ⅩⅧ:さーゆっ

やる気が出ないならコミュニティとかに参加すればよいものを怖くて参加できない愚か者です。…

ⅩⅧ:さーゆっ

やる気が出ないならコミュニティとかに参加すればよいものを怖くて参加できない愚か者です。 小説書いたりタロットしたり心理学や魔術を勉強してます。

マガジン

  • 目指せ一日1000文字小説

    継続する練習としてコツコツと色んな設定の小説を積みあげていくものです。 一日最低でも1000字は書こうという試みです。 書いていて、いいなと思ったものは長編化するかもしれないです。

最近の記事

  • 固定された記事

140字小説まとめ

ここではTwitterにあげている140字小説をまとめています。もし、お暇があるようでしたら少しだけでもご一読くださると嬉しいです。下に行くほど昔のものなっていきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「透明」 世界が透明だったらよかったのにと何度も思う。この世界は隠し事ばかりで、君が何を思っているのかすらわからない。SNSの返信を待ってどれだけ過ぎただろうか。零時を過ぎてからため息を一つ。君は今、何をしているのだろうかと。だから望むのだ。透明な世

    • 目指せ一日1000文字小説18「世界にただ一人の魔術師」

       世界の理を紐解き、術式という術を用いて概念を現実に再現する業。それが理術である。  そして、形、音、属性、感覚……凡そ数えることができない概念を術韻に落とし込み、術式として組み上げ、自在に操ろうとする者、それが理術師である。  古より根付ていた理術が学問として、技術として文明に明確に寄与し始めてから数百年。医療、戦争という世界規模から土堀りや洗い物といった日常生活に至るまで、今や理術の存在は人々の生活に多大な影響を与えている。  理術の発展と共に錬金術、占術、秘術と様々な技

      • 目指せ一日1000文字小説17「僕は特別を求めていた」

         冬はいつだって寒い。温かさを感じたことなんて一度としてなかった。  何も話してくれない電子媒体に目を通せば、まるで別世界にいるかのように幸せな姿が、こんなにも。  温かさを感じたことなんて一度としてなかった。月がひんやりと肌を刺す夜も、心が躍るような雪が照りかえる早朝も。何一つとして変わらず、静寂だけがボクのすべてだった。  冷たい雨戸を引きながら思うのだ。今日は何の日だろうと。  こんがりと焼けた食パンをかじりながら思うのだ。ああ、今日はクリスマスか、と。  電車に揺られ

        • 目指せ一日1000文字小説16「在りし日の紅月2」

           木陰が色を濃くする季節になった。  館の周りを覆う木々は緑色が栄え、今が謳歌の時だとさんさんと陽の光を浴びている。  いつの頃からか、館にも緑が付き始め、今では半分近くが自然に染まってしまっている。  それを取り去ろうとしなかったのは惰性ではなく、彼女の嗜好だからだ。大きな鍔のついた純白の帽子を被り、館を見上げている彼女の目にはこの館はどんな風に見えているのだろうか。  レヴィナ、と名前を呼べば、彼女は深紅に揺らぐ瞳を向けてくる。 「やっぱり、もう少しこの館に残るかい?

        • 固定された記事

        140字小説まとめ

        マガジン

        • 目指せ一日1000文字小説
          18本

        記事

          目指せ一日1000文字小説15「8度目の裏切りを経て2」

           森奧で聞こえたのはドボンという、何かが水の中に入った音。  透明な湖に浮いているのは一人の男。行水のつもりはないのか、血と埃が染み付いた服を着用したまま、意味を見いだせないまま、浮いていた。  服の汚れは水に溶け込む。さながらそれは、純粋な心が穢れに毒されていくような。  ふと、自分は湖に拒まれているように感じた彼は、浮き始めてから少しして湖を出た。  しとしとと垂れる滴を気にすることもなく、木漏れ日に乾きを任せたまま、彼は歩き始めた。  行き先は、決まっていない。ただ、戻

          目指せ一日1000文字小説15「8度目の裏切りを経て2」

          目指せ一日1000文字小説14「刻印師の決定」

           カリ、カリ、という何かを削る音が響く。  そこに集う者たちは懸命に手元の武具に青白く光る針を当てている。  時々、ガリッ、という音に振り向けば、青白い顔をした者がいるのはいつものことだ。  そんな中でアイオンは自分に割り当てられた一振りの剣に最後の一針を当てたところだった。 「ふむ……」  魔力針を机に置き、剣を少し離して眺めてみる。  魔力を流すと、刻まれた魔力の印が淡く光り、幻想的に際立たせる。剣自体はどこにでもいる職人が拵えた数うちの代物だが、こと、刻印が刻まれた

          目指せ一日1000文字小説14「刻印師の決定」

          目指せ一日1000文字小説13「アルステルマ王立学園は呼ぶ、来れ才あるものよ、と」

           その日も特段変哲のない穏やかな日であった。  木々の合間から漏れ出る僅かな光が剥き出しの地に溢れ、辺りからは心地の良い、温い風が吹いていた。  変哲のない。しかしそれも今日までだろう。こうしていることも、このように生き続けるのも。  膝を折り、胸の前で手を合わせて祈っていた彼は長い祈祷の中でそう思った。  彼の前には墓石があった。無論、周りにだって整然と並べられ、木漏れ日を浴びている墓石がある。 「……明日にはもう出る。次にここに来るのは未定だ」  目前の墓石に囁きかけ

          目指せ一日1000文字小説13「アルステルマ王立学園は呼ぶ、来れ才あるものよ、と」

          目指せ一日1000文字小説12「全知の君と未知の星空」

          「もしこの世界のことをすべて知っている人がいたとしたらどう思う?」  それは何でもないいつもの日のことであった。  望遠鏡のレンズを拭いていた蓮司がふとそんなことを聞いてきたのだ。  優奈が彼の方へと目を向けると、彼は窓際に座り、夕暮れの空を眺めていた。 「すべて知っている人、ですか?」 「ああ。いわゆる全知ってやつだ。あやふやな歴史の真実も、はるか遠くで起きている些細な出来事も、現在先生が作っているテストの内容も、すぐそばを歩く生徒の心の中も分かる、そんな人だ」 「そん

          目指せ一日1000文字小説12「全知の君と未知の星空」

          目指せ一日1000文字小説11「断罪者」

           神にとってそれは誤算だった。見誤っていたのだ、人間の進歩を。流れゆく自然の中で小さな変化だったそれは今ではあまりに大きく広がってしまって、神でさえ修正をあきらめるほどであった。人間が文明を持ち、概念を作り、宗教を打ち立て、科学を確立した。生き物を統べ、自然を淘汰し、神の存在を否定する。  宇宙という神の庭でゆっくりと育てていたその惑星は今や神のものではなく人間のものであった。  それゆえ、神は譲ることにしたのだ、惑星を。  神は万能ではあったが、全知ではなかった。それ故に今

          目指せ一日1000文字小説11「断罪者」

          目指せ一日1000文字小説10「蟻塚の一日」

           コーン、と何かが弾ける音がする。  そちらを見やれば、ちょうど二つの世界が衝突して互いに正反対に飛んで行った。  宇宙色の空間に浮かぶ、丸い世界。無数にも昇るそれらは摩擦を忘れたビリヤードの球のように縦横無尽に漂う。 「あら、こんなところで何をしているのかしら?」  何気なしに無差別な景色を映す世界を眺めていれば、やがて背後から幼い少女の声がかかる。  振り返れば、そこにいるのは手品師が被るようなつばの広い白帽を首元まですっぽりと被り、これまた純白のワンピースに身を包ん

          目指せ一日1000文字小説10「蟻塚の一日」

          年末ジャンボが当たるかどうか、占いしてみる

          Ⅰ.どうでもよい前置き 時に占いではギャンブルなどは占ってはいけない・占えないとすることが多いですよね。かくいう私も誰かを占う際は生死に関するもの、人の不幸を願うもの、犯罪に関するもの、ギャンブルに関するものの鑑定は控えさせていただいてます。  それらの鑑定を控える理由の大部分は「責任を負うことができない」というのが大きいと思います。人によっては占いに占いができること以上の期待と依存をもつ人もいます。「宝くじにあたるって結果が出たから10万円もつぎ込んだのにあたらなかったんだ

          年末ジャンボが当たるかどうか、占いしてみる

          目指せ一日1000文字小説9「空想の大空を焦がれて」

           王国暦五六三年 緑精の月四日 王城アルマ地下工廠  カチャカチャと絶え間ない音が響く。  目の前に佇むのは姿を変え、形を変え、常に俺を支えてきた愛機。  コイツとの関係は余りにも長い。無論、親よりも、だ。  まぁ、この御時世だ。親よりも他者との関係の方が長い奴らはそう珍しくない。俺は偶然コイツになっただけだ。  ……いや、偶然とは烏滸がましいか。  作業の途中、背後で何者かがこの工廠の扉を開ける音が聞こえてきた。  だが、その人物が誰なのかと確認することは無い。  そ

          目指せ一日1000文字小説9「空想の大空を焦がれて」

          目指せ一日1000文字小説8「濃霧と殺し屋」

           時は一体誰が司り、一寸の狂いなく時を進ませているのか。  無論それは神であり、それは時の神たるルクセニエルアである。  だからこそ、彼女は神に称賛を送らずにはいられないのだ。 「もし、私であれば、私がルクセニエルアであれば、私は私の都合で時を戻していたのかも知れませんから」  だとしても結末は変わらないのだろう。過去でどれだけ走り回ろうとも、断崖絶壁の先にある一筋の道を見つけることはできないのだろう。  どれだけ足掻こうと結末はここに落ち着く。落ち着いてしまう。 「時

          目指せ一日1000文字小説8「濃霧と殺し屋」

          目指せ一日1000文字小説7「乾杯!」

           太陽は地平線に沈み、星の瞬きと月のおぼろげな光だけが地を照らす頃。  大陸の南東、海沿いに居を構える港町アルシメデアは夜を、月の光を拒むかのように篝火をあちらこちらに焚き、活気づいていた。  大陸の玄関口と評されるそこは夜である今でなお、新たな船を迎え入れていた。  そんな港町に在する酒場では大陸の者、海向こうの者に限らず、陽気に杯を掲げ、揺らすたびに溢れる液体を浴びるようにして飲み干していた。 「はぁ? 奇っ怪な光? 森の中から?」  賑やかな酒場の片隅で毛色の違う声

          目指せ一日1000文字小説7「乾杯!」

          目指せ一日1000文字小説6「廻る命は何処なりや」

           黄一色の銀杏並木。その先にひっそりと祀られていた神社。ここに来たのはまったくの偶然だったのだ。家に帰る途中、電車の窓から見えた銀杏並木に目を奪われて、折角だからと寄ってみただけなのだ。  それがどうして、狐の耳と尾を持つ女性に抱き着かれることになるのか。 「宗吉様……やっと、やっとお会い出来ました。やっと……!」  誓って私は宗吉などという名前ではない。しかし、彼女は疑いもなく私を宗吉と呼んでいる。  人違いであると、そう言おうとして、しかし私は続く言葉に息を詰まらせた

          目指せ一日1000文字小説6「廻る命は何処なりや」

          目指せ一日1000文字小説5「在りし日の紅月」

           揺らぐ視界の奥で少女は紅い瞳に水を含ませる。  この体を締め付ける彼女の怪力は常人の体ではどうしようもない。  逃げて、逃げてと彼女は訴えるがこの怪力に対抗しうるほどの術はない。  無理だよ、と儚げに笑えば彼女は遂に涙を零す。  ぎゅうぎゅうと締め付ける力に少年の体はばきりとよろしくない音を立てる。  瞬間、視界が眩み、激痛に血を吐く。  少女に血がかかるがそれを気にする余裕はなかった。  無論、少女にも。 「お願い。やだ。やだ!」  なんて我儘なのだろうか。この体を縛

          目指せ一日1000文字小説5「在りし日の紅月」