セミフレッドと雪とちゃお

私が8歳くらいのころ、母の誕生日に駅ビルのイタリアンでお昼ご飯を食べた。
たしか土曜授業の日で、学校が終わってから直接行った気がする。
東京では珍しく雪が降っていて、少し暗い店内から見るそれは本当にきれいで、なんだかすごく誕生日って感じだ!と思い、2月に生まれた母のことが羨ましくなった。

このときに食べたのがセミフレッドだ。
特別な天気の特別な日に食べたものだから、もちろん特別なお菓子ということになる。
どんなものか見当もつかず母に尋ねて、セミは半分だとかフレッドは冷たいだとか教えてもらった。
カクテキを肉だと思っていたり、ジェノベーゼとアラビアータがごっちゃになったりする私だけど、セミフレッドだけは忘れない自信がある。

その年のプレゼントに、父は『ちゃお』をあげていた。付録が漫画家キットだったためらしいが、当然ながら翌日には、漫画も付録も娘の手に渡ることになる。
当時は「お父さんセンスいいな」くらいにしか思っていなかったが、実際は他にも何かあげていたのか、真相は謎である。

気づいたらそのお店はなくなっていたし、その日以来セミフレッドを食べた記憶もない。
それに、よく考えてみると、レストランは4階にあったが、私の記憶にある雪景色が果たして4階からの景色と合致するか怪しい。

いろいろと記憶の改ざんはありそうだが、今でも之とセミフレッドは大好きだ。
メニューにあったら絶対に頼むぞというくらいには好きだが、残念ながらサイゼリヤでは今のところ提供されていない。


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