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三原市ポポロに、春風亭一之輔師匠来る!

今日は午後から、ポポロで落語。
初めて、春風亭一之輔師匠の生落語を堪能しました。

このコロナ禍の中で、ずーっと開催中止を覚悟しながら、チケットだけ押させて本日を迎えましたが、無事に開催されて本当に良かった!
やっぱり、落語は自腹切って、生が一番です!
とはいえ、ホール落語しか経験がないので、いつか大阪か東京の寄席に行ってみたいけど、しばらくは無理・・・ですね。

あたくし、できれば、上手側の座席に座りたかったんですが、今回はチケットが取れず、下手側。まあ、まだ前のほうだからよかったものの、なぜかこのセクションは「反応が悪い」ので、やきもきしました。
上手側の後ろの座席から「反応が良い」リアクションがあったんで、すこし羨ましかったなあ。笑いに来たんだから、笑えばいいのに。

あたくし、変なポリシーがありまして、
「賽銭は、神様に対しての覚悟の代償。入場料は、演者に対しての覚悟の代償」
あたくしも商売人の端くれ。プロの仕事の価値と対等なものを差し上げたい。単に、こちらの姿勢なだけなんですけどね。
でも、それが、自分なりの「自分の決断した評価」なり「自分の決断した覚悟」なんだと思います。

落語一つに何を言うねん、と思われるかもしれませんが、すべての仕事に言えることだと思います。こちらも真剣に向かい合いたい。

自分の仕事についても、そうありたいと思います。
誰に食べられるかわからない、このアンパン一つに、どれだけのプロの力を注ぎこめるか。
手を抜けばバレます。少なくとも、自分自身にバレます。だから、絶対に気を抜けない。
毎日、今日より明日へ、明日より明後日へ、自分の仕事をよりいいものに。

とかいっても、落語は楽しむのが本分。
軽く感想をば。

今日の舞台、開演まで会場には昔のTVCMの音楽が小さく流れている。昭和の下町をイメージしてるのかな?
開演の前ベルも、ポポロのいつものオシャレなものではなく、ブザー!
あったんかい、ポポロにブザー!ここもこだわったか!昭和感満載。(笑)

そして、初っ端から一之輔師匠自身がプレトークをされて(笑)、軽く和ませていただきました。すごくラフな格好で出てこられたので、正直誰かわからなかったですが。麦わら帽子に短パン。で、なぜか「麻生太郎のモノマネ」をするやっさだるマンのパペット。シュールだわん。

その後、弟弟子の二つ目、春風亭一蔵さんがまず一席。で、・・・何やったんだったっけ?。えっと、旦那の浮気を疑った奥方が・・・。あ、そうそう「権助魚」だ!
ともかく、勢いのある噺家さんでした。

そして、真打登場!
師匠が「つる」と「千両蜜柑」を2席、続けて演じた後、休憩。

「つる」は、教育テレビでの「落語アニメ」でも有名な前座話。
「鶴」の名前の由来を長屋のご隠居に聞きに行って、ご隠居が適当に作った話を感心した与太郎が、人に話してしくじる話。
落語の一つのパターン。このパターンの落語にかの有名な「ちはやぶる」とか、「新聞記事(阿弥陀が池)」とか、真似てしくじる「時そば」もこの系統かな?

師匠は、この前座話をなぜ選んだろう?と思ったけど、これがのちの話の伏線になるわけで。

「千両蜜柑」は、真夏に大店の若旦那が臥せってしまい、その理由が「蜜柑が食べたい」とのこと。それを聞きだした番頭が旦那に伝えると「息子が死んだら、お前は主殺しで訴え、さらし首じゃ!」とおどされ、死ぬ思いで見つけた「蜜柑」がなんと千両!大旦那は「息子の命が千両なら安いもの」とポーンと千両箱を持たせ番頭に買いに行かせる。若旦那に千両で買ってきた蜜柑を渡すと、10房中3房を残し、若旦那はあとは両親と番頭に、と。「10房千両だから…3房三百両!!」と、妙な心持になった番頭が、三百両のつもりの蜜柑3房を持ったまま、そのまま逃げてしまう話。


最後は人情噺の「八五郎出世」。八五郎の妹の「おつる」がどこぞの殿様の側室となり、男子を授かったので一躍お世継ぎの母親に。そのため兄の八五郎がお屋敷に呼ばれる話。身分の差、文化の差が違いすぎて、そのギャップで大笑いしながら、最後は八五郎が酔っ払って、妹への思い、母への思いなど素直に吐露し、都都逸など歌ってみたりして、殿様に気に入られ、家来に召し上げられる出世話。
八五郎が、紋付き袴でお殿様の前に行くためか、師匠は紋付きは脱がずに演じられておられました。たぶん、この話のための「つる」だったんだろうなあ、と後から思いました。

受け継がれた芸っていうのは、いいなあ。
そして、一之輔師匠、何がいいって、テンポがいいなあ。

落語っていうのは、どの師匠が言ったか忘れたけど、お客様が勝手に想像する舞台芸術。舞台の真ん中に、座布団に座って、手ぬぐいと扇子しか持っていない噺家が、お話とその手ぬぐいと扇子だけで、どんな世界でも作ってしまう。涙あり、笑いあり、最近は聞かないけど「廓話」の男女の機微もまたよし。創作落語も楽しい。

心がすこしだけ、リフレッシュされるような、いい時間を過ごすことが出来ました。(^^)