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六甲山登山に行ったのだけど

登山の初心者の中の初心者が思った、準備の大切さとか、遭難するかもーな怖さをちょっと語ってみる。

子供の頃から近所にある低山にしょっちゅう登っていた私。そんな私が、今回そこそこの山に登った。それが六甲山。

六甲山の存在は、関西在住者なら知らぬ者は居ないだろう。頂上付近には、六甲ガーデンテラスなるちょっとした商業施設の集まりがあり、六甲山牧場や、植物園、オルゴール館なんてのもある。車でサクッと来て、色々回りながら散策。この時期は、紅葉も綺麗だ。夜景も綺麗で、夜はカップルのメッカ。怪談めいた話もあり、オカルト的にも話題に事欠かない山である。

そんな六甲山。登山する場所としても関西では有名だ。そこまでの距離もなく、初心者にはちょうど良いらしい。インターネットの登山サイトに書いてあった。今まで、車で六甲山牧場に行ったり、ガーデンテラスに行ったりはしていたが、登ったことはなかったなぁ。今年の夏に岐阜旅行で乗鞍岳と上高地に行ったことがきっかけで、私の登山欲は高まっていた。最初の登山として、六甲山は適任じゃないか。季節的にも暑過ぎず寒過ぎず、ちょうど良い。紅葉も綺麗だ。芦屋川のロックガーデンから登り、有馬温泉に抜けるルートならば帰りに温泉に入ってビールでも飲む。最高じゃないか。決めた。私は六甲山登山を決意する。

登山レベルは昔から低山を何度も制覇したとイキってはみたものの、初心者、ともいえないレベルだろう。初めての登山ということもあり、色々ちゃんと下調べして臨むことに。「登山を舐めたらあかん」「準備をちゃんとして」。なる文句が溢れていた。なるほど。準備をちゃんと、ね。メモメモ。しかし、今にして思えば私の装備は「お前それ、マサラタウンバイバイできるか?」レベルのヤバいもんだったのだが、それが分かるのは登りきった後のこと。この時点ではこれでいいっしょ!と、装備したのはタオル、お茶、え?他になんか要りますか?レベル。お前早速山舐めてんじゃねぇか。とツッコミ入るレベル。しかし、私の中ではめちゃめちゃ私準備してるし。舐めてないし。ってイキった状態。万全の体制ふっふー!って感じで調子乗ってる訳。まぁ、現実私は登りきった訳だけど、自分の体力の少なさを計算に入れてなかったり、日没までに下山できない可能性考えてなかったりと、色々と考えるとこはあった。なので、それをちょっと書きたい。

六甲山初登山。芦屋川〜有馬温泉。

今回は、初心者向けルートということで、芦屋川の上にあるロックガーデンから有馬温泉へ抜けるルートを使った。帰りに温泉に入って、ビールを飲む算段だ。しかし、温泉は叶わなかった訳だが。それは後後語る。

阪急の芦屋川で下車し、ロックガーデンまで登る。割と既にしんどい。自分の体力の無さをここで再確認する。ロックガーデンの入口で2人の女性と出会い、蜜柑をもらう。2人も六甲山登山初らしい。「1人で凄いねー」とひとしきり褒めて頂き、私の中の承認欲求が満たされるのを感じる。色々話して結局一緒に行くことに。当初私は頂上まで登って、ガーデンテラスうろうろしてロープウェイで降りるつもりだった。家を出たのは10時既に過ぎていたし、有馬温泉に抜けるルートは時間的に厳しいと思ったのだ。しかし、ロックガーデン側に下山してきた男性に聞いたところ、どうやら有馬温泉に抜ける方が早いらしい。それならと結局有馬温泉に抜けることにする。どないやねん!

最初の時点で割と「大丈夫か、これ」ってなった。まぁまぁな岩肌。よじ登りますよ、と登山サイトの説明には書いてあったものの、ほんとに登るやん、って感じに登った。2人の女性も「舐めてたわ」としきりに言っていた。私も舐めてた。岩肌は縦に登って行く為、距離的にそんなに進まないとこも地味にしんどい。通過地点にある風吹岩は割とすぐあった。少し開けていて景色がよく見える。

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近隣には猫が数匹居て、ごろごろと日向ぼっこをしていた。割と触れたが、あまり綺麗ではないし、手も洗えない。若干触ったことを後悔...。

え?どっち?道いっぱいあるし

最初の方で既に「どっちやねん」な道があって焦った(早い)。印があったからそれを目印に歩いたけど、ほんとにこっち?って感じの道。え?嘘、まだマサラタウンバイバイしてないよと思いながら、プチ焦。遭難の恐怖がチラつく(だから早くない?)。正直、山道ってほんとどこも似てるし、割と何回か歩いたらもうそれは道として振舞ってるんだよね。え?私、道ですけど?ってツラしてる。え?何か文句でも?くらい。何回か人も行き来してますし、ってなもん。私はその振る舞いにのこのこ行ってしまう訳。誘うんじゃねえ!

私体力余裕じゃね?からヤバくね?が急に来る

川があって、そこまでは割と「え?私余裕じゃね?」って感じで、私登山レベルイケてんじゃねって感じでイキってた。しかし、ほんとにクルのはここからだったのだ...。暫く歩いた辺りから足がめっちゃくちゃ重くなった。え?何これ?ヤバくね?(早い)ってなった。体力ある人だったら六甲山は余裕だと思うけど、私は正直体力に自信がない人だった(そういえば)。低山何回も制覇してちょっと調子乗ってたわ。ほんとに急に来た。ちょっと進んでは座り込んで休み、ちょっと進んでは座り込んで休み、の繰り返し。そして、進路見たら割と急めな坂まだ続く感じなんですけどー。辛くなる。頂上まではそんなに距離はないんだけど、坂道が、クルー!!

ほんとにもうすぐそこに頂上あるんだけど、ここで「登頂できるか?私」な不安が私を襲う(ここで)

登頂できるか?私。な時に過ぎった色んな不安と、気付いた準備不足

嘘だろと思った。正直これは計算外。結果私は登りきった訳だけど、この時点では割と真剣に「ヤバい」んじゃないかと思っていた。足が尋常じゃないくらい重い、日没近くなってきてやたら休憩挟むから寒くなってきた、登頂付近の茶屋でご飯食べるつもりで何も持ってきてないから腹減ってきた、暑いのか寒いのか分からない。この時、私は自分が準備不足だったことを悟った(遅い)。結果論として、私は有馬温泉まで行けた訳だけど、最悪自分の体力がもたない可能性だってあった訳だ。そう思ったら怖くなった。まずこの時点で、

・食べ物を用意してなかった

・自分の体力とペース配分を考えてなかった

・体温調節のできるものを用意してなかった

・日が沈むまでに下山できない可能性をそもそも考えてなかったから、懐中電灯も持ってないし、迂回路も考えてなかった

こいつ山舐めまくりじゃねえかとお怒りになるのもごもっともです、へぇ。この不安が一気に襲ってきて、準備不足を知るに至った訳だ。

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暮れ始める太陽を眺めながら、これから登る道を仰ぎ見る。足、大丈夫かお前。と問いかけながら。後はもう奮い立たせるしかない。つらいよぉ、と嘆く体に鞭打ち、必死に歩くことに。なんかもう寒いし。指はかじかんでくるし、足先は冷たい。まじ六甲山登山舐めてた。遭難したくないよう。止まってしゃがみこみたくなるのを必死で制止しながら何とか頂上付近に到着したのは3時頃か。少し開けたその場所の前には道路が通っていて、その向かいに登頂があった。ここまで来たものの、めちゃくちゃ寒いし、目当ての茶屋時間過ぎて閉まってるしで、ひぇーとなる。仕方ないので、自販機のコーンポタージュ二缶と、バンホーテンのココア飲んで飢えを凌ぐ。え、まって、つらい。そして、連れの2人を待つ。しかし、待てど暮らせど来ない。正直、ここであまり待つと私も日没までの下山が危ぶまれる。てゆうか、ここ来るまでに散々休憩してたのに来なかったよな。もしかして、諦めて住吉の方に抜けたのか?だったらいいんだけど。Lineでも聞いとけば良かったな。と、色々と考えを巡らす間も体めちゃめちゃ冷えるやん!ヤバい。手の感覚ない。まじで舐めてた(何回目〜!)暫く待って、後から来た2組に確認するも「知らない」と。多分途中で迂回してるなこれ。私はもう時間ヤバいし、体冷えるしでもう「降りたい!降りたい!」ってなっていた。何人か人居るからまだ安心感あったけど。トイレを済ませて、下山を開始。はぁー、楽〜。さっさか行けるでぇ〜。落ちかける夕陽を眺めながら、下山を開始。実は、私、登頂してないんだよね。あの道路見えた時点で「あ、もう下山する分の体力しか残ってねぇや」と諦めたんだ。何だ、私の初登山。まるで私の人生みたいじゃねぇか。煩い。

下山超楽

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なんか4文字熟語みたいになった。下山はほんっとに楽だった。てか私の体力、まじギリギリやったやん。あれ以上登るんやったらまじでヤバかったかもしれない。下山が超楽なので助かった。下山ありがとう。君のお陰で助かった。後はもう、何も考えず下山するだけだ。この時の安心感たるや。途中、男性に声かけられて暫く話しながら下山する。男性は慣れてるらしく、私の後ろをザクザクっと凄い音立てて歩いてくる。私は思わず「どうぞ」と避ける。すると、話し相手が欲しかったのか話し掛けられて、途中まで話しながら歩いた。正直心細かったから有難かった。

有馬温泉に着いたのは4時頃かな。既に夕闇が近付いてる感じだったから、風呂入ってる時間ねぇな、と諦める。暫くぶらぶらと散策しながら、感じの良い場所に入ってビールとつまみを頂く。この頃には手がかじかみきっていて、ズボンのファスナーも上げられない始末。私、山舐めすぎやろ。暖かい饅頭を頂きながら帰路に着く。

今回、初登山ということだったけど、色々準備不足を実感したな。まず、そもそも出発した時間が遅かった。既に私はこの時点で舐めてるな、と。秋も深まりつつあるこの時期の日没は早い。それも加味してなかった。低山何回も登ってるし、とイキっていた。1時間と4時間じゃそら、ちゃいますわ。色々計算ミスってた。今回は何とか日没までに下山できたけど、これが慣れてない山だったら遭難してたかもしれない(まじまじ)山での計算間違いは命に関わる。

今回、初登山で、山は舐めたらあかんな、とリアルに実感したのだった。

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