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【試写レポ】『カモンカモン』特別試写会【24_2022】

ごきげんよう。雨宮はなです。
今回は何度も何度も抽選に落ちていた『カモンカモン』の試写会に、念願かなって行ってきました!映画館で予告編を観たり、Twitterでみかけるたびに気になっていたので本当に嬉しかったです。

今回は作品についてとイベント、そして試写会についてを語ります。
※今回は公開前ということを踏まえ、ネタバレのないよう頑張って作品について紹介します。

綺麗事がない

予告編で楽しみにしていながらも「きっと、”子供に教えられた”展開で終るか、”そのまま引き取ることになって自分の本当の子どもになった”展開がまっているんだろう」と斜めに構えていました。これをネタバレと言われてしまうと苦しいですが、そんなことはありませんでした。

各キャラクターが自分の立場や役割を超えることなく、そのなかで最大限にできることを誠実に行うつくりになっていて、「殻を破る」「境界をつくらない/超える」ことが美徳とされている最近において珍しいことだと思いました。力技で無理やり解決させたように見せる展開があまり好きでないので、自己犠牲や変容の強要による展開が無かったのは個人的に嬉しかったです。

そして何より、この作品は綺麗事がありません。大人の都合に振り回される子供も、子供の理解不能な言動に振り回される大人も、同じように同じだけ描かれています。子供と大人(特に母親)を理解するために主人公が読書をするシーンで出てくる本はどれも興味深く、パンフレットで再確認できることを期待してしまいます。

独り身の伯父と子供のほっこりだけでなく、その子供の鋭く純粋な視点だけでなく、「母親に対する無意識の暴力」についても気づかせてくれる作品だと感じました。母親に対する無意識の暴力については、後日また投稿できればと考えています。…忘れないといいな。

フィクションとドキュメンタリーの融合

物語パートはフィクションですが、そこに組み込まれるインタビューはフィクションではありません。役者さんが役の状態で実際にインタビューを録っています。つまり、そこで話される子供たちのことばは脚本ナシ・生の声であり、彼らの考え方がそのまま反映されているシーンです。

フィクションの中にドキュメンタリーが組み込まれたような作りは非常に興味深かったです。過去にも同じ手法を用いた作品はあるでしょうが、インタビュアーは製作スタッフだったのではないでしょうか。
子供たちの考え方や選ぶ言葉に驚かされるのはもちろん、驚くべきはホアキン・フェニックスを始めとするジャーナリスト役の役者さんが実際のジャーナリストに見えることです。ひょっとしたら実際のジャーナリストよりも丁寧だったり親切だったりするかもしれません。それはフィクションだからできることでしょう。

パンフレットへの収録はもちろん、ディスク販売が決定した暁には子供たちへのインタビュー映像を全て(もちろん翻訳字幕つきで)収録してほしいものです。

りゅうちぇるさんのプロ仕事を生で拝見

「ひとりの男児の父」ということでりゅうちぇるさんがゲストに呼ばれていました。司会の方から投げかけられる質問にエピソードと考えを惜しみなく返答されていました。ぶつ切りでもなくコメントとしての量は多め、そしてとともて聞きやすい文章で、まるで台本を暗記してあるかのようでした。

トークは興味深く拝聴し、その後のマスコミ用撮影タイムで感動したのはモデルのりゅうちぇるさんを垣間見たときです。「指さしポーズをお願いします」というマスコミ陣のリクエストに応えて、ポスターボードを指さしたポーズをとるのですが、指さしポーズって「何パターンあるの?」と驚くパターン展開。彼はプロのモデルなのだと感じるワンシーンでした。

試写会について

受付で3パターンのフライヤー(1種類でも全種類でもOK)とプレスシートを受け取ってからの入場でした。プレスシートは特別な印刷処理ではなく、マルチコピー機で印刷したようなホチキス留めのものでむしろ「関係者っぽくてかっこいい!」とテンションが上がりました。

ほとんどの列は1列が12席で構成され、そのうちの中央4列ほどが試写会参加者、前2列はマスコミ、最後列は三脚を必要とするカメラ(マスコミ)で設営がされていました。

スマホやスマートウォッチの灯りが見えることもなく、バイブレーションの振動音が聞こえることもない、平和な試写会でした。冒頭10分ほどフライヤーで風を煽っている人がいてチラチラ目に入ったり、近くの誰かが直前でニンニクを食べてきたんだなとわかるニオイを発していたのは少し気になりましたが。

さいごに

子役の素晴らしさやホアキン・フェニックス というキャスティングに興奮したり、「子育ての映画」と印象付けが強い作品ですか、私は「声を聞くことによる相互理解を描いている」と感じられました。そのため、この記事用の画像の文言で「話の話」と表現しました。

この作品はフライヤーデザイン、ムビチケデザインが素晴らしいだけでなく、最近発表されたアートポスターも素晴らしいデザインで、一見ほっこりとおしゃれの共存映画に見えなくもありません。ですが一度蓋をあけてみればかなりの現実的濃密作品というのがまた素晴らしい。

モノクロが鮮やかに現実を映し出し、モノクロの壁に心を守られる『カモンカモン』は、4月22日(金)よりロードショー!

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