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【午前十時の映画祭11】映画『未来世紀ブラジル』を観てきた【27分の16】

ごきげんよう。雨宮はなです。
この作品は知り合いの男性が「女性はどうみるのか感想を聞きたい」と教えてくれた作品で知っていました。すでにAmazonプライムで鑑賞済みで私には良さがわかりませんでしたが、以前観てから時間が経っていたので別の感じ方や新しい発見があるかもしれないと思い、気持ち新たに鑑賞したのでした。
※ここから先はネタバレを含みますので、ご了承いただける方のみ読み進めてください。

暗く物質的なディストピア

『ブレードランナー』『トータル・リコール』『フィフス・エレメント』そして『未来世紀ブラジル』。なんとなく似通った印象を受けました。その中でも『ブレードランナー』と『未来世紀ブラジル』は同じ世界線かと思うほど。
80年代のディストピア映画のお手本のような感じらしいですね。暗くて、鉄と錆で地面と壁ができているような物質的で狭苦しい世界観。主人公たちは最下層の人に触れたり、生活をみることになる。今回も例にもれず。

今作で特徴的なのはなんといっても「ダクト」です。誰が観てもダクトです。何がすごいって、そんなものが「最先端」とされていることです。そしてカラフルなダクトが自己実現の手段であるかのようなCMが打たれているわけです。スタイリッシュでも機能的でもないし、家の中を圧迫してしまっていて貧乏たらしく見える。ダクトが見えていて良いのは天井が高くて見えていてもおしゃれですっていうデザインで設計されたカフェやバーだけだ。壁の中に引っ込めるのは中級より下の家ではかなわず、それがかなっているのはエリートたちの職場と上流階級(例:主人公の母)の家のみ。

空間の余裕なくモノで埋まっていて、どんどんそのモノで頭がいっぱいになるようにつくられているのが上級国民以外の国民の生活なのだとよくわかる世界観でした。貧乏人ほどモノが多い!

童貞的男の独りよがり

この作品って「とんでもないディストピア社会でわざわざ上級国民でいられる伝手をつぶして生きるボンクラ主人公が、ひとめぼれした女性に対して職務を放棄・職権乱用してストーカー行為を行い、人と世間に迷惑をかけまくったうえに捕獲され、精神的拷問を受けているうちに完全にイッてしまった(けど、本人は幸せになれたと思ってる)」って話じゃないですか。
※未見の方、好きな方はごめんなさい。

その主人公の思考・言動、特にヒロインへの付きまとい方や夢でのやりとりがものすごーく童貞くさい!!童貞こじらせたオッサンそのものって感じ。私が女性なせいかもしれませんが、主人公を一図とも純粋とも思えず、気持ち悪くて怖いとしか感じられませんでした。

外見が良いわけでもなく(素材も身に着けているものも)、仕事ができるわけでもなく、向上心もない。子供にすら舐められていて、度胸も勇気も踏ん切りもない。夢の中の主人公はそれが全部解決された前提の偶像なのはわかっているけど、物語を追うごとに区別がつかなくなっているのがものすごくアイタタタな感じです。

東洋風演出はなんのため?

日本風…というより東洋風?敵キャラが鎧兜だったり、お面が中国風のしもぶくれ顔だったり、なんとなく東洋風の演出が加わることがあります。これらは主人公の夢の中と、友人である拷問担当が身に着けるマスクとして登場します。つまり、東洋の要素を危険なものとして取り扱っている?

統制された仕組みを守ったり邪魔ものを排除するものとして鎧武者がいて、拷問担当医のマスクはまるで「微笑みですべてを隠してごまかしている」とでも言いたげです。監督には東洋(もしくは日本)はそんな風に見えていたのかなぁ。

最後に

過去に一度観たときにあまりにも理解不能だったので、Wikipediaで基本情報をおさらいしてから劇場へ向かおうとしたら…え、ロバート・デ・ニーロが出てたの?全く気づきませんでした。あんなに特徴的な顔と、動作(手を広げて肩をすくめる、例のあれ)なのに。

スクリーンで観ていて「いた!」となりましたが、気づきにくいというのは納得してもらえると思います。まだ観ていない方はぜひ探してみてください。それとも私が鈍いだけなのか…。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。

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