2024梅雨Seasonal Story

ピピピ!ピピピ!
今日もよく響く目覚ましの音が聞こえる…朝か…重い体を起こして今日の予定を確認する。

いろは「今日は…あそこまでか…雨降ってるな~…」

梅雨ということもあり、最近は比較的ゆっくりしているが、しかし気を抜いている暇はない。はやくうれはを起さなくては…

いろは「うれは!起きて!もう朝だよ!」

うれは「ん~…あと3時間だけ…」

いろは「そういうの大体10分とかだよ!早くしないと今日の目標地点につかなくなるよ!」

うれは「あ~、それはまずいな。早くいこうか。」

いろは「急に素直になるじゃん…じゃあ準備して宿出るよ!」

うれは「はいは~い!じゃあ荷物まとめてるからいろはもなんかしといて~!」

いろは「なんかってなによ…まあお願い!チェックアウトしてくるから!」

そんな会話をしながら、私は双子の兄であるうれはと今日の準備をする。私たちはとある人物を探して世界を旅している。あ、自己紹介をしておこうか。私の名前は時雨深いろは。雨魔法を使えるタイプの旅人!ちなみに兄である時雨深うれはも同じようなもん。ほぼ違いはない。しいて言うなら私は黄色くてうれはは水色ってところかな。じゃないじゃない。用事が終わったからはやく外に出ないと。

いろは「うれは!準備できた?」

うれは「もっちろん!ささ、いこいこ!」

いろは「そっか、じゃあ行こうか!」

ということで今日も今日とて旅に出る。今日は今いる街を出て、山に入る予定だ。その山にキャンプできる場所がいるからそこを目指す予定だ。旅は大変なことも数えきれないが、もちろん楽しみもたくさんある。いろんな価値観やいろんな文化、いろんな人と触れ合うことができるし、なにより楽しい!この経験はきっと目的の人物にあってからも生かすことができるだろう。だからこそ今日も私たちは旅に出る。…にしても…

いろは「今日なんにも食べてないよね。うれは。」

うれは「あ~、そういえば食べてないね。もう午後か。どこかでお昼ご飯でも食べようか!」

いろは「そうだね!」

と、ここできっと疑問に思っただろう。”あれ?お前ら旅してるのに金あんの?”と。ご心配なく。もともとあった父親の遺産と、学生時代に働きまくってひたすら貯金した時のお金がある。そのほかにも様々な方面からの金銭があるため、この二名が生きて行くレベルには全く問題ないのである。だから気にすんな!犯罪はしてない!

うれは「あ、いろは!リンゴある!食べたい!」

いろは「ほんとだ。じゃあ昼ご飯はリンゴでいいか。うれは買ってきて~。」

うれは「おっけー!まってて!」

いろは「ありがと~。」

にしても、やはりうれはは緩いな。私も人のことをいうことはできないが、この二名でよくここまで生き残っているものだ。

うれは「店員さん!リンゴ二つください!」

店員「あいよ!リンゴね!300円だよ!」

うれは「はーい!ありがとー!」

店員「種に気を付けて食べるんだよ!」

うれは「うん!じゃあねー!」

…うん、ゆるい。なんで店員さんにあんな近い距離感で話せるのだろう。不思議だ。

うれは「はい!いろは!いろはの分!」

いろは「ありがと!いただきます~。」

うれは「いただきまーす!」

うれは「ん~!おいしい!やっぱりリンゴっておいしいな~!ね!いろは!」

いろは「うん。おいしいね。よかったね~うれは。」

うれは「ん~!おいしい!」

いろは「聞こえてないな。これ。」

そう、うれははりんごが大好物なのである。まあ、うれはが楽しそうだからなによりか。

そうして街の端っこでリンゴを食べ終わり。私たちは山の方へと出発することにした。

うれは「行こうか!いろは!」

いろは「いこ!うれは!にしても…雨の中山に入るのか…どうするの?うれは?」

うれは「大丈夫!なんとかなる!」

いろは「うそでしょ!?風邪ひくよ!?」

うれは「そうか…かっぱあるけど…着る?」

いろは「うん!絶対必要だね!なに言ってるの!?」

うれは「いろはは意外と雨に濡れるの好きかなって思って…」

いろは「うれはは私をなんだと思っているんだ…」

うれは「そうか…はい、かっぱ!」

いろは「でもかっぱは普通に助かる!ありがと!」

てな感じでうれはが出してくれたかっぱをきて私たちは山へと入る。
雨は私たちに馴染み深い存在であるため、いつもより少しばかりテンションの高いうれはの制御ができるかが心配ではあるが、大丈夫だろう。

うれは「わー!みてみていろは!蛙!蛙がいっぱいいる。」

いろは「え、ほんと?…ほんとだ!蛙いっぱい!めっちゃかわいい!」

うれは「わー!やっぱり梅雨の自然はいいな~!ミミズもいっぱいいる!かわいい~!」

いろは「ほんとだ!こっちにはカタツムリいるよ!ナメクジもあっちにいる!かわいい~!」

うれは「うわ!あっちにアジサイ咲いてるよ!みてみて!」

いろは「え、ほんとだ!きれー!たのしー!」

うれは「わー!すごい雨のしずくが滴るのもめっちゃきれい!たのしー!」

いろは「うん!ほんとに梅雨たのしい!…て、ちょっと待って、こんなんじゃ絶対目標地点にたどり着かないよ!」

うれは「はっ確かに!はやく行かないと!」

そんな感じに梅雨の光景に心を弾ませながらも、今日も目的地があるため再び動き出す。

うれは「そういえばいろは、最近このあたりで旅人を狙った強盗が出てるらしいけど大丈夫かな…?」

いろは「まあ、大丈夫でしょ!なんかあっても基本的には!」

うれは「そうだね!ぼくたちなら大丈夫か!」

強盗か…まためんどくさい話が出てきたものだ。…正当防衛ってどこから成り立つんだろう…

うれは「ふんふんふふ~ん楽しいね~。」

いろは「そうだね~。そういえばもう推定では半分くらいの場所にはたどり着いてるのかな?」

うれは「うん、そのはず。ちょっと前に場所を特定できて、そこから今で半分くらいかな。」

いろは「なるほどね~。今世界は大変だからね~。にしても乗り物とかに乗るより歩いて行った方が安全っていうのもすごい話だけどね。」

うれは「まあ、しょうがないよ。あの人たちもがんばってるし。はやくたどり着かないと!ぼくたちもがんばろ!」

そんな意気込みを話しながら、旅の終わりが近づいていることを感じる。ちょっと前といっても、旅を始めたのが5年前、15歳の時。そして最終目的地を特定できたのが2年前。かなりの時間が経っていることには変わりない。あとどれくらいでたどり着くのかがはわからないが、確かに終わりは近づいていることを感じる。どんな未来なのかはわからないが、きっと楽しい日々が待っているだろう。お父さんがそういっていたから。

いろは「そうだね…にしても、本当に強盗なんているなんてね。」

うれは「そうだね。三人かな。出てきていいよ。」

強盗A「ちっ、見つかってたか。そう分かったなら仕方ねえ。有り金全部出しな。その方が身のためだぞ。」

うれは「うわっ、こんなテンプレみたいなこと言う人いるんだ。ほかに言えることないのかな。」

いろは「しょうがないよ。こういう人たちはどうせ語彙力ミジンコなんだから。」

うれは「ミジンコに失礼じゃない?」

いろは「だって、すごいありきたりな感じでご丁寧に前後と木の上から囲んでくれてるよ?発想力ないのかな?」

うれは「ないでしょ。だってこんなにわかりやすいことしかできないなんて。」

いろは「そうだね。というか、私たちに手を出す時点でバカだよね。」

うれは「それはまあ、ぼくたちが弱そうなのはわかるし。というか実際強い方な訳では無いからしょうがないんじゃない?」

いろは「それもそうか。」

強盗B「さっきからなにぺちゃくちゃしゃべってんだお前ら!聞こえてんのか!」

強盗C「兄貴!やっちゃっていいっすか!」

強盗A「こいつらまとまりないな!まあ出さねえならやっちまえ!」

うれは「やるってなにやるつもりなの?」

強盗A「そりゃあ、ここにある包丁でお前をぐさっと…」

うれは「うわっ、やり方もふつー、つまんな。」

強盗C「兄貴!こいつ腹立ちます!そろそろいいですか!」

強盗B「お前一回黙ってろ!うるせえ!」

いろは「というか、包丁でさしても意味ないと思うよ?というかそうなったら多分基本的には正当防衛成立するだろうから、やめた方がいいよ。」

強盗A「なんだこいつら!もういい!お前ら!やっちまえ!」

いろは「うわっ、急に話が進んだ!」

強盗B「それじゃあ俺が!お命ちょうだーい!」

いろは「って、本当にやめた方が!私の魔法は極端だから!って、あっ!」

グサッ

いろは「刺さっちゃった。」

強盗C「は!?なんでピンピンしてんだよ!?」

いろは「まあ、雨降ってると自己治癒能力が発動するから。というか…刺されたならしょうがないか…」

うれは「あ、い、いろは…?怖いよ…?」

いろは「人のこと刺すような人が世界にいても意味ないよね…?」

強盗A「え…?こいつどうしたんだ…?」

強盗B「兄貴、なんかやばそうです!大体こういう流れになると敵役が主人公側に殺されます!」

強盗C「先輩!メタいです!でも、確かに!はやく逃げましょう!」

うれは「あー、これはぼくは逃げておくか…」

いろは「メタいし普通に痛いし、やっぱりこの人たちに生きてるかちないよね?って言ってもさすがに命を奪うわけには行かないからこの魔法で粛清してあげようか。いいよね?いいよね?」

強盗A「こいつヤバイ…マジでやばい…」

いろは「いいよね?久しぶりにやっちゃうよ?」

時雨深式雨魔法究極奥義”ブラッドシャワー”

強盗B「…なんだ、なんにも起こんないじゃn…」

バタッ

強盗C「え、先輩?」

バタッ

強盗A「はっ?嘘だろ?」

バタッ

うれは「うわー、これ本当にちゃんと生き返るの?」

いろは「梅雨が明けた頃に生き返ると思うよ。それまでは水責め受けてもらうけど。」

うれは「うわっかわいそうだね。」

いろは「まあ、生き返るからいいでしょ。こっちは普通に痛かったからね?」

うれは「そうか~。まあ変な人に巻き込まれたけどはやく行こうか。時間とられちゃった!」

いろは「そうだね!行こうか!」

という感じにイレギュラーも起こったがなんだかんだ無事切り抜けることができたからまた目的地に向けて出発した。これからもまたこんなことに巻き込まれるだろうがなんとかなるだろう。
あの人に出会うまで。星と桜に愛された、光の帝王さんに出会うまで。

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