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書評「現代思想入門」千葉雅也〜哲学を使える道具にする為に〜

『現代思想入門』で大まかな現代哲学のアウトラインを掴む

こんにちは、amiです。今日ご紹介するのは、千葉雅也さんの『現代思想入門』です。ここ数年のコロナ前後くらいから哲学界隈が面白いことになっていますね。ガブリエルの「世界は存在しない」やコロナ禍にはアガンベン批判などなど、あるいはポスト・ヒューマンといった哲学。難しいイメージの哲学ですが、千葉雅也さんの現代思想入門はその名のとおり、現代思想の大枠をつかむのに最適でした。

現代思想って何?

現代思想とは、20世紀以降に発展した哲学や社会理論の総称です。フランスのポストモダン思想や、ドイツのフランクフルト学派など、様々な流派があります。これらの思想は、私たちの現代社会を深く理解するための重要な鍵となるものです。

例えば、あなたが日常的に感じる「情報過多のストレス」や「消費社会の矛盾」について考える際、現代思想はその背景を解き明かす手助けをしてくれます。

千葉雅也ってどんな人?

著者の千葉雅也さんは、現代思想を専門とする哲学者です。彼の著作は、難解なテーマをわかりやすく解説することで定評があります。『現代思想入門』もその一環で、初心者にとって非常に親しみやすい一冊です。

本書の構成と内容

『現代思想入門』は、いくつかの章に分かれており、それぞれが重要な思想家やテーマを扱っています。ここでは、各章のハイライトを簡単に紹介します。

現代思想の基礎

この章では、現代思想の基本的な概念や背景を解説しています。まず最初に理解しておきたいのは、現代思想がいかにして生まれたのか。その背景には、第二次世界大戦後の社会変革や、冷戦時代の政治的な緊張があります。千葉さんは、こうした歴史的な背景を丁寧に説明し、現代思想の重要性を強調しています。

主な思想家たち

次に、現代思想を代表する思想家たちについて詳しく解説します。この章では、ミシェル・フーコー、ジャック・デリダ、ジル・ドゥルーズなど、聞いたことがある名前がたくさん出てきます。

例えば、フーコーの「監獄の誕生」は、権力と監視の問題を取り上げています。私たちの日常生活でも、監視カメラやSNSのプライバシー問題など、フーコーの思想は非常に関連性があります。デリダの「脱構築」も、言葉や意味の不安定性を指摘し、常識を疑う視点を提供してくれます。

現代思想の応用

この章では、現代思想が具体的にどのように応用されているかを紹介します。例えば、フェミニズムやポストコロニアル理論、エコロジー運動など、様々な社会運動において現代思想がどのように役立っているかを具体例を交えて解説しています。

初心者でも安心して読める理由

『現代思想入門』が初心者に優しい理由は、その分かりやすさと具体例の多さです。千葉さんは、難解な哲学用語をできるだけ避け、日常生活の例を使って説明しています。これにより、抽象的な概念が具体的なイメージと結びつき、理解しやすくなります。

例えば、デリダの「脱構築」を説明する際には、日常的なコミュニケーションの中で意味が揺らぐ瞬間を取り上げています。「こんにちは」という挨拶が、状況によって友好的にも皮肉にも聞こえることがありますよね。このような身近な例を通じて、デリダの理論が理解しやすくなります。

まとめ:現代思想を学ぶ意義

最後に、なぜ現代思想を学ぶことが大切なのかを考えてみましょう。現代思想は、私たちが生きる現代社会をより深く理解するためのツールです。情報が氾濫し、多様な価値観が交錯する現代において、批判的な思考力を養うことは非常に重要です。

千葉雅也さんの『現代思想入門』は、その第一歩として最適な一冊です。難解に思える現代思想も、この本を通じて少しずつ理解が深まり、やがて自分自身の考えをより豊かにする手助けとなります。

現代思想入門と合わせて読みたい本

武器になる哲学: 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
山口 周

わたしは読書は採点するものではないと思っています。哲学もアリストテレスやプラトンの名前を知っているということが重要なのではなくて、どうやってそれを武器として使っていくかだと思っています。とくに、変化の激しい今の世の中を渡っていくのに必要なのは哲学という武器なのだとつよく思います。山口さんのこの本はそのものズバリ武器になるの哲学です。現代思想入門とあわせて読むのにおすすめです。




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