の脚の形が違う
顔が小さいetc....

変えられるもの変えられないものはあれど、基本はこんな感じです。仕事(特にショー)では、この体型に合うもの(+髪型や自身の持つ雰囲気はもちろんすごく大事!)しか着ることはできません。

実際に、NYコレクションのフィッティングにて、ドレスを着たときのこと。ヒップサイズはあるのでドレスは似合うのですが、いかんせんバストがない…笑

デザイナーが「あの子胸が無さすぎて、(着せたい)ドレスが似合わないわ…」と言っているのが聞こえました。
お、落ち込む〜(ていうか聞こえないように言ってほしい笑)

そこのブランドのドレスは、アメリカのプロムで着られることが多く、胸元が大きく開いているデザインがメインでした。本当は私の顔や雰囲気で着せたいものがあるのに、バストが無さすぎて着せられない…ということで結局、本番では2着着ましたが、どちらも胸元を覆ったデザインになりました。

こんな風に、体型にはどうしようもできない部分がたくさんあります。だったら自分の体型を認めて、できる部分だけ改善、あとは良いところを強化していったらいいんじゃないかなと思います。

もしかしたらその過程で、目標とするブランドに自分の体型が合わないかも…と落ち込むことがあるかもしれません。けれど、モデルという仕事は何が起こるかわからない、、!ブランドのディレクターが変わったり、時代によって起用するモデルを変えてきたり…チャンスは突然です!

◆体も気持ちも一定を保つ

①自分の中に基準を持つ

モデルの仕事には、ここだけ頑張ればいい!という期間がありません。1年中、様々な仕事の対応が求められます。

ショーモデルが活躍するコレクションは時期が決まっていますが、その他の撮影やイベントに関しては、いつオーディションがくるかわからない。
そんな中、年がら年中ずっと気を張って過ごすことは、かなりの精神力を必要とします。人間誰しも、気を抜いてダラダラ過ごす時間がないと疲れちゃいますよね(私なんかは特にそうなのですが)。

だから私は、仕事のあるなしに関わらず、体も気持ちも常に一定の基準を保つことを心がけるようになりました。

コレクション前にしていた過度な食事制限は一切やめ、普段から食べたいものは食べるけど暴飲暴食は控えることで、急激に太ることも痩せることもしない。運動は食べたからやるのではなく、日々の生活の中で習慣づける。その中でコレクションの時期が来たら、ストレスを感じない程度に、普段より少しだけ意識して気をつけてみる。

実は以前は、痩せなきゃショーに出れないんだという強迫観念から、物凄いストレスを感じ、コレクション期間になると常に口内炎が3つ以上できていました泣。体と心が繋がっていることを心底感じた出来事でした。。

②短期集中では通用しない

短期間での過度な頑張りは、肌の状態に影響が出たり、体調を崩したり…実際にショーモデルで直前に痩せすぎた子が、貧血になって倒れたのを聞いたこともあります。急激に痩せてオーディションに受かったとしても、その後に倒れて仕事をキャンセルしてしまったら、元も子もありません。

特に仕事が増えてくるにつれ、テスト前日の一夜漬けのような頑張りはできなくなります。

実際NYFW中は、ショーのオーディション以外にも、大規模な撮影のオーディションが入ってくることも少なくありませんでした。

私が経験した中では、1日の中で、ショーの本番があり、その後に別のショーのフィッティング…その合間に1本、ビューティーのオーディションが入ってきたことがありました。しかも突然。当日の連絡で。
予想もしていなかった出来事。けれど、海外のオーディションって、そういうものです。そんな時に、急にお肌のコンディションを良くしろと言われても難しい。でも、普段から一定を保っている人なら問題ないんです。

目標に向かって短期間の努力をし他で犠牲を払うよりは、自分自身が心地よくいられる範囲で過ごし、突然のオーディションと言われてもストレスなく出ていけるような状態を保っておく方が、長い目で見て得策です。

ちなみに、どこが心地よくなおかつオーディションにも対応できる基準なのかは、モデルをやっていく中で徐々に分かることだと思っています。最初はみんな、あーでもないこーでもないと苦しみながら学んでいくものです。その過程もとても大切。そんな中で、自分にはどういうものが必要なのかを見定めて、自身の基準を作っていきます。

私も一度苦しいところを抜けて、また別の課題に向き合うことになりそうです。けれど今なら、少し余裕を持って臨めるかな。

***

最後まで読んでくださってありがとうございました。良ければフォローとスキ(♡ボタン)もお願いします!

この他にも、instagramtwitterVoicyもやっていますので、ぜひそちらもフォローをよろしくお願いします。

Have a good day:)



鈴木亜美のnoteにさらなるサポートをしていただける場合は、ぜひこちらからお願いします!いただいたものは、より良い記事を書くために使わせていただきます。