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【試写レポ】『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』オンライン試写【18_2022】

ごきげんよう。雨宮はなです。
今回は映画レビューサイト「coco」さんのキャンペーンに当選し、『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』をオンラインにて試写させていただきました。ありがとうございます!おうちシネマでゆったり&がっつり鑑賞できました。

今回は作品について語ってまいります。
※ここから先はネタバレを含みますので、ご了承いただける方のみ読み進めてください。

「衝撃的」事実

サブタイトルと時代のせいで「女性が!」「女性は!」という印象を受けてしまうのがもったいない作品です。これは同じことを男性がしていたとしても同じだけ感謝と敬意を払いたくなるものです。ただやはり、”女性”であるがゆえの苦労はあったようで作品中もいくらか触れられます。

何が「衝撃的」かと言えば、私たちが傑作と考える作品や有名作品のキャスティングの多くを彼女が担当しているということです。そして、ハリウッドのスタアシステムじゃない新しい方法でもって探し、採用し、それに徹したことです。

「リストに並んだスタアから選ぶだけの事務作業なんておかしい。より良い作品をつくるためのクリエイティブな仕事のひとつであるはず。そのためには…」と彼女が考え、意識をもって仕事をしてくれなければ。それが通る環境がなければ。そして、彼女がその方法と彼女に来た仕事を後世に伝えてくれなければ、現代の私たちが心を動かされたり「これはぴったりだ」と思えるキャスティングが行われるのはもっと後になっていたかもしれないのです。乱暴な表現になりますが、彼女がいなければ感動できることはなかったかもしれない。

プロの仕事をする=本質に向き合う

作品中、「役者を愛し、興味を持つこと」とマリオン・ドハティは語りました。スタアと俳優は違う。歯や目をなおせるか…見た目は重要ではなく、存在感と才能を求めたのが彼女でした。

私が驚いたのは、オーディションで失敗してもその俳優に可能性があるかをみていたことです。俳優を人間として扱い、その人の持つスキルをしっかりと見定めるだけでなくまだ見えていない部分を信じる勇気がある人だったからこそ、できたことでしょう。

彼女はキャスティングの仕事に嘆き、映画作品をただの商売コンテンツとしか考えないトップに嘆き、その仕事を認められずにいる人間に嘆きます。嘆きながらも常に自分にできるベストを尽くし、胸を張って自分の考えを曲げずにいる。自分の仕事ぶりを不当に扱われても腐ることなく(強く主張することはあっても)、仕事をし続けることがどれだけ大変なことか。

功績にばかり目が向きますが、ひとりの社会人として尊敬できる部分の多さに驚かされます。

さいごに

彼女についてもう少し詳しく知りたいと思い、検索をかけましたが驚くほど情報が少なかったです。海外のページであれば別なのかもしれませんが、日本語のWikipediaすらありませんでした。そんな彼女について仕事と人柄をたっぷりと教えてくれる素晴らしい作品です。

今のハリウッド映画が面白い理由の大半を担ったといえる『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』はシアター・イメージフォーラムにて絶賛上映中!

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