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【試写レポ】『大いなる不在』PINTSCOPE独占試写会【08_2024】

ごきげんよう。雨宮はなです。

PINTSCOPE様のキャンペーンにに当選し、試写会で鑑賞させていただきました。
ありがとうございます!


作品について

今作は一言でいえば「思わず見入ってしまうエンタメ作品」です。
銃撃戦もカーチェイスも大爆発もないけど、ずっと楽しませてくれるから間違いなくエンタメ作品!
色々刺さって勝手に面白がれる、ひょっとしたら救いかもしれない。
そんな大いなる邦画でした。

映画『大いなる不在』公式サイト

映画らしさのあるショット

舞台演劇を見ているようで、しっかりと映画作品なのが面白かったです。
あまり映画に詳しくない私でも「監督は小津安二郎作品を意識しているのかな」とか「フランソワ・オゾンの作品に似たようなショットがあったな」と気付ける、映画作品を映画たらしめる工夫が画面にありました。
役者のアップばかりのテレビドラマ延長戦みたいな邦画ではなく、あらゆるモノ・コトに意味がちゃんとある映画で見ごたえがありました。

縁遠くても、愛がなくてもいいじゃないか

なんとなく、私はこの作品に救われた気持ちになりました。
主人公と父が縁遠く、それを積極的に縮めようという意思が作品の中になかったからです。
人間というものは、そして日本人というものは、なぜか無条件に親との縁を繋いでいたがります。
それも、親や無関係の親側の人間が。
そして、愛という単語で面倒や負担をうやむやにして子に存在を押し付ける……それが私の認識です。
この作品では、主人公がなんだかんだ父親のもとに通い、面倒をみているように思えます。
けれど、観ているうちに気づくはずです。
彼が愛情や責任感から通っているわけではないことに。

「あなたは誰だ」

認知症によって別人になってしまうとはよく言われることです。
主人公もまさしくそれを味わうわけですが、よそからの情報によって形成される父も別人のよう。
映画を観ているうちにこの作品の「あなたは誰だ」というキャッチコピーがしみてきます。

試写会について

監督がソロでトークするという貴重な機会に参加できました。
工夫した箇所やその方法、質疑応答など盛りだくさんで濃ゆ~い時間でした。

お話を聞いていて納得できたのが「主人公がなぜ縁遠かった父親に会いに行き続けたのか」について。
“役者として興味を持って観察していた”と聞いて合点がいきました。
そういうスタンスもアリなんだな、むしろ芸の肥やしにしてしまうのは咎められることではないんだなとうれしくなりました。

さいごに

断然、ひとりで観ることをお勧めします。
作品を楽しむのはもちろん、じっくり画面越しに世の中や自分の中の価値観と向き合う時間が持てます。

2024年後期ベストノミネート多数が予想される『大いなる不在』は7月12日(金)より上映開始!

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