日めくりとか居酒屋とか。

かかりつけ医のところへ寄ってから仕事へ行く。ブログにも書いたが俳句が書かれた日めくりカレンダーを一気にめくったりめくったのをためたりしていたのでメモしておこう。

別るるは一語で足りし葛の花 中村苑子

葛の花ってどんなだろう。検索検索。おお、すごい迫力。雌蕊と雄蕊どうなっちゃってるんだろう。本物が見たいな。一語で別れられる関係を作るのは大事ね。

初秋や草をくぐれる水の音 鷲谷七菜子

良い句。蝉の音にかき消されていた音が聞こえ始めたら秋ですね。

銀髪をほめられてをり星月夜 西嶋あさ子

髪の色、肌の色、朝の色、太陽の色、月の色によって変わればいいのに。辛すぎる歴史はそのまま伝えるべきだけど。

狭い居酒屋のカウンターでのんでいたら隣に若い女性たちが座った。「暑すぎて死ねる!」と大きな声でいい小さな黒いバッグを机の上にどんと置いた。「酔いたくないから薄いカルピスサワーにする」と話し店員さんに「カルピス濃いめで」と伝えていた。水商売をしているらしかった。しばらくすると一人が涙を拭い出した。「どうしたの?」と驚かれていた。連れ立ってタバコを吸いに外に出て戻ってくると「もういっぱいのんでいい?酔いたい。」と今度は普通の濃さのカルピスサワーを頼んだ。二人は楽しそうでこれから泣いていた彼女の家へ泊まりにいくようだった。スマホでお互いの、あるいは二人の動画を楽しくかわいく撮る様子を隣で感じながら私はいつの間にか何かに満たされたような気持ちになっていた。すると知らない彼女も隣で「あー幸せ!」と言った。そして「酔って男に電話したいと思ったのはじめて」と言った。するともう一人が「え!私いつもしたい」と笑った。

私も思い出したんだ、辛くて悲しい記憶を。他人のことならこんな気持ちになれるのに自分の傷はずっと痛いままだ。それでもこんな気持ちになれること自体ありがたいことだ。私の俳句日めくりカレンダーは毎日違う俳人の句が書いてある。短い解説は宇多喜代子、87歳。彼女だったらこれらの俳句に対する包容力同様、まだ若い彼女たちを包み込んでくれそうだ。良き出会いを今日も今夜も。