自分の体の中、見えないところで

5回目のコロナワクチンを打った。
4回目から1年以上経っているので、かなりお久しぶりである。
回によって注射の痛みは0〜10まで様々なのだが、今回は8ぐらいだった。要するに結構痛かった。インフルエンザの予防接種とはまた違う痛みである。

家に帰ってきて数時間すると、体が少しずつ重だるくなってきた。頭も痛い。ただ、頭痛に関しては、毎日飲んでいる薬の副作用もあるので、ワクチンなのかその薬なのか判別がつかない。ワクチンにしてみりゃ、「いやまだ俺本気出してないっすよ」という感じかも。
また少し時間が経つと、今度は背骨と首周りが重く痛くなってきた。懐かしい。今までも、こうやって首が痛くなった。痛いというか、浮腫んだような気だるさなのだ。なんとも形容し難い。ただ、この反応は接種後、結構経って出てくるので、「おうおう、ワクチンさん飛ばしてんね〜!ちょっと張り切りすぎなんじゃないの〜??」とヤジを飛ばしたくなる。

このコロナワクチンは、抗原となるタンパク質の遺伝情報の一部を体内に注射している。それを読み取って、タンパク質を体内で作るのだ。頭のいい人ってすごい!って感想しか出てこない。そんなことできるんだなぁって思うけど、頭のいい人にはきっとできてしまうんだろう。
今頃、体の中では得体の知れない奴が入ってきて、てんやわんや?してるのかも。
記憶細胞が「こいつあれだ!」と思い出すのにどれだけの時間がかかるんだろうか。そこから免疫部隊が出動するまで、またどれだけの時間がかかるんだろう。
体がだるいのも、首が痛だるいのも、自分の体の細胞達が頑張ってくれているからのこと。この体が悪い奴らに侵されないように、必死に戦ってくれているのだ。わっせわっせと。

そう思うと、なんだかとても愛おしくなってくる。自分のことなんて、全く好きじゃない。むしろ嫌いだ。愛おしいなんて気持ち悪くて思えない。死んでしまえと、何度思ったことか。
だけど、体の中で、生命活動を維持しようと必死に頑張っている細胞達がいる。自分が死にたいと思っても、本当に死のうと思っても、こいつらだけは最後まで諦めずに生きようとするんだろう。

別に、細胞達が自分のことを頑張れ頑張れと応援してくれる訳じゃない。優しくて心温まる言葉をかけてくれる訳じゃない。嫌なことがあったからといって、背中をさすってくれる訳でも温かいココアを出してくれる訳でもない。
ちょっと、「訳でもないこと」を羅列しすぎた気もするが、まあそういうことだ。
でも、自分の体を脅かす何かが入ってきた時、細胞達はこの体の平穏を保つために戦ってくれる。自分が健康に過ごせるように、見えないところで戦ってくれる。例え、自分が生きたくないと思っても。

自分のために生きたいなんて思わない。
でも、毎日多忙を極めて頑張ってくれている細胞達のために、体に優しく生きなければな、なんて改めて思ったりする。まぁ、それがなかなか難しいんだけど。

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