キャロットクラブのアワブラ採用ラインを探る

「準オープンまで出世すればアワブラ確定」という話をどこかで聞いたことはないだろうか。私も、友人がよくその話をしていて、よくツアーなどに参加する人なので職員から聞いた話なのかな?くらいの漠然とした理解で、たぶんそんな気もするし、でも不文律だったり数字として出てないのはむず痒いなぁと常々思っていて、調べたかったテーマであった。
というわけで、まずは本当に「準オープンまで出世すればアワブラ確定」なのかどうかを検証し、その勢いで引退時のクラスで分類するアワブラ出現傾向を分析した。

「アワブラ」とは? キャロットクラブでは出資牝馬の募集時に母馬優先という優先的に出資できる権利が発生する。募集制度が現在の母馬優先枠最大50%+最優先希望馬になった2010年~その翌年あたりにキャロットクラブの企業ロゴとして「Our Blood」が採用され、それにちなんで出資牝馬の産駒がキャロットで募集されることを会員が「アワブラ」と呼ぶようになった。

準オープン以上馬はアワブラ確定?

調査対象は2005年募集馬~定年まで走って2022年が初仔の募集となる2015年募集馬までの牝馬で、TARGET調べで収得賞金が1001万円を超える馬。(JRA未登録のカイカヨソウも含める)対象46頭のうち、2022年までに産駒がキャロットクラブで募集されていないのはレースで命を落としたルベーゼドランジェと、繁殖入り後に産駒を残さず亡くなったアカネイロの2頭のみ。つまり、生きて産駒を残す限りは「準オープンまで出世すればアワブラ確定」で間違いない。また、トールポピー・カフヴァール・トゥザレジェンドのように早逝せずに産駒を送り出し続ければ、続けて4頭・5頭はクラブの募集にかかるようになっている。
実際に2022年募集馬には2015年募集馬で準オープン以上まで出世した牝馬のエリティエール、リカビトス、リスグラシュー、ミリッサ、ディーパワンサ、クルークハイト、シャイントレイルそれぞれの産駒がキッチリ名を連ねており、また2014年募集馬で2021年産の産駒がいなかったブランシェクールも産駒の名前もある。やはり牝馬についてはまず「目指せ準オープン!突破しよう2勝クラス!」ということになる。

2勝クラス馬のアワブラ事情

準オープンまで上がれなかった2勝クラス馬はどれくらいアワブラに来ているのか?と思ってリストにしてみると、意外と高確率でアワブラになっていた。2005年から2015年募集までの11世代の牝馬で引退時の収得賞金が501~1000万の牝馬40頭のうち、ノーザンファーム生産馬で産駒が募集されていないのは7頭。中央0勝のペルネティアナは繁殖入り叶わず。レイナソフィアは5歳で骨折引退したのが響いたのか、繁殖入り後売却。プリュムは売却され韓国で繁殖入り。ピンクブーケは繁殖能力がなかった。ウォークロニクルはノーザンで繁殖入りも産駒はここまで3頭ともセレクトセールで売却。以上の5頭に共通するのは募集総額が1400~1600万円と安く、血統的な魅力を評価されてなかった馬と言える(ウォークロニクルは母クロノロジストなんだけれど、数字だけで言うと)。残り2頭はいずれも2015年募集馬。ルヴォワールの21はセレクトでも他のクラブでも募集がかかっておらず、何らかの馬主を決められない理由がありそう。ヴィルデローゼも21年産が産駒登録されていないため、この2頭は2023年以降の募集が十分ありえそう。というわけで、結論としては「2勝クラスで引退してもノーザンで繁殖入りすれば結構アワブラ募集かかる」。ただし、ヴェルデライトのように1年でノーザンから売られてしまうこともあるし、ケルシャンスやアソルータのように1頭募集されたらおしまいというパターンも多い。安定的なアワブラ供給を期待するのであれば、やはり収得賞金が1001万円は欲しいところ。

1勝クラス馬のアワブラ事情

キャロットクラブの「母1勝馬」といえば、いのいちに浮かぶのがヴィートマルシェ。キョウエイマーチ産駒唯一の牝馬として、キャロット募集で活躍馬を多数送り出した。アヴニールマルシェとか。その他、初仔からメイショウサムソン・ベーカバドで当たりを連発し、仔出しも良く、最近ではフェルミスフィアもオープン入りし募集頭数を9頭まで積み上げたフェルミオンなども1勝馬アワブラの代表格。
産駒のデキが良ければ1勝クラス牝馬からでもアワブラスターダム!?と期待したいところだが、実は2009年募集馬から1勝クラス牝馬の扱いが大きく変わっている。ディープインパクト産駒が募集されるようになった2008年以降募集1勝クラス引退牝馬11頭のうち、ディープインパクト産駒が7頭。募集22頭のうち、そのディープインパクト産駒7頭から16頭。あからさまに偏っている。しばらくはディープ牝馬に1勝馬枠(そんなものがあるかわからんが)を占められそうで、逆にディープ牝馬を持ってる人はナイス判断。ただし、1勝クラスで引退するディープ牝馬自体が2009~2012年募集に集中していて、以降はもっと打率が高く現役でも1勝クラス馬はティズグロリアスの1頭(しかもまだ3歳)なので、このカテゴリのディープ牝馬の占有率は下がるかもしれない。
ディープインパクト産駒登場以前は多彩な種牡馬で500万条件牝馬アワブラがそれなりに募集されていたが、ディープ産駒登場以後は1勝クラス牝馬アワブラはディープ牝馬に集中しつつある。キャロットのディープ牝馬の質が上がりディープ産駒もいなくなることから、その集中度は漸減していくものと思われるが、いずれにしても良血を選んでいくことが1つしか勝てなくてもアワブラ登場への道ということは変わりないだろう。上記条件でディープ産駒ではない牝馬も、父キングカメハメハ、母ブルーアヴェニュー、母フサイチパンドラ、母シーズアンである。この母シーズアンはアンジュシャルマンで、本稿の内容を踏まえるとわざわざ2022年の募集馬にいるニューイヤーズデイとの産駒がもしかして当たりなのでは……?

未勝利馬のアワブラ事情

最後に、未勝利馬のアワブラ事情である。このカテゴリは本当にわかりやすく、母系が優秀であるとアワブラとして出てくる可能性が高い、としか書きようがないくらいハッキリ傾向が見える。そもそも未勝利引退でノーザンに繁殖として残れる……という時点で良血なんだろうけれど。最近の未勝利からアワブラ出現した牝馬の母を並べてもヒストリックスター、ハルーワソング、シーザリオ、トールポピー、オールザウェイベイビー……である。わかりやすい。父ヨコ文字のトップサイアーでも以外と壁が高く、Giant's Causeway産駒のクーリドフレイズなんかもノーザンで繁殖を続けて仔も出しているのにキャロットで仔が募集にかからない。

母馬優先対象馬の母の現役時のクラス別割合推移

↓に表を掲載するが、年々3勝以上馬率と2勝以上馬率が上がってきているので、このあたりの傾向もつかんでおきたい。1勝以下の牝馬にはだいぶ狭き門にもなってきている。

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総評

「キャロットクラブのアワブラ採用ラインを探る」というテーマで牝馬の現役時の出世カテゴリ別にデータを見てみたが、2022年募集までの傾向を見ると
準オープン以上:生きて産駒が出る限り確定
2勝クラス:ノーザン産ならだいたい出てくるが、数は期待できない
1勝クラス:父ディープインパクトの割合が高く、今後も良血馬が優先されそう
未勝利:勢いのある名牝系ならワンチャンあるかも?レベル

以上、2022年の募集馬選びに、参考にしてくれてもいいのよ!(なお、他プレイヤーと考え方がかぶると競合して不利になるルール)

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