セレクトセール2021 1歳セッション (同)DMM.com 購買馬レビュー

正式に募集される前の段階でのレビューです。出資する・しないの参考にしていただくための記事ですので、当然ながら馬や組織に対する低評価もしますので、あしからず。

64:ストラスペイの2020(メス、父ドレフォン)

落札金額は4100万円。評価:積極的には出資できない

今季2歳戦既に話題のドレフォン産駒の牝馬を落札。ドレフォン産駒については、私個人の期待は結構高く、母の父がシンボリクリスエスである本馬も牝馬クラシックを狙うような馬なのではないかと思っている。販売者がレイクヴィラファームなので、育成がノーザンになるのも良いのではないか。

血統的な魅力はもちろん大きいのだが、本馬の馬体面の評価はイマイチ。前脚は派手な所見なしも、後ろ脚は右が球節から下がわかりやすく外向いてる。立たせて見るからに全体が曲がって見えるわけではないが、さすがに気になる。横見では後肢は前進するように力がかけられているが、前脚は前にノメるように脚を運んでいて、前肢のパワー感に欠ける。正面写真でも左右の脚は重なって見えるが、右側の尻だけが見えていてバランスが悪く見える。というわけで、評価は「積極的に出資できない」

79:レッドオーヴァルの2020(メス、父ハービンジャー)

落札金額は2900万円。評価:NOT FOR ME

社台ファームから上場の桜花賞2着、スプリンターズS3着のレッドオーヴァルの産駒を落札。活躍したディープ牝馬にハービンジャーの血統で、2900万円というのはお買い得に思える。狙いはもちろん牝馬クラシック戦線ということになるだろう。

馬体面の評価については、なかなか厳しい。セレクトセールは購買者以外が測尺を見られるわけではないようだが、本当に4月4日生まれ?もっと遅生まれじゃない?ってくらい馬体に迫力がない。後脚の左右のバランスも悪く、左後脚は骨格の影響か歩く時にしっかりと馬体を支えきれていない。ハービンジャー産駒特有のサスの悪さではなく、パーツとパーツの構成がバラバラで競馬に向いていなそう。もちろん、社台ファームの育成を信頼しているわけでもないので、評価は完全に「NOT FOR ME」ということになる。

116:マジェスティッククオリティの2020(牡、父エピファネイア)

落札金額は8400万円、評価:NOT FOR ME

初年度産駒からデアリングタクト、2年目シーズンからはエフフォーリアを送り出し、時期覇権種牡馬へ一気に駆け上ろうとしているエピファネイアの産駒を落札。販売者は社台ファーム。

馬体面の評価としては、これも厳しい。脚元の所見としては、まず右前が外向しているように見える。大きく、ではなく止めてちゃんと見るとわかるよねって程度なので、リスクではあるが致命的ではなさそう。気になるのは後肢、わかりやすい後踏肢勢。写真だとわからないが、動画の立ち姿だと派手にそう見える。後踏肢勢については拙noteの下記記事に書いた通り、バイオメカニクス的にマイナス。後肢は他にも左右アンバランスっぽくも見えるので、納得の「NOT FOR ME」。社台育成のエピファネイアに8400万というのも、ちょっと手が出ない。

134:ロベルタの2020(メス、父ロードカナロア)

落札金額は4100万円、評価はNOT FOR ME

ノーザンファーム生産のロードカナロア牝馬。曾祖母バレークイーンは日本でおなじみの牝系。カタログ写真はわかりやすい曲飛、尻にくぼんでいるように見える箇所があるのもマイナス。動画の立ち姿では右後脚を前に出してバランスを取っていて、繋が伸びた状態で接地している。前脚の繋や蹄などの形は悪くない。後肢の可動域自体は広く、水平方向の脚の曲がりなどは大丈夫そう。だがNOT FOR ME、あれだけ後ろが曲飛だと厳しい。

184:ゴールウェイの2020(牡、父キンシャサノキセキ)

落札金額は2000万円、評価は現時点では出資に値する

レイクヴィラファーム生産のキンシャサノキセキ産駒。母系を見ると古くからのメジロ血統で、近年の活躍馬の乏しさがわりと残念。レイクヴィラにはこういう血統がなんだかんだで残っている。5代母の米国産アマゾンウォリアーからはメジロラモーヌやグローリーヴェイズへつながるが、近親と言うには遠い。そこからモガミ、リアルシャダイ、メジロライアン、フサイチコンコルドとつないでキンシャサノキセキというのが本馬となる。

血統面の評価は低いが、馬体はそこそこ素直な馬体と言える。前脚の繋が立っているのはキンシャサノキセキ産駒のお約束みたいなもの、これを気にしていたらキンシャサノキセキ産駒には出資できない。臀部のパワー感にもやや欠けるところがあるが、膝~脛あたりはしっかりしていそう。ただ残念なのが1点、後ろからの立ち姿で右後脚が外向して見える。その他のバランスは悪くないので、同じ右後脚外向が気になった64:ストラスペイとは違い「現時点では出資に値する」という評価をしておく。ストラスペイは牝馬で4100万、本馬は牡馬で2000万という値段の差も理由。

208:タニノハイクレアの2020(牡、父ゴールドシップ)

落札金額は3500万円、評価はNOT FOR ME

岡田スタッド上場のゴールドシップ産駒を落札。母の名前にもある通り、Highclere(ハイクレア)はディープインパクトの牝系で、本馬も姉にウインシャトレーヌ(5勝)や近親としてNHKマイルCの勝ち馬ウインクリューガーがいる。

馬体面では、まずカタログ写真で見た瞬間の前脚の繋の寝方は気になる。後肢もやや曲飛側に寄っている。動画で見ても立ち姿では後肢を正姿勢で立たせられていないし、よく可動はしているようだが後脚の繋も緩そう。評価はNOT FOR ME。岡田スタッドの育成も個人的に信頼していない。

235:クルソラの2020(メス、父サトノアラジン)

落札価格は2100万円、評価は現時点ではギリギリ出資に値する

アルゼンチン牝馬チャンピオンの母クルソラからは、ピオネロ・クルミナルなど活躍馬が出ている。また、クルミナルからククナと先日の新馬戦を快勝したアライバルが出ていて、活力のある牝系と言えるだろう。父サトノアラジンはまだ未知数だが、ストームキャット×ディープインパクトの配合の種牡馬はキズナが結果を出しつつあり、古馬マイルG1を勝っている競走成績からもアベレージは期待できそう。

馬体面の評価。カタログ写真横見は特に悪い所見はなし。若干前脚の繋が立ち気味なのは気になるかな程度。動画の立ち姿でもちょっとアンバランスに見える。骨格的には特に脚の曲がりなどはない。後脚でもそれなりに地面をとらえて蹴れているように見え、特に歩様も悪くないように見える。評価としては現時点ではギリギリ出資に値する、としておこう。測尺出ていないし、何とも言えないもののハンドラーの男性との身長・体高差も気になる。背もへこんでいるような。

237:パーフェクトマッチの2020(牡、父サトノクラウン)

落札金額は3100万円、評価はNOT FOR ME

そろそろ集中力も切れてクル頃だが、まだまだ気張っていく。母のパーフェクトマッチは2勝、クラシックのトライアルで掲示板などそこそこ活躍したサンデーサイレンス産駒で、そこに日本では完全に異系のサトノクラウンという配合。王道をいくノーザンらしい。

馬体面では、カタログ写真では特に悪い所見はなし。動画では横からの歩様はよく歩けてて悪くないと思うんだけれど、正面&後ろからの撮影でなかなか厳しい。正面立ちの姿で左前足の外向が気になる、前後の脚は重なって見えるのに馬体は右側に重心があるように見える、後ろから見ても同様の傾きがある。正面から見た歩きの脚運びもバラバラで、うーん。評価はNOT FOR ME

246:エラクレーアの2020(牡、父リアルインパクト)

落札金額は3500万円、評価は現時点では出資に値する

母は本邦で未勝利も、曾祖母がドイツの名牝Elle Danzig。母の父Raven's PassはBCクラシックとイギリスのマイルG1であるQE2Sの勝ち馬でタワーオブロンドンの父として日本でも知られるようになった。父のリアルインパクトは初年度産駒からラウダシオンを出すも、総合評価では満足行く結果が出ておらず、社台スタリオンから優駿スタリオンへ移動になってしまっている。

馬体面は特に悪い所見はなし。微妙に曲飛に寄っているのと、正面からの撮影で左前が少し浮いて見えるくらい。歩かせて問題があるように見えないし、気にするほどではなさそう。ハンドラーとの比較では尺もありそうで、その数字は期待したい。評価としては現時点では出資に値する

総評

出資を検討したいのは184:ゴールウェイの2020(牡、父キンシャサノキセキ)と246:エラクレーアの2020(牡、父リアルインパクト)で、ギリギリ235:クルソラの2020(メス、父サトノアラジン)もアリかのラインにいるが、たぶん厳しい側に倒れる。いずれにしろ本格的に考えるのは、募集スケジュールとバヌーシーからのカタログ、厩舎と測尺を見てから。でもまあ、少なくともここでNOT FOR MEって評価した馬には出資しないはず。

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