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人生で初めて映画館に行った日の話

ごきげんよう。雨宮はなです。
人生で初めて”映画館で観た映画”って、憶えていますか?
私は『劇場版ポケットモンスター~ルギア爆誕~』でした。
その日のことは今でも覚えています。

それは、それは小学4年生の夏休みの朝でした。

父親に「出かける準備をしなさい」と言われ、どこに行くのかも知らされず普段着に着替えると、いきなり怒鳴られたのです。
「俺がせっかく連れていくって言ってるのに、なんだ、その恰好は!」
「嫌がらせか?!もういい!出かけるのは中止だ!!」

母親がなだめすかしてどうにか「お出かけ」は実行されましたが、ぶすっとしたままの父親に「連行」されているというのが当時の心情を踏まえると正しい状態でした。

確かに、墨汁をとばしてしまったポロシャツの娘を連れ歩きたくないでしょうし、周囲には「もっとマシな恰好をさせればいいのに」と思われても仕方のないチョイスだったでしょう。
ただ、ピンクのポロシャツと赤のミニボトムは個人的にお気に入りだったのです。
「お出かけ」というからはりきったのに。
こんなことなら、白のTシャツとひまわり柄のスカートにしておけばよかった…。

このお出かけの「正解」は…

そんな落ち込んだ気持ちのままたどり着いたのが、映画館でした。
ですが、映画というものをきちんと認識したことがなく映画館という存在も知らなかった私には、「ここはどこなのか、このお出かけの目的は何なのか、これから何をするのか」が全くわからないままでした。

結果として、
”なにもわからず列に並び、なにもわからず座席に座り、なにもわからずに「ちょっと長めのポケモン」を見させられた。”
”それも、めちゃくちゃ機嫌の悪い父親に脅えながら”

という記憶でその出来事は幕を閉じます。

帰り道で「面白かったか」「楽しかったか」と聞かれ、「面白かったよ」「楽しかったよ」と答えるほかありませんでした。
だって、また機嫌を損ねてしまったら怒鳴られてしまう。ひょっとしたら、殴られるかもしれない。
きっと「面白い」おでかけだったんだ、「楽しい」おでかけだったんだ。
そうなるはずだったし、そうなることが父の予定だったんだ。
それなら、「そうなったよ」と答えれば私は安全なはずだ。
それが、「正解」だ。

そこまでハッキリ意識してはいなかったでしょうが、当時の気持ちを整理するとこんな感じでしょうか。

初めての映画館、は、「最悪」

悲しいことに映画館での出来事も物語についても、初めて入った映画館という場所への感想も、何も覚えていません。
映画館に入るまでにあったショックとストレスが強すぎたこと、さらに気持ちが落ち込んでいたこともあって、とにかく「最悪な日」という印象でした。

彼らも失敗だと認識したらしく、映画館に連れて行こうと計画することは二度とありませんでした。
その後、機会がなかった私は映画や映画館についてろくに知らないまま育ちます。

最悪な記憶から、最高の場所へ

そんな最悪な記憶に染まった場所でしたが、今では映画館が大好きです。
映画館は私にとって最高の場所のひとつ。
それは友人と楽しく過ごしたり、アルバイトしてみたり、素敵な作品に出会えたり…様々なことが重なった結果。
滑り出しは非常に悪かったけど、生きていくうちに変化してくれて本当に良かったなと思っています。(月並みですが)

今考えているのは、誰かの「初めて映画館に行く日」に同行できたら…ということ。
少しでも素敵な日になるお手伝いができたら嬉しいし、そんな素晴らしい日に同行させてもらえたら幸せだなと思うのです。

人生で初めて映画館に行った日の話。
いろんな方のお話が聞けたら嬉しいなぁと思い、自分から始めてみました。
よかったらご自身のエピソード、教えてください。

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