摩天楼【ショートストーリー】
本当に欲しいものはなんだろう。ひとつため息をついた。待つ人のない小さな部屋。窓を開けると夏の匂いがした。気を抜くと夜の静寂に負けそうになる。
SNSを開く。自分には縁のない、きらきらとした世界が拡がる。スイーツ、ドリンク、ファッション、アイドル。絶景スポット、流行りの言葉。どれも知らないことばかり。来年の今頃、それを覚えている人はどれだけいるだろうか。
元彼がインスタグラムに家族の写真をアップしていた。顔こそはっきり映っていないが、雰囲気から幸せな生活が垣間見える気がした。
都会の夜空に浮かび上がる光の束と高層ビル群。中でも一際目立つツリーやタワー。眠らない街のてっぺんまで行けば、空に手は届くだろうか。わたしの幸せは見つけられるだろうか。
SNSを閉じる。冷感素材のタオルケットに包まり、目を瞑る。届かないものに手を伸ばす。霞を食べるだけでは、人は生きられない。幸せは案外自分の直ぐ側にあるものなのかもしれない。
わたしは今夜も、青い鳥を探す旅に出る。
文披31題Day20「摩天楼」
わー
一番難しかった…
田舎者でして
高い建物見たことない!!
見たことあるのは札幌の38階にある
展望台くらい?!
札幌の夜景素敵ですよ