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モデルアパート事情③(番外編)

前回までに書いたモデルアパート事情、相当過酷なものでしたが、そんな中でも温かい気持ちになるエピソードも。ということで、今回は番外編です。

◆〇〇退治に一致団結

モデルアパートでは、各自が持ってきている食器もあれば、共有で使うものも多くあります。当然、自分が使ったものは自分で洗うのが常識かと思いますが…中には流しに置きっぱなしにしてしまう子も。さすがに2日も放置されると、誰の仕業なのか?と犯人を特定します笑 
1度、思い当たる子に
”あの食器使ってなかった?”と尋ねたことがありますが、
”知らない。忘れちゃった。”
ととぼけるばかり。仕方なく当時最年長だった私ともう1人が洗うという状態だったある日、ついに事件は起こりました。

”ネズミがいたーーーー!!!!”

と、モデルたちがざわざわ騒ぎ始める。これだけ食器を放置していたり、掃除に対して無頓着であればネズミも出るよね、1階は飲食店だし…と思いながらも、やっぱり私もネズミが目の前を行き来する環境には抵抗があったので、モデルズみんなで一致団結、退治することに。

どうやら冷蔵庫の裏にいるらしいとの情報があり、夜中にみんなで作ったのがこちら。

バリケード!!笑

キッチンゾーンからネズミを逃すまいと、リビングに置いてあった本をかき集めて作りました。意味があるかはわからなかったけど、みんなであーでもないこーでもないと言いながら作る時間は楽しかったです笑

ちなみに最終的には、冷蔵庫の下に粘着シートを貼って置いたのが効きました。
実は一番最初にシートに足を取られたのは、貼ったことをすっかり忘れて冷蔵庫を開けた私だったんですけどね。見ていた一同爆笑でした笑

◆国外からサプライズ

朝起きてリビングに向かうと、ソファの上で大きな花束を持っているモデルの姿が。彼女の両腕いっぱいに抱きしめられたピンクの花たち、いったいどうしたのか聞くと、母国にいる彼氏からの贈り物なんだそう。実は少し前に喧嘩をしてしまい、そのお詫びとして送ってきたみたい、と。喧嘩したことを思い出しながらも嬉しそうに話す彼女に、私まで幸せな気持ちになりました。その時の写真はないけれど、今も鮮明にそのシーンを覚えていて、私の中の温かい記憶の一部となっています。

海外でモデル活動をしているレディースモデルたちの元には、度々彼氏や、家族が遊びに来ます。そうして長く過酷な海外生活も乗り切れるのかなと、活躍するモデルたちを見ながら思ったのを覚えています。

私の場合は、友達で旅行に来る子が多く、みんながスケジュールの合間を縫って会ってくれました。少しの時間でも、異国の地で知っている人に会えるその瞬間が、本当に愛おしく、私の心を元気づけていたのだと、今でも感謝しています。

◆GOOD LUCK!

このアパートでの生活を3ヶ月半も耐えることができたのは、優しくて時に面白いモデルたちがいてくれたからかなと思います。ライバルというよりも、一緒に頑張る"仲間"という意識が大きかったように思います。

ニューヨークのような大都市には、人種や国籍の違うモデルが物凄い数で集まってくる上、仕事の種類も様々。いつも必ず同じオーディションに呼ばれたり、受かったモデルが知り合いだったりすることも少ないため、より気持ちよく応援できたのだと思います。
そして例えオーディション会場で会ったとしても、みんな必ずと言っていいほど”Good luck!"と声をかけて別れる。対人ではなく対仕事で臨んでいるからこそ出る言葉であり、私はその言葉を掛け合うことがとても好きでした。

日本にいた時は、オーディションで会う子は大抵顔見知り、誰が受かったのかもすぐにわかる環境だったので、中々そういう心持ちになれませんでしたが、ニューヨークの過酷な環境を経験し、たくさんの仲間から”Good luck!"の言葉をもらった後は、帰ってきてからも自然に人を応援できるようになっていました。

◆おまけ

話は逸れてしまいましたが、モデルアパートでたくさんの経験をできて本当に良かったと思っています。当時あのアパートで、時に怒り、泣き叫んだ事が、確実に今のタフな私を構成しています。

そしてここまで読んでくださった方に、当時の家賃をこそっとお教えします。ニューヨークの好立地ユニオンスクエア近くのモデルアパート、8人(時に9人)シェア、バストイレ一つの二段ベッドが4部屋(1部屋の広さは、ベッド置いて大きなスーツケース2個がギリギリ置けるくらい)で、

1ヶ月1人当たり…

1500ドル!!

当時のレートで換算して約18万円!!!!

ギャラから引かれていたのですが、よくぞ払いきったなと思いました笑 当時のなんとかなる精神の私に、ただただ拍手です。

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