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はじめてのお肉解体

先日初めて、お肉にする作業をした。
友人から預かったウリ坊の前足を、教えてもらいながらやってみた。
文章作るのはニガテなので避けて、避けて、逃げまくっていたけど、幼稚な文章でも残さなきゃいけない気持ちになった。

きっかけは、自分のお家の牛さんの前足部分を解体すると聞いて、見学させてもらったところから。
我が家のお肉はグラスフェッドビーフなので、世間的に美味しい!高級!とされるお肉とは全然違う。同じように食べると、結構固いかもしれない。(私たちは十分美味しいと感じるけれど。)
いわゆる赤身肉というやつで、熟成させるとめっちゃくちゃ美味しくなる。
ただし、色々大変なわけで…でも、その作業をして、販売してくれるかたが近くにいるのだ!!ありがたいよなぁ…
生きてる〜食べるの間を、怖いけど知りたいなと。知らなきゃなぁと思ってたので、お邪魔させていただいた次第です。

見学するぞ…!

で、牛さんの解体を見学させていただいたんだけど…
お肉にするまでってこんなにパワフルでエネルギーを使うのか!!と、驚いてしまった。
生産者に近いような立ち位置で、「食べ物への感謝、生産者へのありがたみ感じて欲しい」とか思って生きてたんですけど、 ”生きてるとき” から ”食べるまで” の間がすっぽり抜けてた。知ってたつもりだったの恥ずかしい…恥ずかしいよ…。

まだお肉じゃない…ウシだ…!!

前脚、と言っても、首元の筋肉もついてるし、脚感すごいし、全然ウシだった。
切れ味のいい包丁や、大きいお肉用のノコギリで大まかに分けられていく姿を見るのはつらかったなぁ…。今まで誰かがしていてくれたことへの感謝も忘れちゃいけないんだけど、ギリギリ哺乳してお世話してた子だし、楽しそうに放牧場を歩いてる姿や、撫でられて喜んでいる顔を思い出してしまう。
悲しいし、かわいそうとも思うけど、お肉を食べる行為については、大学生の時にある程度乗り越えたつもりなので、いただきます。

情報を整理するって大変じゃんか…

画像検索すれば出てくる、ここはサーロイン!ここはミスジ!ここはトウガラシ!と、部位のわかる画像も、何も考えずみてたんだな。
解体すればするほど、どこの部位かわからなくなる。
テレビやパソコンを解体して戻せって言われてもわからんよ…の気持ちと多分いっしょ。…多分。
筋肉の作り、骨の形、筋の付き方、などなど、情報を整理するのにどのくらいの方々が犠牲になったのかなぁ。そのおかげで助かっていることばかりなんだけど、体の作りを全然知らない人が興味本位で解体してたら1頭分じゃ足りないよ…。いろんなこと考えちゃうワ・・・

少しお肉を切らせてもらって、お肉が美味しく食べられるのは加工技術があってこそ、を理解したところに出て来たのがウリ坊の前脚。
「やってみる??」と言われ、即答はできなかったけど、興味はあったのでやらせてもらった。こんな機会、なかなかないしな。「美味しくなくなってもいいならぜひ!!!」

ウリ坊の前脚、解体するぞ…!

見るのとやるのって本当に違うよね…。触るとなんもわかんない。
一刀目ってどこだ……スジと骨が見分けつかん……これが筋膜…?はて…?

【かんたんな手順】
①肘のちょっと上を骨に沿ってぐるっと切り込みを入れる。
(本当にここ切っていいの…?めっちゃ不安・・・)
②肘周りの筋を切ると、ポロっと外れる。骨から離れた筋肉は急にお肉っぽくなる。
(全然筋見つかんないんだけど…ポロってなんねぇ〜!!)
③筋を切って、筋膜で部位ごとに分けていく。
(外れそうなところから外していいのか…?外れそうなとこわかんねぇ〜!!)
④焼いて調理する場合、筋膜・筋のところが食感や臭みに影響するので、切り落としたり筋切りする。豚の筋膜を柔らかいので、そんなに気にしなくてよい。
(どこまで筋膜を剥がしていいのかわかんねぇ〜!!)

…といった感じ。
手を動かすと、不思議なことに体のつくりへの好奇心がでてきた。さっきまで悲しくなってたくせに。
絵を描いたりなんだりしてると、人体解剖図とか動物解剖図とか見たりする。デッサンなんかだと、なぜそう見えるのか、を理解していた方がうまく描けるので。(まあ全然知らんのですけれども。勉強してない。)
今まで平面で見てたものが触れることが面白かった。関節を曲げたときの筋肉の動き、筋肉・骨の形、知ったつもりのものを知っていく行為はドーパミンドバドバでてくる。
これはハマる人はハマるなぁ…やばいなぁ…こりゃぁあの画家も解体するのに墓荒らすよなぁ…。

いのちをいただいてることも、あとは切るだけのところまで処理してくれたことも、ありがたみを忘れたわけではないけれど、面白がっていた自分がショックなような、健康的なような、どう解釈すればいいのか悩んでしまう。(自分でケモノからお肉にできる人のことを精神的に健康だと思ってる。)
そして何より、お肉がおいしい…!塩を振ってからフライパンで強火でジュっと表面を焼き、オーブンでローストに…おいしすぎる!!

こんな機会をもらえて本当にありがたかった。
私の包丁捌きを見て、ソワソワムズムズしてただろうに「変われ!」とも言わずにじっと見守ってくれていたお師匠さんにも感謝です。(見守るって難しいよね…)

「解体してみる?」ってまた言われたら、やりたいなぁ。
いのちを終わらす、毛をはぐ、はまだ怖いけど、少しずつ食べるまでの過程を知っていこうと思います。

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